原油価格がかなり下がったのにトレイやラップなどの販売消耗品や資材の購入単価がなかなか下がりません。
高止まりの原因は、トレイメーカーのドライバーの人件費高騰などの影響で物流コストが大きく上昇してしまっていることなどが理由のようです。
単価は低いが嵩張るトレイという商品特性上、物流経費の上昇は経営に大きなインパクトであるのでしょう。
今回はトレイメーカーやベンダーへの単価交渉ではなく、自助努力で達成可能なコスト削減方法について考えてみたいと思います。
スーパーマーケットで取り扱われているトレイの種類は非常に多岐に渡ります。
メーカーも次々に新製品を投入し、単価維持を図るために一生懸命なため、現場にどんどん提案は持ち込まれます。
いちいち、部長決済をとるほどのテーマではありませんから、現場の責任者レベルで新商品を導入している企業も多く、一体どれくらいの扱い品目があるのかをしっかり管理できている企業は少ないのではと思います。
お話を窺った食品スーパーマーケットでも“年に1回、節分の日にしか使わないトレイがある”など、メーカーに上手に商売されているとしか思えない事例がありました。
食品スーパーS社では、“一つ一つの単価は低くても、使用頻度が圧倒的に高い経費であるため、定期的に経費削減に取り組むべきテーマだろう”ということで、今春、経費削減に取り組まれました。
種類が非常に多く、一品一品、高い安いを見直すのがなかなか大変なため、S社ではトレイについては、次のような工夫をされました。
■まず現場や商品センターで使っていない、もしくは当面使う予定がないトレイを一カ所(本社倉庫)に集める
■品番を記録した上で、各部門で活用できないか検討してもらい、商品化して不用トレイを有効活用する
■記録した品番のトレイを発注禁止にする
■続いて各店舗、商品センター各部門で現在使用しているトレイの品番を記録してもらう
■記録してもらう際はトレイのサイズを示す縦・横の数字をエクセルに入力してもらう
■記録してもらったトレイを一覧表にまとめ、単価を入力する
■同一サイズのトレイの単価が比較できるように、エクセルで降順ないし昇順の並び替えを行い、同一サイズのトレイの単価をチェックする
■同一サイズで最も安いトレイに集約させ、単価が高いものは特段の理由がなければ発注停止にする
このような手順を踏むことにより、同社の消耗品コストは約15%減額することができました。非常に地味なやり方ですが、発注担当者が多く存在する資材のコスト削減には、有効なやり方だと思います。
売上の1%~2%を占める販売用消耗品のコストダウンは地味ですが、経営へのインパクトも大きく、スーパーマーケットの競争力を高める好事例ではないでしょうか。