ホテル・旅館の電気代・ガス代削減策まとめ

気象協会の発表によりますと、今年の夏は関東甲信や北陸、東海でかなり暑い夏になりそうです。また、近畿や中国、四国、九州、沖縄にかけても普段より暑い夏になる確率が高くなっています。

光熱費の高騰がホテル・旅館経営へ大きな影響を与える今、電力会社の値上げにめげず、更なる電気代の削減に取り組みましょう

 

蒸気の熱損失を防止する

★ホテル・旅館における期待効果◎

加熱した水が沸騰、蒸発して発生する蒸気は、損失を防止して、ホテル・旅館において有効に活用しましょう。
製造された蒸気の内、約20%程度が損失といわれています。このエネルギーロス対策として、蒸気トラップの保守点検による損失防止があります。つまり、故障の多いトラップを正常な状態で維持することが重要です。万が一、蒸気トラップに故障がある場合は、早急な取り替え、修理がお勧めです。トラップからの蒸気漏れによる金額損失はたった1台のトラップからでも年間数万円に上ることがあります。この金額なら新品の蒸気トラップに交換してもすぐに元が取れるはずです。

次が蒸気バルブの保温で、これらが剥き出しの状態であればそこから熱が損失することは当然です。弁類を断熱し蒸気配管のバルブ等からの放熱を防ぐことにより、ガス等の燃料使用量の節約、損失防止による節電効果、電気料金削減を得ることができます。

更には、省エネルギーや地球温暖化への対策の一つとして、この未利用エネルギーを電気に変えるなど、蒸気を最大限有効利用する方法にも注目が集まっています。

 

ボイラー設備の空気比管理

★ホテル・旅館における期待効果◎

空調・給湯を目的とした蒸気・温水を多く消費するため、ほとんどのホテルでボイラーが使用されています。省エネ法では、燃焼の合理化のための基準として基準空気比(1.2 ~1.3)を定めています。この空気比が大きいと、燃焼用空気による排ガス損失が増加しますので、ボイラーの定期点検時(通常は年2回程度)に負荷の状況、すすの発生しない程度に空気供給量の調整をすれば、空気比を低く抑えたボイラー等の燃焼設備の運転が可能となり、費用を伴わない省エネ対策が実現します。

 

宴会場の空調管理

★ホテル・旅館における期待効果◎

宴会場の利用形態は婚礼・宴会・会議研修等と多岐にわたり、利用者の服装も様々、利用時間も昼夜問わずとなっています。

そこで多様な室内環境の確保、利用者ニーズに対応するため、ホテル・旅館の空調設備は年間で冷暖房が可能な4パイプ方式が採用されていて、エネルギー消費原単位は大きくなります。 この方式は、同一系統で暖房と冷房を同時に行うなどの運転方法により大きなロスを生じることがあります。節電ポイントは、利用状況に応じた温度の設定や制御が必要です。例えば大宴会場の空調機に全熱交換器が付いていますが、宴会準備時やアイドリング時は取り入れ外気量が過大でした。そのため、外気取入口にダンパーを設置し、宴会準備時等には外気を取り入れない制御の実施により電気代が削減された事例も報告されています。

 

客室外調機の適切な温度設定

★ホテル・旅館における期待効果○

外調機とは、外気負荷を処理する為の空調機のことをいいます。空調利用時の換気の際、外気を導入しますが、そのままだと夏は暑く、冬は冷たい空気を取り込むため、空調のシステムに大きな負荷となります。そこで、空調機が外気を取り入れる前に、ある程度の状態まで冷暖房や加湿などの処理を行うために、外調機が用いられるのです。

ホテル・旅館の宿泊部門の外調機は、ほとんどが年間24時間運転していますので、空調エネルギー使用の大小は、外調機の運転及び温度設定が大きく影響しています。

外調機の処理温度(外気を冷却・加熱して送風する温度)は外気の状態を考慮し、必要以上に冷却加熱しないことがポイントです。冬期は暖房モードで20℃、中間期は送風のみ・夏期は冷房モードで26℃にするといった所です。

 

厨房給排気のバランス

★ホテル・旅館における期待効果◎

ところが現実は、強い負圧となっている場合が多く、このため客席に臭気が篭もらないよう、空気を排気しています。最悪のケースでは、ホテル全体が負圧になり、入口より外気が吹き込み、空調システムに大きな負荷がかかっている状態も見受けられます。
電気料金削減ポイントは、厨房内の給排気バランスを、理想状態に保つために必要以上に排気ファンを運転しないことです。また、改造時には省エネ運転が可能となるよう調理機器毎に給排気ファンを系統分割することもお薦めです。

 

白熱球から蛍光タイプへの更新

★ホテル・旅館における期待効果○

ホテル・旅館は24時間稼動していることから、共用部分の照明の点灯時間が長くなっています。特に、ロビー・客室のエレベータホール・廊下等の照明は常時点灯しているため、白熱球から、LEDや蛍光タイプなど高効率ランプへ更新することで相当の省エネ効果を得ることができます。
また不使用室や事務室など、不使用場所の適時点灯を徹底することも重要です。

 

関連記事一覧