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増加を続ける認知症には種類があった?認知症の種別と、受け入れ施設の種類や違いについて

認知症にかかる方が、ここ数年右肩上りで増加中です。

団塊の世代が70代になる2025年には、500万人にまで日本国内で認知症の患者数が増加するとも予想されています。

そこで求められているのが増加し続ける認知症の患者さんに対する対策やケアに関する施設の新設や新規開業(M&Aでの買収開業含む)です。

また、認知症には種類があります。今回はそんな認知症の種別と、対応する各受入施設の種類や違いについてご紹介していきます。

 

前提:認知症は完治することは不可能な疾病

認知症は現在の医学では完治することは不可能です。

そのため、認知症の「対策」が求められます。

今アメリカでは、治療薬も開発に力を入れていますが、それと同様のエネルギーを持って予防にも力を入れています。

認知症は不可逆的であり、残念ながら完治することはできません。そのために、予防に力を入れているわけです。

(ビタミン欠乏症や慢性硬膜下血種や正常圧水頭症などが原因の「認知症状」は治療を受けることにより治る可逆性もありますが、これは認知症ではなく「認知症状」です。)

また現在認知症の薬というものがありますが、現在の認知症の薬は残念ながら進行を遅らせるだけなのです。

 

認知症には大きく分けて脳血管性認知症などの種類が存在

認知症の種類には脳血管性認知症(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)・アルツハイマー認知症・レビー小体型認知症(パーキンソン病の疾患がある人に併発することが多い)・前頭葉側頭葉認知症(ピック病)などがあります。

後、MCI(軽度認知症)と呼ばれる方もいますが、これはまだ認知症と診断されるには時期尚早で、早期に発見し適切な治療をすれば改善します。逆に放置しておくとアルツハイマー認知症に移行してしまう可能性があります。

これらの認知症の症状や神田数の増加に伴い、国はオレンジプランを提唱し、認知症サポーターを600万に養成することを目標にしています。これは非常によいことだと思います。

さらに事例として北海道には「認知症の人が歩ける町」を標榜している町村が2か所あります。大きい都市ではできないかもしれませんが、素晴らしい試みかと思います。

これらの解説を踏まえた上で今後新規に認知症に罹患した方はどのようにケアを受けるべきでしょうか?

そして認知症患者のご家族様はどのような形で施設に頼れば良いのでしょうか?

そこで続いては、認知症に罹患した際に受けられるケアを、大きく2種類の枠からご紹介していきます。

 

認知症ケアは在宅ケアと施設でのケアに大別される

まずは認知症のケアは在宅と施設に分けることができます。(グループホームは法律上在宅扱いですが、今回は便宜上、施設扱いとします。)

<施設編>

・特別養護老人ホーム

介護保険の原則要介護3以上で入所できます。しかし、待機者がたくさんいるので、すぐには入所できません。認知症に特化しているわけではなく、身体障害の方もおり、認知症にだけ対応するわけにはいかない状況です。

介護者の数も多いですが、認知症の方の対応の差がでてきてしまうこともあります。入居者も介護者を見ているのです。職員の認識や教育なども重要なファクターとなりますので、この施設の運営者や経営者は職員の認知症の学習会などを開き、認知症の理解を深める必要があります。

 

・介護老人保健施設

特別養護老人ホーム(特老)よりはやや条件が緩和され、介護度1以上から入居できます。

施設は一般棟と認知症専門棟があります。ですから専門棟のスタッフが認知症の学習をしていれば、個々人の対応にもスムーズにできるでしょう(新しい入所者の特性を個別に把握するのには時間を要しますが)

 

・介護療養型医療施設(いわゆる老人病院)

介護医療院に名称が変わる予定です。

介護度1以上の方が「入院」できる施設です。

しかし、医療機関であるため介護士の数が上記の施設より少ないという特徴があります。認知症患者も入院できますが、看護師たちは拒否的な傾向にあります。

理由としては認知症を理解できていないからです。ひどいところでは患者を抑制することもあります。(ただし、抑制は法律上「原則としては」認められていません)

他の施設と違って看護師の数も多いので、介護士との溝が深いところもあります。(以前私がMSWとして勤務していた病院では、まさに溝が深かったです。)

ただし、医療機関であることには変わりなく、施設に比べると緊急時には専門的なケアを受けられるという利点もあります。

 

・認知症対応型入居施設(いわゆるグループホームです)

要介護1以上が入居できます。ここは認知症に特化した施設です。

 

しかし、「認知症が重度」だからという理由で受け入れを断られることも現状としては多く存在します。

9人の入居者につき3名の介護員が配置されていますが、人数的には職員の数は正直少ない印象です。そのため「重度の認知症」の方が断られてしまう、本末転倒になってしまうのです。

法律上は3人でよいので違反ではありませんが、もう1人くらい配置されていると安心な施設と言ってよいでしょう。経営の観点から考えると、グループホームは収益がいいと MSWやケアマネの仲間内でも囁かれることがあります。

1人分くらいの人件費が増えても安定経営できると思うのですが…。まだ4人体制をしいているグループホームは私の周りでは聞いたことが残念ながらありません。

裏を返せば、これは絶大な営業のチャンス、セールスポイントかもしれませんね。

このあたりの人員体制については認知症患者のご家族様も利用の判断材料としている方が多いため、いま4人体制で開業すれば、その地域では圧倒的な信頼を獲得できるかもしれません。

この業界においては、地域ごとに認知症患者を持つ家族が緩やかな情報連携をしていることが多く、Web上の拡散とは比べ物にならないくらいコンバージョン率の高い情報(=口コミ)の拡散をもとに、バイラルマーケティングが奏功することが多々あります。

 

<在宅編>

・通所介護

上記でご紹介したような施設に「通い」で入所する方法ですが、ほぼ受け入れてくれません。重介護の方に時間がさかれて、認知症の方までフォローができないのが現実です。

 

・認知症対応型通所介護

認知症に特化したデイサービスです。10名が定員と定められて職員の配置も多いです。しかし、ここでも前述したとおりグループホームと同様「認知症が重度」すぎて断られてしまうケースもあります。

なんのための通所介護か疑問になりますよね。

 

北九州生まれ・宅老所という新たな選択肢

では認知症の方はどこへ行けばよいのか?そこで注目を浴びているのが宅老所です。北九州で初めて取り組まれました。

介護報酬上の対象ではないので金額は自費なのですが、日中は認知症対応型通所介護を併設しており、日中はそこで過ごしてもらい、時間外で夜間宿泊することができます。

週に1回の方もいれば、毎日の人もいます。施設から出ていく利用者にもむりやり連れ帰るのではなく、とことん一緒に付き合います。

すると利用者は疲れてきます。そこで「もどりましょう」と施設に帰ります。

歩き疲れたので寝つきがよく、眠剤を使用しなくても朝まで眠るそうです。まさしく相乗効果です。

このような試みが成功しているのであれば介護報酬上に組み込んで生活的にも苦しい方々も利用できるようなシステムにぜひともなってほしいものです。

宅老所では看取りも行っており、最後まで対応してもらえるのです。見学者が絶えないようです。

このように認知症には様々な種類があり、そしてそれに対応する施設の運用が存在することがおわかりいただけたかと思います。

そして施設のキャパシティとしては、地域にもよりますがほぼ慢性的な施設不足、つまり需要過多の状況にあります。

 

施設開業の場合は助成金で職員教育ができる?

またこの介護という業界においては、やはり国からの期待値も高く、また社会貢献的にも大変需要の高い業種です。

そういったことから、他の一般の営利企業よりも国からの助成金や様々な助成プログラムについては優遇されているといった様相を呈しています。

さらに2018年は介護報酬や診療報酬のダブル改定という時代の転換期を迎えます。そんな時代の転換期に合わせて、助成金で介護施設が教育研修ができるという方法があります。