BtoB商材は購入に複雑なプロセスを経る
BtoB商材は一般的に「購入決定プロセスまでの期間が長い」「意思決定に様々な立場や役職者が関係し、何段階ものプロセスが必要になる」ことが特徴です。
企業によってはワンマン社長が独断即決するケースもありますが、個人の買い物レベルとは全く異なるプロセスを経ることになります。
この点を充分に理解してWEBサイトを展開することが重要となります。
BtoBサイトで表現すべきは導入事例、成功事例
企業が導入する商品・サービスは、企業全体で活用されるものと、ある特定部署で活用されるものに分かれます。
誰あるいはどの部署の人にとって有意義な製品、サービスなのかを明確にした上で、自社の製品やサービスの利用シーンを具体的にイメージしておき、WEBサイトに反映することが重要となります。
製品導入時の成功事例やユーザーの声、導入実績など、ライティングで活用できる材料があればそれを整理するところから始めることをお奨めします。自社製品、サービスの導入事例や顧客の声は、WEBサイト上で表現するテーマで最も重要な部分といえます。
役職や部門によるメリット整理の事例
例えば、社内にあふれる名刺を格安でデータベース化する企業のサービスを利用するケースで考えます。
■経営者・営業部長のメリット
■総務部社員のメリット
■営業部社員のメリット
と各々の立場でメリットを検討すると、名刺管理ソフトの場合は下記のようなものがあげられます。
■経営者・営業部長のメリット
今までできていなかった見込客の名刺データベースにメールマーケティングを展開して売上アップに結びつけられる
■総務部社員のメリット
相手先企業の人事異動によるリストのメンテナンス業務の負担が軽くなる
■営業部社員のメリット
顧客データベースへの名刺打ち込み作業から解放され、本来の受注活動に専念できる
ベネフィットを具体的かつ数字で表現する
先に提示したメリットを、具体的な事例や数値で表現できるとより説得性が出てきます。
可能な限り、数値で示すことに注力しましょう。
というのも、BtoB商材は「費用対効果が重視される」傾向が強いためです。
名刺のデータベース化の例でいれば、
■経営者・営業部長のメリット
見込客の名刺からデータベースを作成し、メルマガ発行を実施。その結果、毎月5件の成約を実現した事例
■総務部社員のメリット
法人リストのメンテナンス業務が容易になり、毎月に10時間かけていたメンテナンス作業時間を削減。総務社員の残業時間を削減できた事例。
■営業部社員のメリット
セールスマンが顧客データベースへの名刺打ち込み作業から解放され、本来の受注活動に専念できるようになり、毎月の訪問件数が20%増加した事例。
などが該当するかと思います。
製品価格やサービス導入価格はオープンにする
よくBtoB企業のホームページを閲覧していると、導入価格の表示がなく、抽象的なメリットだけを訴求しているようなサイトを見かけますが、閲覧者からの問い合わせはほとんど期待できません。
そのようなケースでは、閲覧者の心理としては、「商談相手により、ケースバイケースで見積もりを変更するために、価格の表示がないのだ」、「下手に購入の意思表示をすると、高い買い物をさせられるかもしれない」という気持ちになってしまうのが原因の一つと考えられます。
仮に案件ごとに見積もりを提示する必要がある製品、サービスの場合でも料金例や導入コスト例を表示することが大切です。
押し付けがましくなく、共感を得られる表現が重要
最後にWEBサイトにおける文章の表現についての注意事項について触れておきたいと思います。
人は自分のおかれている境遇に近い事例ほど興味を示すものです。
Yahoo知恵袋などで自分に近い境遇の方の書き込みを何気なく読み進めてしまった経験はありませんか?
「こういうこと、あるある」と思ってもらえる内容であれば、閲覧者はどんどん読み進んでいきます。
そして、「うちの会社のこんな問題は解決できるだろうか」「社長から指示されているあのテーマの解決に役立たないだろうか」と閲覧者は考え始めることでしょう。
WEBサイト上では、「劇的に売上がアップします!」、「弊社なら100%問題解決できます!」といった、あまりにも誇張的な表現や押し付けがましい表現には注意が必要です。
人間には自ら検討し、選択した結論により積極的に関わりたいという心理的傾向があります。また誇張的な表現を目にした場合は「胡散臭い」と感じる場合も多く、マイナスにとられることもよくあります。
信頼感を得られる文体を意識する
文体や表現があまりに硬すぎると、資料請求や、問い合わせの電話に躊躇してしまうこともあります。また、くだけすぎた文体や表現も、「この会社はノリが軽すぎるし、信用できないな」と信頼性を失うことになり機会損失を引き起こします。
BtoBで商材を検討する担当者は、自分のお金で商材を購入するわけではありませんから、“失敗のない手堅い相手先”を優先しようと考えます。
親しみやすさと信頼性を読み手に感じてもらえる文章のイメージにコントロールすることは、案外大事なことのように思います。
また、稟議書の承認印鑑を押す立場の方は、一般的には年配層が多く、正しく日本語が使われていることを好む傾向が強くあります。
親しみやすさの中にも、丁寧で正しい日本語を使用しているかについても、細心なチェックが重要となるでしょう。