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工場・大型ホテルの電気代削減に液体バイオマス発電が注目

本誌で以前に取り上げたことがあるナノフュエル株式会社(本社:神奈川県川崎市)が注目されています。

「世界初の液体バイオマス発電の実用化」という同社のビジネスプランが“かわさき起業家優秀賞”(主催:川崎市産業振興財団)を受賞するなど、同社の技術には際立ったものがあります。

 

ナノフュエル(株)の液体バイオマス発電の凄さ

ナノフュエル(株)の液体バイオマス発電は、電気需要家や投資家から見れば、近年ブームだった太陽光発電以上のインパクトがあります。

同社の液体バイオマス発電の優位性は、
1. 発電所の立地条件を問わない
2. 設備利用率が70%~85%と高い(太陽光の6倍~7倍)
3. 設備の設置費用は1.4億円/メガワット。

設備利用率を考慮すると、なんと太陽光発電の13分の1です。

木質バイオマス発電に取り組む企業も増えてきましたが、木質は安価なものの、安定供給にかなり問題を抱えています。
ナノフュエル(株)が発電の燃料として活用するのは、パーム油やジャトロファなどです。非常に安価な非食用の油を活用して、安定した運転ができるのは現時点で同社の技術だけです。これら植物油は5000万トン/年も生産されており、燃料調達に困ることはないでしょう。
この結果、発電コストは16円~20円/kwという低水準になります。
しかも、植物油による液体バイオマス発電には、FIT交付金というものが適用されることとなります。
この交付金が大きく、12.17円/kwも発電事業者に補助されます。
国としても環境に抜群に優しい植物油の発電については、優遇していく方針であり、FIT交付金は今後も継続されるでしょう。
最近は工場やスーパーマーケットの大口需要家の電気料金は軒並み20円/kwを超えてきています。電気代の大幅削減が可能になるのはこのFIT交付金の存在が大きいです。

 

自家発電設備を持つ大型工場やホテルは、凄まじい投資回収率になる

全国に数百ある自家発電設備の半数程度は現在稼働していないといいます。
重油など石油燃料が高騰したために、普通に電力会社から電気を購入した方が安くなってしまったためです。ただ、東日本大震災以降、電気代はかなりのハイペースで値上がりしてきており、再稼働を検討する企業も出てきているでしょう。
そのような企業や工場には同社の植物油発電を検討してみてはいかがでしょう。
ナノフュエル(株)の液体バイオマス発電は、従来の自家発電に設備改修を行うだけで、発電設備として復活させることができます。しかも、約6000万円の投資額は税制で優遇措置を受けており、一括償却できることとなります。利益を計上している企業にすれば、節税効果を考えると、4000万円くらいの投資で液体バイオマス発電に取り組めることになるでしょう。

 

自家発電設備で売電事業も可能に

植物油による液体バイオマス発電にも固定買取価格があり、電力会社に24円/kwで販売することができるため、先のFIT交付金と合わせると、kw当たり4円~9円程度の差益が生まれます。
工場内やホテルなど自前の施設で液体バイオマス発電した電気を活用して、大幅な電気料金の削減を実現し、さらに余剰電力は販売して利益を稼ぐ。液体バイオマス発電の設備稼働率の高さから、このような夢のような話が実現可能になっています。

同社が本社を置く川崎市は、ハイテクノロジー系企業の支援に熱心であり、“富士通(株)”や“ルネサスエレクトロニクス(株)”といった大手企業や“オンコセラピー・サイエンンス(株)“や“(株)シスウェーブホールディングス”などの上場ベンチャーもたくさん本社を置いています。
ナノフュエル(株)が先輩企業と同様、株式上場を果たして日本のエネルギー事情を大きく変革する日も遠くないのかもしれません。