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遅れるサイトのスマホ対応 テレアポ代行会社が掘り当てた金脈

アウトバウンド型のテレアポ会社が、マーケティング機能を持つことで、アウトソーシング会社から企業の営業パートナーへと変貌を遂げています。

都内の印刷会社A社は社員数80名、創業時からの商業印刷に加え、最近はホームページ制作や電子カタログの受注にも取り組み、社内にデザイナーをかかえて内製できる体制です。

 

特長の無い企業は淘汰される

長年のA社の業績を支えてきたのは、新聞の折り込みチラシやカタログ等の印刷物です。しかし世間の紙離れの影響をまともに受け、受注は減少する一方です。
10年あまり前より、新卒の美大生やデザイン事務所経験者を採用し、デジタルコンテンツの提案・営業にも注力して来ました。

しかし、いくら安定した取引先を持っているとはいえ、細分化、専門化された業界の中で戦うには、特長のないA社です。立ち上げ以来、企画部門は一度も黒字化することなく、「紙の印刷を受注するための必要経費だ」と、なかば諦めのような言い訳が、幹部社員からも聞こえていました。

 

アポ率1.5%の提案

これといった打開策が見えない中、A社の社長が立ち寄ったマーケティング展で出会った、コンサルティングとテレマーケティングを同時に支援する専門企業から、「戦略の再構築から始めましょう」と提案を受けました。
「ただし、綺麗な絵を描くだけでは意味がありません。成果が見込めるかを私達で代行、検証します。」ということでした。

コンサルタントが言うには、市場の声に耳を傾け、本当に成果性のあるものにブラッシュアップするPDCAサイクルを回し続ける事が重要で、D(実行)はダイレクトに顧客の声が拾え、結果の明確なテレマーケティングに限るという事でした。

「プランAならアポイント率1%、プランBが0.5%なら、ヒト・モノ・カネはプランAに集中投下します。」
「御社のようなホームページ制作を提案されるWEB業界やIT業界の場合、単に売り込みの電話をかけてもアポ確率は0.5%以下、これでは経費倒れです」
「WEB業界やIT業界でもアポ率1.5%と高い成果を挙げている事例がありますよ」との提案に説得力があり、さっそく後日、打ち合わせの約束をして別れました。

 

戦略再構築のプロセス

A社社長とコンサルタントは、現状分析を経て、とるべき戦略案を20ばかり出してみました。

それら20案から、弁護士や司法書士等のホームページのモバイル対応を提案するプランA、人材派遣会社など人材関連業界に名刺管理クラウドを提案するプランB、通販会社に販促パッケージを提案するプランCの3案に絞り、さらにコンサルタントが企業データベースやインターネットから収集したターゲット企業、各600件をリストアップしました。

ちなみにこのコンサルティング会社はターゲットをリストアップする専門の主婦パートグループを抱え、企業情報をアポイント結果に基づき更新するため、精度の高い優良なデータベースを保有しています。

各プランでアポイントを取るためのトークスクリプトを作成後、アポイント部隊が架電を始めますが、属人的な資質により結果が左右されないよう、3人が200件ずつローテーションしながら担当する念の入れようです。

 

テレアポ代行会社にテストマーケティング機能を持たせる

アポイント結果は、1ヶ月目、プランAが2.0%、Bが1.0%、Cが0.6%、翌月も同様の結果でした。

債務整理や離婚問題等、法律相談を弁護士や司法書士に持ち込む個人が増え、パソコンよりむしろスマートフォンやタブレットで検索するユーザーが多い結果です。

ある司法書士事務所では、サイト流入の50%がアイフォンやアンドロイドなどスマホ経由であるため、そういった訪問者の特性に適応したウェブ戦略が避けて通れぬ課題となっていたようです。
これはA社にとっては大きな金脈を掘り当てたようなもの、3ヶ月目からはプランA一本に絞りました。

今ではA社は、サイト制作だけでなく従来の強みである印刷も含めた士業向けのマーケティング支援に取り組んでいます。
一般的なアウトバウンド型のテレアポ会社は、1000件以上のリストに対し短期間で一斉架電する事を強みとします。
もちろん状況に応じて、スクリプトの見直しを途中で行ったりしますが、この会社のようにターゲットや提案商品そのものを見直そうとはしません。

マーケティングと営業に機能分担された大企業ならともかく、それらが混然となった中小企業には、特にアウトバウンド型のタレマーケティングをアウトソーシングされる、人材派遣業界、教育研修業界、IT業界やシステム開発業界などは走りながら考える、テストマーケティングの機能を持ったアウトバウンド型のテレマーケティング会社との相性が良いようです。