2018年度 介護支援専門員受験資格改正と近年の受験事情

10月ごろから各都道府県において介護支援専門員試験が実施されます。2018年度から資格要件が変更されるため、実務経験などによっては、来年以降受験できなくなる人も出てきます。「現行の要件と新しい要件は、どう異なるのか?」「介護支援専門員の現状は?」といった疑問にお答えいたします。

 

介護支援専門員の資格は常に見直しが図られている

介護支援専門員については過去にも見直しが図られています。2000年に創設された介護保険制度は、当時の厚生労働省の担当者が「走りながら考える制度」といったことからもわかるとおり、見切り発車のスタートであったため、様々な問題が勃発しました。介護支援専門員は、いわゆる相談援助業務を中心としていますが、これまで限られた専門職しか携わっていなかった高齢者に、多くの“急増された専門職”がかかわることでトラブルが多発。「見下された」「態度がなっていない」「知識が乏しい」など、資質と専門性の欠如が指摘されました。

2006年の介護保険制度改正では、介護支援専門員の資格を5年ごとの更新に変更、介護支援専門員のオブザーバー的存在として、新たに主任ケアマネジャーの資格が創設されました。また、ケアプランの作成の報酬が要介護度別に設定される、一人あたりの受け持ち件数が多くならないようにするなどの工夫が図られています。また、2015年には、ケアマネジャーの質・専門性の向上のためという理由で、国家資格有資格者の一部科目の免除が廃止されています。

 

2018年の資格要件改正で受験できなくなる人が発生

下記の表の通り、介護関連では介護福祉士以外の受験資格は消滅するため、2018年よりこれらに該当する人は、介護福祉士に合格して5年間の実務経験を得ることで、ようやく受験資格が与えられます。介護従事者の中には、介護支援専門員になることをステップアップと考えている人も多いので、これは大きなダメージです。

2017年までの受験資格
下記のいずれかを満たす
2018年からの受験資格
下記のいずれかを満たす
①国家資格等に基づく業務経験5年
国家資格を保有かつ、各資格の業務に5年間従事した者
変更なし
②相談援助業務経験5年
介護施設などで相談援助業務に5年間従事する者。
②相談援助業務経験5年
・生活相談員
・支援相談員
・相談支援専門員
・主任相談支援員
③介護資格+介護等業務経験5年
介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)等の資格を保有していて、5年間介護等の業務に従事した者。
資格要件から除外
④介護等業務10年(無資格可)
10年間介護等の業務に従事した者

該当する国家資格

医師,歯科医師,薬剤師,保健師,助産師,看護師,准看護師,理学療法士,作業療法士,社会福祉士,介護福祉士,視能訓練士,義肢装具士,歯科衛生士,言語聴覚士,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師,柔道整復師,栄養士,管理栄養士,精神保健福祉士

 

近年の合格率と合格ライン

資格要件変更に伴い、2017年の受験をラストチャンスと考えている人は多いことでしょう。近年の合格率を表にしてみました。

実施時期 受験者数 合格者数 合格率
2016年 124,585人 16,280人 13.1%
2015年 134,539人 20,924人 15.6%
2014年 174,974人 33,539人 19.2%
2013年 144,397人 22,331人 15.5%
2012年 146,586人 27,905人 19.0%

難関といわれる社会福祉士でも合格率25~30%であることを考えると、介護支援専門員の合格率が著しく低いことが分かります。2016年度の試験を見ると、介護支援分野 25問、保健医療分野(基礎) 15問、保健医療分野 (総合) 5問、福祉サービス分野 15問が出題され、合計得点で7割の得点が合格ラインでした。どちらかが満点であっても、どちらかが基準に満たない場合は不合格になるといわれています。

 

合格率の低さは意識しなくていい

合格率の低さや受験者の多さに絶望される人も多いと思います。まして一発勝負となるとプレッシャーもかかるでしょう。しかし数字に惑わされないでください。筆者も介護支援専門員の有資格者ですが、試験内容はそれほど難しいものではありません。合格と不合格を分けるラインは「きちんと準備をして臨んだのか」という1点のみです。それができていれば不安に思うことはありません。

周囲を見ていると準備が不十分だったり、何とかなるだろうという気分で受験している人を多く見受けます。そうした意識の低さが合格率に反映されていることが考えられます。つまり合格率の低さは意識しなくていいのです。

介護経営のサイトに、筆者の受験体験・教員体験を活かした「資格受験マニュアル」がありますので、効率的な勉強方法や問題集の活用を参考にして、ぜひ合格へのイメージをつかんでください。
>>介護職員のための資格取得マニュアル

 

 

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