平成30年1月26日、社会保障審議会介護給付費分科会にて、2018年度介護報酬改定におけるサービス毎の改定事項が示されました。
今回は訪問リハビリテーションサービスの改定事項を紹介します。
1.(見直し)医師の指示の明確化等
・医師の詳細な指示について、リハビリテーションマネージメント加算の算定要件として明確化するともに、介護事業経営実態調査の結果を踏まえ基本報酬を見直します。
単位数
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)
基本報酬(訪問リハビリテーション費)
現行 | 改定後 |
---|---|
60単位/月
302単位/回 |
230単位/月
290単位/回 |
[算定要件等]
●リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)(見直し)
・指定リハビリテーション事業所の医師が、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士に対し、当該リハビリテーションの目的、留意事項、中止の基準、負荷のうち、いずれか1以上の指示を行うこと。
・医師が当該利用者に対して3月以上の継続利用が必要と判断する場合には、リハビリテーション計画書の備考欄に、継続利用が必要な理由、その他のサービスへの移行の見通しを記載すること
2.(見直し)リハビリテーション会議への参加方法の見直し等
①テレビ電話の活用による医師のリハビリテーション会議への参加が認められます。
②医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士がリハビリテーション計画等について医師の代わりに説明できることとします。
③一定基準以上の期間、リハビリテーションの利用がある方は、介護の頻度を3カ月に1度でよいこととします。
医師のリハビリテーション会議への出席や、説明時間の確保が困難な状況への対応です。
単位数
現行 | 改定後 |
---|---|
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ) 150単位/月 |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)
280単位/月(新設) *理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が説明する場合
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅲ) |
[算定要件等]
①医師のリハビリテーション会議への出席についてはテレビ電話等を使用してもよいこと
②通所リハビリテーション計画について、当該計画の作成に関与した理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得るとともに、説明した内容等について医師へ報告すること
4.(新設)リハビリテーション計画等のデータ提出等に対する評価
現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)の要件に加え、以下の要件を満たした事業所を新たに評価することとします。
単位数
現行 | 改定後 |
---|---|
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)
150単位/月 |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)
420単位/月(新設) |
[算定要件等]
・リハビリテーションマネジメント加算(Ⅲ)の要件に適合すること
・通所リハビリテーション計画書等の内容に関するデータを、通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業に参加し、同事業で活用しているシステム(VISIT)を用いて厚生労働省に提出していること。
5.(新設)介護予防訪問リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算
要支援者を対象に介護予防訪問リハビリテーションについてもリハビリテーションマネジメント加算を導入し、質の向上を図る。
現行 | 改定後 |
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なし | リハビリテーションマネジメント加算230単位/月(新設) |
[算定要件等]
・指定リハビリテーション事業所の医師が、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士に対し、当該リハビリテーションの目的、留意事項、中止の基準、負荷のうち、いずれか1以上の指示を行うこと。
・おおむね3月ごとにリハビリテーション計画を更新すること
・理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、介護支援専門員を通じて、従事者に対して日常生活上の介護の工夫等を伝達すること
・医師が当該利用者に対して3月以上の継続利用が必要と判断する場合には、リハビリテーション計画書の備考欄に、継続利用が必要な理由、その他のサービスへの移行の見通しを記載すること
6.(新設)介護予防訪問リハビリテーションにおける事業所評価加算の創設
要支援者を対象に介護予防訪問リハビリテーションについてもアウトカム評価として設けられている事業所評価加算を導入し、自立支援、重度化防止を図る。
単位数
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 事業所評価加算120単位/月(新設) |
[算定要件等]
・定員利用・人員基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出てリハビリテーションマネジメント加算を算定していること
・利用実人員数が10名以上であること
・利用実人員数の60%以上にリハビリテーションマネジメント加算を算定していること
・以下の数式を満たすこと(リハビリテーションマネジメント加算を3月以上算定した者の要支援状態の維持・改善率)
7.(新設)訪問リハビリテーションにおける専任の常勤医師の配置の必須化
指定訪問リハビリテーション事業所に専任の常勤医師の配置を求めることとします。
この際、事業所である病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院の常勤医師との兼務を可能とするほか、病院又は診療所と併設されているものについては、通所リハビリテーションの人員基準と同様に当該病院又は診療所の常勤医師との兼務で差し支えないものとします。医師の診療に係る取扱いについて例外を設けることとするが、この場合の評価は適正化することとします。
単位数
事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 20単位/回減算(新設) |
[算定要件等]
・事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合には、例外として下記を要件とし、訪問リハビリテーションを提供できることとする。
・当該事業所とは別の医療機関の医師による計画的な医学管理を受けている場合であって、当該事業所の医師が、計画的な医学的管理を行っている医師から、当該利用者に関する情報を受けていること
・当該計画的な医学管理を行っている医師が適切な研修の修了等をしていること
・当該情報の提供を受けた指定訪問リハビリテーション事業所の医師が、当該情報を踏まえ、リハビリテーション計画を作成すること
8.(新設)同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬
同一建物等居住者にサービス提供する場合の建物の範囲の見直しを行うと共に、サービス利用者の人数により減算幅を見直します。
[単位数・減算要件]
現行 | 改定後 | |
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10%減算 | ① 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅限る)に居住する者
② 上記以外の範囲に所在する建物(建物の定義は同上)に居住する者(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上の場合) |
① 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建 物に居住する者(③に該当する場合を除く。) ② 上記以外の範囲に所在する建物に居住する者 (当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以 上の場合) |
15%減算 | ③ ①の建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50人以上の場合 |
9.基本報酬の見直し
リハビリテーション計画を作成する際の医師の診療について、利用者が指定訪問リハビリテーション事業所である医療機関を受診した日若しくは、訪問診療等を行った日に、訪問リハビリテーション計画を作成する際の医師の診療を行った場合には、当該診療と時間を別にして行われていることを記録上明確にするものとします。
10.医療と介護におけるリハビリテーション計画の様式の見直し
医療保険と介護保険のそれぞれのリハビリテーション計画書の共通する事項について互換性を持った様式を設けます。医療保険と介護保険への円滑な移行を推進します。
11.離島や中山間地域等の要支援・要介護者に対する訪問リハビリテーションの提供
指定訪問リハビリテーションにおいて、他の訪問系サービスと同様に「特別地域加算」「中山間地域等における小規模事業所加算」を新たに創設します。
12.介護医療院が提供する訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションについては、介護療養型医療施設においても、通所リハビリテーションを提供することが可能となりました。
13.その他
平成29年度をもって介護予防訪問介護の地域支援事業への移行が完了することに伴い、介護予防訪問リハビリテーションにおける訪問介護連携加算を廃止することとします。