介護施設向け「職場定着支援助成金」福祉機器に半額助成も

職場定着支援助成金(個別企業助成コース)の支給要件などが、平成28年4月1日に変更されました。雇用管理制度助成の支給対象事業主が、健康・環境・農林漁業分野等関連事業主以外へ拡大したほか、様々な変更がありますが、ここでは介護事業者に関係が深い「介護福祉機器等助成」と「介護労働者雇用管理制度助成」に絞って説明します。

 

介護福祉機器等助成

介護事業所が腰痛予防等に役立つ機器を導入した場合、1品10万円以上300万円を上限に費用の半額を雇用保険の適用事業所単位ごとに運用できます。

1.助成内容

・介護福祉機器の導入費用
・保守契約費
・機器の使用を徹底させるための研修費
・介護技術に関する身体的負担軽減を図るための研修費

2.助成金の対象となる介護福祉機器

移動・昇降用リフト、エアーマット、特殊浴槽、ストレッチャー、自動排泄処理機、車椅子、体重計など

3.計画期間

・3ヵ月~1年(計画開始日は、最初に介護福祉機器を導入する月の初日)

4.計画の提出期間

・計画開始日からさかのぼって 6ヵ月前~1ヵ月前

5.これまでに介護福祉機器等助成金を運用している場合

累計額300万円未満の場合前回の支給決定日を過ぎてからであれば計画提出が可能。
・累計額が300万円に達している場合は、最後の支給決定日から3年が経過している必要があります。

6.助成までの流れ

①導入を予定している介護福祉機器の品目、個数、費用、各種研修費用、導入後の効果が把握できるスケジュールを記載して、導入計画を労働局に提出する。
②介護福祉機器の導入により、介護労働者の身体的負担の軽減に、どのような効果があるかなど、基準に照らし合わせて審査される。
③認定された導入・運用計画に基づき、機器を導入。
④雇用管理責任者を選任し、導入の目的や趣旨などを徹底する。

ちなみに、2015年度の実績は2016年1月時点で計画認定1,950件、29億7,751万円。支給決定は243件、3億9,404万円でした。介護福祉機器別でみると、特殊浴槽が157台で全体の4分の1を占め、移動・昇降用リフト123台、ストレッチャー91台と続いています。

 

介護労働者雇用管理制度助成

職場定着支援助成金(個別企業助成コース)のメニューとして「介護労働者雇用管理制度助成」が創設されました。介護労働者が職場へ定着する支援につながる賃金制度を整備した介護事業主に対して助成を行っています。

1. 受給要件

介護事業主が整備を予定している賃金制度の内容などを計画した、「賃金制度整備計画」を労働局に提出し、職務、職責、職能、資格、勤務年数などに応じて階層的に定める「賃金制度」を整備した場合に、助成の対象となります。

2. 受給額

賃金制度の整備として賃金テーブル(給与を職務級と号俸を数字で示した表)の設定などを行った場合50万円が支給され、賃金制度整備計画期間終了から1年経過後・3年経過後に、介護労働者の離職率の低下が図られた場合に、それぞれ60万円・90万円が支給されます。

3.目標達成(第1回)

雇用保険
一般被保険者の人数
1~9人 10~29人 30~99人 100~299人 300人以上
低下させる
離職率
15% 10% 7% 5% 3%

※離職率は30%を上限とする

4. 目標達成(第2回)

目標達成(第1回)の実施の結果、賃金制度整備計画期間の終了から3年経過後までの期間の離職率が、第1回の離職率を維持していること。ただし、離職率は20%を上限とする。

5. 助成までの受給のながれ

①賃金制度整備計画を労働局に提出
②認定
③賃金制度の整備(賃金制度整備計画期間)
④雇用管理制度助成制度整備助成50万円
⑤(1年経過後)介護労働者雇用管理制度助成目標達成助成(第1回)60万円
⑥(2年経過後)介護労働者雇用管理制度助成目標達成助成(第2回)90万円

2015年度の介護報酬の引き下げや、2018年の介護保険制度の改定など、介護業界を震撼させる制度が成立する一方で、介護職員の処遇改善のための制度が創設されることは嬉しい限りです。制度の活用により、より働きやすい職場に改善されることが期待されます。

助成金に関する申請は、顧問社労士さんが代行されるケースが多いようですが、どうすれば助成されやすいか「コツ」があるようです。経験豊富な社労士さんに相談される事をオススメします。

 

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