知らないと危険な飲食店の開業届け(1)

「修行して、いつかは自分のお店をもちたい。」「定年後、夫婦でお店を出したい。」「副業として、飲食店の経営をしたい。」等々、これから飲食店をオープンするにあたり、様々な夢や目標をもった方がいらっしゃると思います。飲食店の新規開店数は不況と言われる現在でも年間50万件程。とっても人気がある業種です。「食」は生きる為に欠かせません。その為市場規模も大きいですし、その時々のトレンドなどもあり、新規出店に挑戦されるオーナーさんは多いです。一口に飲食店といっても、イタリアン、和食、中華、ラーメン屋、居酒屋、バー、移動販売や屋台…その種類も豊富で、「自分だったらこんな店を出したいなあ…。」と空想しているだけでワクワクしてきます。

しかし、実際に動き出してみると、様々な制約があることに気が付きます。「やりたいお店があるのに、許可が下りない…。」「必要な許可を知らなかった為、営業停止処分に…。」なんてことにならないように、飲食店を出すために必要な許可や届出について解説します。

 

1. まずは、「飲食店営業許可」

その名の通り、飲食店の営業を認めてもらう許可ですね。飲食店を出すにはまずこれが必要です。
飲食店とは一般的に、従業員がお店で食べ物や飲み物を提供して、お客さんが飲食をする、その対価としてお金を頂く、という商売ですよね。食べ物や飲み物を扱う訳ですから、お客さんとしては、美味しい、美味しくないといったこと以前に、まず衛生面にきちんと気を使ってもらわないと困る訳です。当然ですね。お皿がしっかり洗われていない、店内が不衛生…なんてところで食事をして食中毒なんかになったら大変です。その為、飲食物を提供する場合には、管轄の保健所にいわば、「このお店は衛生面ちゃんとしてますよ。」というお墨付きをもらう訳です。これが「飲食店営業許可」です。(飲食店営業許可の他にも喫茶店営業許可というものをありますが、これは駅の構内等でみかけるジュースバーの様な形態の時に受ける簡易な許可、という感じですので、ここでは一般的な店舗を構えたお店をイメージして、飲食店営業許可とします。)その為、衛生面で一定の基準をクリアしなければ許可は下りません。あまりにも不潔な場所はダメですし、害虫が入り込まない構造になっているか、食材の保存がきちんと出来る設備があるか、等が厳しくチェックされる訳です。

実際に許可をとる場合には、まず、お近くの保健所に連絡して必要書類の確認や検査日程の予約を行いましょう。自治体によって若干違いがある場合がありますので、一番確実です。

 

2.「飲食店営業許可」は取ったけれど…それだけでどんなお店でもOK?

という訳で、上記の様に、まず飲食店営業許可をとったとしましょう。これでひとまず胸を張って営業を開始出来る訳ですが「営業許可があるからどんな飲食店をやってもいいんだ!」という訳ではありません。ここがややこしい。つまり、営業時間やお店の形態によっては「飲食店営業許可」に加えて、別の許可を取ったり、届出をする必要があるのです。飲食店営業許可」は飲食店営業の基本となる許可であって、お店の規模や営業形態、営業時間によって更なる許可や届出が必要になる場合もある訳です。イメージとしては、飲食店営業許可+αが必要、という感じですね。

 

・許可なしで営業すると…

筆者も繁華街の個人店で一人飲み、なんてことを結構するのですが、オーナーさんや店長さんとお話ししていると、後述の「深夜酒類提供飲食店営業の届出」や「風営法上の許可」が必要な営業形態であるのにも関わらず、営業許可のみで営業している、というお店に出会います。敢えて無許可で営業している訳ではなく、+αの許可や届出が必要なことを知らなかったり、近隣のお店のオーナーさんに「ウチは届出なしで営業してるけど、注意されないから届け出なくても大丈夫だよ~。」と言われた、なんてことが多いです。そんな場合でも無許可は無許可、無届は無届です。悪質だと判断され摘発、営業許可の取り消しや罰則の適用…なんてこともあり得ますから絶対に手続きは行いましょう。それぞれの許可の取り消し…なんてことになったらその時点でお店をたたむことになりかねません。場合によっては、オープンし、手続きをしようと思ったらそもそも許可がもらえない地域だった…なんて最悪な場合もあり得ます。手続きや下調べが面倒なら、行政書士等の専門家に任せれば良いのです。具体的にどんな許可が必要なのか、これは後述しますが、細かな要件は様々ですし、調べなければ誰も教えてくれません。物件を探す段階で、どんな営業形態にするか、営業時間帯はどうするか、きちんとイメージした上で専門家に確認した方が良いですね。また、受けられる許可から逆算してお店のイメージを作っていくオーナーさんもいらっしゃいます。せっかく始めた事業が取り返しのつかない事態にならない様に、きちんと手続きを行い、大手を振って営業して下さいね。

 

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知らないと危険な飲食店の開業届け(2)

 

 

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