大手スーパーが企画するプライベートブランドの市場シェアが高まり、中間流通業者の存在価値がますます問われる中、小売バイヤーと問屋営業のコミュニケーションのあり方も根本から変えざるをえなくなっています。
重要なのは、得意先バイヤーにいかに有益な情報を伝え、シェアするかということ。
そのためにもITで武装することが、今後ますます重要になってきます。
今回は中堅食品問屋が始めたIT化の取り組みについてご紹介します。
営業効率が劇的に変わるITツール
ITの活用により、問屋のセールスはどのようになったのでしょう。
食品問屋P社の情報担当役員S氏によれば、その効果の1つは、「営業におけるコミュニケーションのあり方が劇的に変わった」ことにあるようです。
インターネットとスマートフォンの普及で、いつ、どこで、誰とでも情報のやりとりが手軽にできるようになりました。
多額のシステム投資なくとも、ごく汎用的なITツールを使いこなすだけで、営業効率が劇的に変わるのです。
織田信長が鉄砲の威力に気付き、いち早く自軍に取り入れたよう、ITの持つ威力・価値に気付き、積極的に取り入れるリーダーのいる組織こそ、次の時代へ生き残っていきます。
情報格差が営業成果に違いを生む
元来、食品問屋の営業は、取り扱う商品アイテム数の多さもあり、決して知識が豊富という訳ではありません。おのずから、その営業スタイルは御用聞きになってしまいます。
一方で小売業のバイヤーも、同様に取り扱う商品が多岐にわたり、また社内会議や事務作業に膨大な時間が割かれて忙しく、出来る事なら営業から情報提供して欲しいというのが本音です。であるにもかかわらず、得意先バイヤーから、「今度の年末企画にあう商材はないか?」と聞かれても、即答できずに「商品担当者に聞いてみます」と返答するのが関の山です。
その間に、もしライバル企業がバイヤーのハートをガッチリつかむ提案をしたら? 次年度から年末企画の商材を一括してライバルが供給するようになれば? 営業が持つ情報の質と量が、そのまま成果に結びつく事になるでしょう。
世代交代が進み、商品のアイテム数が増え、営業とバイヤーとの商談時間が減少して関係性が希薄になる中、営業担当の知識を高め、提案力を強化することが、P社IT武装化の狙いです。