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2018年度(平成30年度)介護報酬改定事項【訪問看護編】

平成30年1月26日、社会保障審議会介護給付費分科会にて、2018年度介護報酬改定におけるサービス毎の改定事項が示されました。
今回は訪問看護サービスの改定事項を紹介します。

 

1.【見直し】在宅における中重度の要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応強化(看護体制強化加算の見直し)

ターミナルケア加算の算定者数が多い場合について新たな区分を設けるとともに、現行3カ月である緊急時訪問看護加算等の算定者割合の算定期間を見直します。
中重度の要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応を強化するため、新設されました。

[単位数]

現行 改定後
看護体制強化加算 300単位/月 看護体制強化加算(Ⅰ)600単位/月(新設)
看護体制強化加算(Ⅰ)600単位/月

*介護予防訪問看護については、もともとターミナルケア加算の算定者数の要件は課していないことから、加算(Ⅱ)のみ設け、加算(Ⅰ)は設けず、加算名は「看護体制強化加算」から変更しない。

[算定要件等]

●看護体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)共通
・「緊急時訪問看護加算の算定者割合50%以上」の要件及び「特別管理加算の算定者割合30%以上」の要件の実績期間を現行の3月間から6月間へ変更する。
・医療機関の連携のもと、看護職員の出向や研修派遣などの相互人材交流を通じて在宅療養支援能力の向上を支援し、地域の訪問看護人材の確保・育成に寄与する取組を実施していることが望ましい。

●看護体制強化加算(Ⅰ)
ターミナルケア加算の算定者5名以上(12月間)(新設)

●看護体制強化加算(Ⅱ)
・ターミナルケア加算の算定者1名以上(12月間)(変更なし)
訪問看護事業所の利用者によって看護体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)を選択的に算定することができないものであり、当該訪問看護事業所においていずれか一方のみを届出する。

 

2.【見直し】在宅における中重度の要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応強化(緊急時訪問看護加算の見直し)

24時間体制のある訪問看護事業所からの緊急時訪問を評価します。具体的には、現行、早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算については、2回目以降の緊急時訪問において、「一部の対象者(特別管理加算算定者)に限り算定できる」こととなっているが、この対象者について拡大を図ることとします。

[単位数]

現行 改定後
(訪問看護ステーション)
緊急時訪問看護加算 540単位/月
(病院又は診療所)
緊急時訪問看護加算 290単位/月
574単位/月(見直し)315単位/月(見直し)

[算定要件等]

●緊急時訪問看護加算
・1月以内の2回目以降の緊急時訪問については、早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算を算定します(特別管理加算算定者に限りません)(見直し)

 

3.【見直し】複数名による訪問看護に係る加算の実施者の見直し

訪問看護における複数名訪問看護加算について、同時に訪問するものとして、現行の看護師等とは別に看護補助者が同行し、役割分担をした場合の評価の区分を新たに創設します。
この場合の看護補助者については、医療保険での疑義解釈で示されているものと同様とします。

[単位数]

現行 改定後
(2人の看護師等が同時に訪問看護を行う場合)
・30分未満の場合:254単位
・30分以上の場合:402単位
(2人の看護師等が同時に訪問看護を行う場合)
・複数名訪問加算(Ⅰ)(変更なし)
(看護師等と看護補助者が同時に訪問看護を行う場合)
・複数名訪問加算(Ⅱ)(新設)
・30分未満の場合:201単位
・30分以上の場合:317単位

[算定要件等]

・看護補助者の要件については医療保険で示している定義と同様とする
「看護補助者とは、訪問看護を担当する看護師等の指導の下に、療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)の他、居室内の環境整備、看護用品及び消耗品の整理整頓等といった看護業務の補助を行う者のことを想定しており、資格は問わない。秘密保持や医療安全等の観点から、訪問看護事業所に雇用されている必要があるが、指定基準の人員に含まれないことから、従事者の変更届の提出は要しない。」

 

4.【見直し】訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し

訪問看護ステーションからの理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下、理学療法士等)による訪問看護について評価の見直しを行います。看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させる位置づけのものでありますが、看護職員と理学療法士等の連携が十分でない場合があることを踏まえ、見直すものです。

[単位数]

現行 改定後
(理学療法士等の場合)
・302単位/回
*1日3回以上の場合は90/100
・296単位/回(見直し)
*1日3回以上の場合は90/100

[算定要件等]

・理学療法士等が訪問看護を提供している利用者については、利用者の状況や実施した看護の情報を看護職員と理学療法士等が共有するとともに、訪問看護計画書及び訪問看護報告書について、看護職員と理学療法士等が連携し作成することとする。
・訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成により、訪問看護サービスの利用開始時や利用者の状態の変化等に合わせた定期的な看護職員による訪問により、利用者の状態について適切に評価を行うとともに、理学療法士等による訪問看護はその訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりにさせる訪問であること等を利用者等に説明し、同意を得ることとする。

 

5.【見直し】報酬体系の見直し

・要支援者と要介護者に対する訪問看護について、サービスの提供内容等を踏まえ、基本サービス費に一定の差を設けることとします。

[単位数]

指定訪問看護ステーションの場合

現行 改定後
共通 訪問看護 介護予防訪問看護
20分未満 310単位 311単位 300単位
30分未満 463単位 467単位 448単位
30分以上1時間未満 814単位 816単位 787単位
1時間以上1時間30分未満 1117単位 1118単位 1080単位
理学療法士等の場合 302単位 296単位 286単位

1日3回以上の場合は90/100

病院又は診療所の場合

現行 改定後
共通 訪問看護 介護予防訪問看護
20分未満 262単位 263単位 253単位
30分未満 392単位 396単位 379単位
30分以上1時間未満 567単位 569単位 548単位
1時間以上1時間30分未満 835単位 836単位 807単位

 

6.【見直し】同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬

同一建物等居住者にサービス提供する場合の建物の範囲の見直しを行うと共に、サービス利用者の人数により減算幅を見直します。

[単位数・減算要件]

現行 改定後
10%減算 ① 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅限る)に居住する者

② 上記以外の範囲に所在する建物(建物の定義は同上)に居住する者(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上の場合)

① 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建 物に居住する者(③に該当する場合を除く。)

② 上記以外の範囲に所在する建物に居住する者 (当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以 上の場合)

15%減算 ③ ①の建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50人以上の場合

 

7.ターミナルケアの充実

ターミナルケア加算の要件として「人生の最終段階における意思決定プロセスにおけるガイドライン」等の内容を踏まえ、利用者本人と話し合いを行い、利用者本人の意思決定を基本に、他の医療及び介護関係者との連携の上、対応することとします。

 

8.その他

介護保険の訪問看護と医療保険の精神科訪問看護の同一日等の併算ができないことを明確化します。