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介護職員の採用難解消へ、40~50代男性採用のすすめ

介護職員の募集に苦労されている事業所は多いと思います。安倍内閣は「1億総活躍社会」の緊急対策で介護施設などを50万人分増やす方針ですが、需要と反して供給は不十分です。ここでは介護職の動向と採用方法についてお伝えします。

 

介護職は人気がないという事実

冒頭から辛辣なことを書きますが、募集しても介護職員が集まらないのは、介護は職業として人気がないからです。不景気では「安定した仕事」などの呼び水もありましたが、景気が良くなると他の仕事に流れてしまいます。「重労働・低賃金」の代表格と思われ、将来のキャリアパスが描けないのですから不人気も当然です。最近では介護報酬の改正や人員不足によって倒産する施設も出てきましたので、安定神話も崩れてしまいました。

 

世間の介護職のイメージ

世間の介護職のイメージは、「キツイ」「汚い」「賃金が安い」の3つに集約されます。確かに不規則な勤務時間による身体介護は心身共に重労働ですし、認知症の高齢者に抵抗されたり、時には暴力を振るわれることもありますので、事務仕事に比べればキツイでしょうし、排泄物やおう吐物の処理は重要な業務ですので、汚れ仕事は避けられません。給与については、政府は、介護離職ゼロを目指して来年度から介護職の月給1万円アップをニッポン1億総活躍社会プランに盛り込むようですが、一般的に施設で働く正規職員の介護福祉士の月給は手取りが15?17万円前後、施設によってはもっと低いので、1万円上乗せしても納得できる金額ではありません。

 

介護職は仕事にプライドを持ちにくい

こうした世間のイメージに介護職員はプライドを持てずにいます。介護職の話を聞くと、「介護職をやっていると言うと、「偉いね」と言われます。その言葉の裏には、「そんな仕事、よくやるよ」とか、「その程度の仕事にしか就けない奴」と言うニュアンスを感じるんです」と言っていました。働いている人がプライドを持てない仕事など、憧れるわけがありません。

 

福祉系学校の状況

介護職員の供給先と言えば、大学や短大、専門学校が浮かびますが、少子化と若者の介護離れで大きく定員を割っています。2008年には507課程(434校)でしたが、わずか5年後の2013年には、412課程(378校)と、約2割まで減少しています。筆者は2008年~2014年まで福祉系専門学校の教員でしたので、その遍歴を目の当たりにしています。2010年頃からは、高校新卒者よりもハローワークが離職者のための公共職業訓練の委託訓練生の比率が増えたものの、学生数の落ち込みに歯止めがかからず、入学者数は5分の1まで落ち込んでいます。

 

福祉系学校へのアプローチ

福祉系の学校の学生数の低下は、介護のイメージの悪さが影響しています。本人が希望しても、親や高校の教員の反対にあって断念した例は少なくありません。介護の学科を廃止する学校も増えており、今後もこの傾向が続くことが予想されます。逆に、このような状況においても介護を目指す学生は強い意志を持っていますので、是非そういう人材を集めたいものです。何のコネクションもないところに施設長が出向いても効果はありません。専門学校であれば担任制の学校が多いため、OBやOGをうまく使います。生の情報を就職担当クラスの担任に伝えることで、学生を紹介してもらいやすいですし、教員もOBやOGが働いていることで安心します。

 

就職活動のねらい目

一般企業と異なり、介護系の就職は夏休み直前まで施設実習を行うため、8月以降に決まることが多いです。実習施設に内定することも多いため、実習受け入れのない施設は少し不利になることがあります。8月、9月でピークを迎え、よほどこだわりが強いか、なかなか内定がもらえない学生が翌年まで残ります。したがって12月から1月が第二のピークとなります。人員を確保したいのであればこの時期を狙いましょう。

ハローワークが実施する求職者支援制度は、月10万円の生活費をもらいながら、無料で職業訓練が受けられる国の制度です。私が勤めていた専門学校でも委託訓練生を受け入れていましたが、40歳以上の男性を多く見受けました。景気が上昇する中でも、40~50代の異業種への転職は困難な状態です。思い切って40~50代の男性を多く採用してみてはいかがでしょうか。もちろん報酬やキャリアパスの提示は必要です。この年代はプライドもあるため、大勢の女性や若い人の中に混ぜてしまうと浮いてしまいますが、男性率が多くなると肩身の狭い思いや、必要以上のプライドの誇示もなく、働きやすい職場環境が期待できます。離職率も抑制できれば言うことはないでしょう。

求人をするうえで一番ダメージが大きいのは、離職者のネガティブな口コミです。今はSNSなどで悪評があっと言う間に広がります。新しい人を雇い入れるだけでなく、退職する職員にも注意を払いましょう。