最低賃金毎年3%引き上げ!労務コスト急増に備えるべし

政府は1億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策として、GDP(国内総生産)600兆円実現のために最低賃金を毎年3%引き上げて全国加重平均1000円となる事を目指す方針を打ち出しました。賃金を引き上げて消費を増加させようする目的です。

最低賃金が上がるということは、人材難の状況もあいまって初任給アップ競争を加速させます。

この賃金上昇に加えて、2016年10月から週30時間以上勤務の従業員が500人超の会社は週20時間以上のパート等も社会保険加入(約16%の社会保険料負担)となります。2016年から3年以内に中小企業にも拡大予定です。

 

2016年4月より年次有給休暇の強制付与(年間5日)の労働基準法改正も予定(但し、2015年12月現在法案未成立)ですので、

「求人難による採用コスト増」×「賃金ベース増」×「社会保険料増」×「年次有給休暇増」の「4重苦」により、労務コストの急上昇で経営困難となる中堅・中小企業が増加すると想定されます。

 

京都の最低賃金(毎年3%増で最低賃金1000円以上までの道のり)

  • 2015年 807円
  • 2016年 832円
  • 2017年 857円
  • 2018年 883円
  • 2019年 910円
  • 2020年 938円
  • 2021年 967円
  • 2022年 997円
  • 2023年 1027円(社会保険料込み時給1191円)

クライアント企業様の向こう10年間の労務コスト(採用コスト、給与、賞与、退職金、法定福利費、福利厚生費の合計)を試算すると、数千万円単位で労務コストが上昇する会社が少なくありません。

 

ここで「労務企画」という発想が必要になります。

 

製造業には「原価企画」(target costing)という概念があります。原価企画とは、量産段階に入る前、つまり設計等の上流段階で目標利益の確保を企画する原価管理活動です。量産品の製品原価の大半が製品仕様などを決める企画・設計段階で確定しまうことが多く、量産段階における原価削減の余地が小さいことから、原価企画が大きな役割を果たすことになります。

労務コストも全く同様にこの原価企画の発想で事前に仕組んでおく必要があります。

今後は仮に売上が上がっても、その売上を維持向上させるために、労務コストが著しく増加するのです。その売上(必要な粗利益)もどんどん上がっていくと見込める会社も少数と想定されることから、売上粗利横ばい・人件費急増で利益減少となります。 つまり、従来の発想で売上を上げるために人をどんどん増やすのは大きなリスクを負うことになります。

向こう数年間に労務コストがどうなるか?人材難の状況はどう深刻さを増すか?を見通し、自社の採用方法、労務構成、賃金・退職金水準、社会保険料増加額などを勘案し、労務コスト構造を企画・設計しておく必要がある。今のコスト構造が続くと考えて、熟慮なく採用・賃金決定を行っていてはいけない。又は従来通りの採用・賃金決定を行うならば、相当シビアに業務効率をアップする施策を打たなければならない。

 

労務企画の例は、

1.人員を増やすか、増やさないか(外注・派遣・省力化システムや機械化の移行)

2.採用ターゲット・方法をどう変更するか(新卒・女性・外国人等の積極活用等)。

3.多様な正社員をどのように構成するか、従来のパートの概念をどう変えるか

4.労務構成に基づいた処遇をどうするか。個々の賃金カーブをどうするか。サービス残業はないか。

5.教育訓練・パート等に正社員の仕事をしてもらう仕組みをどうつくるか

6.選択定年制・役職定年制・出向により一定の新陳代謝の仕組みをどうつくるか

等々です。

 

中長期の労務コスト試算により「必達利益が出ない」ようであれば、労務政策の抜本的な見直しが求められます。もう、小手先の労務コスト削減策では追いつかないレベルとなっていくので、未来を読んだ企画が求められます。企業が追いつめられる前に、適切な労務企画をもって、先手を打っておきたいものです。是非、具体的対策についてご相談ください。


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