認知症予防や改善に効果。介護施設が取り組む臨床メディカルアロマ

嗅覚は、人類の祖先が視覚や聴覚を身に着けるよりも早い段階で取得した原始的な感覚、他の感覚と比べて情報の伝達が早く刺激も強烈、突出して感度が高く、記憶力が良いと言われています。嗅覚には長期の記憶を植え付けたり、昔の記憶を呼び起こす働きあります。

そして近年の脳科学の分野においては、嗅覚への刺激が認知症の予防や改善に効果があることを示すデータが得られていて、注目を集めています。

 

香りの刺激で認知機能が向上

鳥取大学の医学部の研究チームは特別養護老人ホームの高度アルツハイマー型認知症の患者65人を含む高齢者77人を対象にアロマテラピー(芳香浴)による脳の刺激の効果をしらべました。

最初の4週間はアロマテラピーを実施せず、次の4週間で実施し、GBS(日常生活動作能力の評価基準:点数が高いほど認知機能の低下が進んでいる)を評価するというものですが、結果はアロマテラピーにより85%の人がGBSスコアの低下が確認できたというものでした。その傾向は高度アルツハイマー症の人ほど大きいというものでした。
アロマテラピーとは、芳香植物(ハーブ)から抽出された100%天然の精油を使用して、心や身体の不調を癒し、健康維持に役立てる療法です。アロマは「香り」、テラピーは「治療」という意味を持ち、「芳香療法」とも呼ばれます。

一般的に、日本に普及しているアロマテラピーとは、美容や香りによる癒しが中心ですが、最近は日本でも、補完代替医療としての臨床メディカルアロマテラピーも徐々に普及してきており、医療機関や介護施設で取り入れるところが多数出てきています。

 

<導入例>
1.ご利用者、ご家族への介護アロママッサージ
2.認知症、不眠、不安不穏などへのアロマ芳香

大阪府にあるデイサービス「春の陽」も、いち早く「香り脳トレ」を取り入れた施設の1つです。

 

介護の現場へ手軽に香りの導入

春の陽では当初、知人の内科医の指導のもと、香りを拡散させるアロマディフューザーを使って香り脳トレを進めていました。

しかし、香りにも色々な種類があり、種類によって効果が違うため、適した香りの選択法がわからなかったり、また精油のセッティングの手間や置き場所の問題、あるいは精油を使用する際の適量がわからなかったりと、忙しい介護現場においては上手く進められない問題があり、継続的に取り組むためのネックとなっていました。

そうした中、手軽に取り組める香り脳トレグッズとして出会ったのが、「脳活香りシール」です。

「脳活香シール」は、医療機関や介護施設等でのメディカルアロマテラピー導入や、臨床メディカルアロマテラピーの普及活動を行うアグライア・クリニカルアロマティックラボ社(大阪市天王寺区)によって開発された香り脳トレグッズです。
誰でも手軽に香りを生活に取り入れることができたらと、約4年かけて「脳活香りシール」を開発しました。

脳活香りシール

脳活香りシールは、香の元となる精油をしみこませた直径2センチほどの不織布製シール、染み込んだ精油が液だれすることもなく、香りを半日~1日にかけて芳香します。
使用法も簡便で服などに貼るだけです。
服に貼るので外出するときなども香を嗅ぎ続けることができます。
認知症予防には、昼用と夜用とそれぞれに適した香りが染み込ませてあり、昼用は集中力、記憶力を高めるペパーミントやローズマリーがブレンドされており、夜用は脳をリラックスさせる効果があるオレンジスイートを主体とした柑橘系の香りがブレンドされています。
その他、ストレス対策、ニオイ(悪臭)対策、花粉ウイルス対策などのシールがあります。

 

このシールを導入した介護施設からは
「認知症の施設利用者の方達がシールを使い始めてから気持ちが安定する人が増えた」
「認知症でいつも歩き回っていた人が落ち着いてゆっくり食事をするようになった」
「表情が穏やかになり会話が弾むようになった」
「廊下で放尿してしまう認知症のお年寄りなども、シールを利用するようになってから少しずつ落ち着き始めて1カ月半ほどして放尿が止まった」
といった声が寄せられているようです。

 

また、介護をする側のスタッフにもいい影響があり、「香を嗅ぐことによってストレスが緩和され不思議と血圧まで安定するようになった」という声もあります。

香り脳トレによる脳の活性化は認知症の予防、改善になることはもちろん、物忘れの改善やストレスの緩和にも効果があります。香を嗅ぐだけで利用者はもちろん、そこで働く介護スタッフの心や体の健康増進が期待できますし、近隣の施設との差別化が低コストで実現可能です。

 

また、テレビや雑誌でも紹介され、一躍有名になった「タッチケア」。
体の痛みが驚くほど軽くなったり、認知症の症状がピタリと止まったりと、やさしくアロママッサージすることによって出てくる「癒やしホルモン」である「オキシトシン」の効果です。認知症の徘徊が減ったり、血圧が下がるなど、触れることで出るホルモン「オキシトシン」の可能性は計り知れません。多くの施設でも「アロママッサージ」はご利用されています。 香りプラスタッチケアのアロママッサージの効果をお試しください。

ぜひ読者の皆様の介護施設でも導入を検討してみてはどうでしょうか。
詳しくは同社のホームページ(http://www.aglaia-medicalaroma.com/)をご覧下さい。

 

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