福島発!電気の要らない自動ドアで省エネを超える

東日本大震災により、エネルギーの安定供給の脆弱性が露見され、エネルギー政策については様々な課題が今もなお残っていますが、私達の環境への意識の高まりもあり、このところ無電源ドアに対する評価が急速に高まっています。

電気エネルギーを利用しない無電源ドアが、国内はもちろんですが、社会インフラが未整備な海外からも高い評価を受ける株式会社有紀(本社;福島県会津若松市)を紹介します。

 

福島発、電気の要らない自動ドア

 

コスト面・安全面を配慮すれば無電源ドア

同社が開発・販売を手掛ける“オートドア・ゼロ”は、利用者の体重により開閉する無電源ドアです。
利用者が床面に埋設した踏み板へ加重しますと、20キロ程度の重量によりドアは開閉します。電車の電力供給に用いるパンタグラフの構造を床下に配置、シーソーの原理を用いてドアを開閉する仕組みにより動作します。
この無電源ドアは、大手メーカー各社のサッシへの組込が可能で使い勝手がよく、また設置に関しては通常工程の範囲で対応できます。

 

無電源ドアのメリットは、コスト削減や省エネルギーに限ったものではありません。
加重中は扉が閉まらず、小さな子供が誤ってドアに挟まってしまう事故を防ぎます。体重が20キロを下回るような幼児の場合、ドアが重みで開かない場合もありますが、その時は手動開閉で開くこととなります。
東日本大震災では電力供給がストップしたために自動ドアが開閉せず、迅速な避難行動を遅らせる要因ともなりましたが、停電時でも閉じ込めなどの心配なく利用することが可能なため、安全面を配慮したい病院や介護施設、サ高住、商業施設、公共施設などへの導入事例や問い合わせが増えています。

環境への意識の高まり、電気不要の分かりやすさ、エネルギーコストの削減メリット、導入の際のハードルの低さ、さらにはCSRを重視する企業姿勢を訴求するため、同社の無電源ドアは大いに注目を集めています。
株式会社王将フードサービス(本社:京都市)では、節電・省エネ・温暖化防止への取り組みから、株式会社有紀のオートドア・ゼロを現在、6店舗に導入。今後も順次設置していく予定です。(同社CSRレポートより)

 

福島から、安全で安心な住環境作りへ

株式会社有紀は、平成13年に現社長の橋本保氏が設立した有限会社有紀建築設計事務所を前身とし、10年以上にわたり安全で安心して暮らせる住環境を提案して来た会社です。

地元会津産の桐材を加工した不燃木材を使った防火ドア、今回ご紹介したオートドア、電気代を大幅に削減するPET樹脂を使った高効率の天井照明用反射板、さらには室内光の小電力をチャージして停電時に自動的に発電して周囲を照らす振動検知照明装置など、電気代の削減と環境保全、地震や火災など災害時の安全確保に貢献できる商品を開発・提案しています。

地場産品の桐材を使った商品開発、電気に頼らない環境配慮型商品の提供は、地元福島の人々との絆を大切にしてきた同社だからこそ、社会の関心がそこに向いていない時代を経て立ち上がりました。

震災以降、私達の環境やエネルギーへの意識の高まり、電力事情の大きな変化を経て、同社への注目は大きなものとなりました。
しかし今後も、人との出会いを大切に、環境に貢献する商品の提供を変わることなく続けていくと共に、橋本社長の目は国内にとどまらず、社会基盤が未整備な海外へも向いているようです。

 

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