政府は、平成30年度の介護保険制度の改定で、介護ロボットを導入する施設に「報酬加算」「施設基準の緩和」をする方針を固めました。これにより労働環境や人手不足が改善されると期待されています。果たして国が考えている通りになるのか。最新の介護ロボット事情を調査しました。
介護ロボットに関する動き
平成25年6月に「ロボット介護機器開発5か年計画」が閣議決定し、介護ロボットの実用化計画が経済産業省と厚生労働省の共同で進められました。介護ロボット普及のため、「介護ロボット導入支援事業補助金」を創設。平成27年度に52億円もの補正予算が充てられました。事業所からの申し込みが殺到し、1法人1事業所当たり92万7千円が支給されました。今後もロボット市場の拡大や職員不足対策に繋げる狙いで、介護ロボットの需要が高まることが想定されます。
介護ロボットにできること
ロボットというと、SFに出てくるような介護全般に対応できるような人間型機械を想像しますが、介護ロボットは「抱きかかえ」「排泄」「見守り」「認知症予防」など、一つの作業に特化しています。ネーミングこそ「ロボット」となっていますが、「装置」と呼んだ方が分かりやすいでしょう。
各地には、そうしたニーズを受けて、最新の介護ロボットの紹介や適切な操作方法の提案、効果的な使用方法などを展示するショールームがあります。
介護ロボットの有効性
腰痛防止ロボット
最初に「マッスルスーツ」を装着してみました。バネの力を利用して持ち上げの時に腰の負担を軽減します。実際に使用してみると、かなりの重さの物でも負担なく持ち上げることができました。
コミュニケーションロボット
展示会を開催すると、60から70代の女性が関心を寄せるそうです。ロボットは状況に応じて「いってらっしゃい」や「おかえりなさい」と言葉を発します。「夫が亡くなった後にロボットと一緒に暮らす」そんな時代が当たり前になりつつあります。
認知症高齢者に対するコミュニケーションロボットの有効性について調査したところ、人形型に比べて、ぬいぐるみ型ロボットに多くの人の関心を寄せたようです。技術者はテクノロジーに走りがちになりますが、高齢者の特徴をとらえたシンプルな機能も喜ばれるようです。
政府は介護ロボットを導入する施設に「報酬加算」を予定していますが、「介護ロボット」という名前が独り歩きをしている傾向にあります。
自分の施設にはどの介護ロボットが必要なのか。人の力とロボットをどう使い分けるか。よく検討して導入する必要がありそうです。