業種別に見る介護職の離職理由と人材育成の重要性

一言で「人材育成」…。非常に難しいですね。採用側の相手を見る力も必要になってくるでしょう。

介護職は非常に離職率が高く、介護業界からも出ていく場合も非常に多いです(潜在的介護士)その理由はなにか?実は一言では言えないと思います。

給料が安い、人間関係が悪い、パワハラ、セクハラなど理由は多種多用です。さらに介護業界は一般企業とは違い、転職が簡単にできてしまうことがあります。

そのため、自分が気に入らないとすぐに退職してしまう傾向にあります。決して悪いことではありませんが、地域の業界は狭いです。

「あの人●●もうやめたって」

「あの人長続きしないよね」

と、
いらぬ噂まででてしまいます。転職を繰り返すことは転職をする側にも問題があるのかもしれませんね。

それでも人材不足しているのは事実です。

施設と在宅に分けて考えてみましょう。

 

施設の場合

介護さんとか助手さんと呼ばれることが多いでしょう。主な業務内容は、食事、入浴、排せつの介助がメインでレクリエーションも行うところが多いでしょう。

給与体系は正社員・準社員・パートと分けることができます。特にヘルパーなどの資格は必要ありません。しかし、採用側は資格を取得している人を採用する傾向にあります。

中には働きながらヘルパー取得を応援してくれ費用の一部を補助してくれる施設もあります。

3年間の実務経験を経たら介護福祉士の受験資格が発生します(その3年間の間に実務者研修を受講することが条件になりましたが)向上心がある方の離職率は低いとの統計があります。(厚生労働省:国民と福祉の動向)

介護福祉士を取得すれば資格手当がつく施設もあります。職員のモチベーションをあげるにはとてもよいことと言って良いでしょう。

施設の場合、24時間体制なので夜勤もあります。夜勤には手当てがつくので、在宅のヘルパーより給与は高い傾向にあります。

しかし、お子さんが小さい方やシングルマザーの場合は、なかなか変則勤務の職場は厳しいのが現実です。

施設内に保育所を持ち福利厚生を図っている施設もありますが、条件が看護師のお子さんのみで介護職のお子さんはNG、というところが多いのが現実です。

しかし、施設での仕事は無資格からスタートできるので、職場に理解があれば日勤のみの勤務をさせてくれる場合もあります。

 

在宅の場合

在宅の場合もヘルパーの資格が必要なのは、訪問介護事業所(ヘルパーステーション)のみです。

ほかのデイサービスやグループホームなどは施設同様資格がなくても仕事に就くことが可能です。

在宅の利点は夜勤がないことと、ある程度自分のシフトで働けることです。ただし、施設の職員より給与は安くはなってしまいますが。

 

経営側が考えたい、「介護職の」人材育成と離職防止策

以上のように施設・在宅の介護士の立ち位置を説明してきましたが、実際人材育成はどのようにしていけばよいのか?経営側は頭を抱えることが多いことかと思います。

まずは、経営側と現場側の両方に精通する介護士を育成することでしょう。

職場側の状況(営利も含め)を把握し、現場では介護技術、コミュニケーション力を覚えさせることができることがとても大切になって来ます。

そして何より、事業体の収入以上に給与がもらえるわけではない、ということを理解させる必要があります。

それが原因で職場を離れていく場合は無理に慰留する必要はありません。おそらくどこでも、同じことを繰り返していくでしょう。

 

介護の人材育成は「急がば回れ」

経営側にとって人材育成は急務です。しかし、いい人材はどこも手放したくありません。いい人材を得ようとするならば、「育てる」ことも必要になってくるでしょう。

急務であるからこそ、時間をかけて育てる必要があるのではないのかと思います。

「急がば回れ」です。

即席の管理職などは必要ないのではないでしょうか。

権利だけ主張して、義務を果たさない者は後々厄介なので困らないよう対策を練ることも大切です。

そのためには経営側も採用面接の際に、「見る目」を養うことも必要でしょう。

人員が不足していることは痛いほどわかりますが、この介護という業界においては、誰でもかれでも採用してしまうと上記のような状況になってしまいます。

必要ないと思えば、勇気をだして不採用すべきです。

確かにその分現場は大変かもしれませんが、介護士リーダーだけではなく、経営側の説明責任を果たし、理解してもらう事こそが非常に大切です。

そうすることにより、現場は「経営側も考えてくれている」のだと理解し、風通しもよくなるでしょう。

このような努力をしていれば、すぐに人材は来ますし、離職率も低くなるでしょう。実際ある施設では就職の空き待ちをしているところもあるのです。

先ほども少々触れましたが、急がば回れとはこういうことです。

 

介護報酬の改定による処遇改善加算は離職率の歯止めになるか

純粋培養も必要になるかもしれませんね。今回(2018年)介護報酬の改正があります。処遇改善加算はアップすることになりそうで、経営側は大変かもしれませんが、離職率の歯止めにはなるのかと期待しています。

やりがいのある施設運営は現場だけに任せないで経営側も積極的に関わっていくことも大切だと思います。例えば、デイサービスのご利用者は圧倒的に女性が多いのですが、スロット、麻雀、ルーレットなどのギャンブル要素がある機器を用意したところ、利用者のうちの男性比率が急激に伸びたようです。

この企業も最初は普通のデイサービスを運営していたようですが、男性利用者が少ないことをどうすればよいのかと考えた末に考えついたようです。(神戸市では風営法の関係で認可はおりないようですが。)

このように人材をそだて、リーダーになる素質があれば管理職に昇格させ、給与にも反映させれば管理者の確保ができます。

管理者は介護の技術だけでなく、人を育てることも必要になってきます。そして企業はその管理者を全面的にバックアップしていくことで、現場からの言葉、企業側の理念・目標などが双方向に伝わります。

管理職は大変かもしれませんが、企業の潤滑油になってもらえるところはいい企業と言えるでしょう。そして必ず管理職を企業側は必ずフォローしましょう。とても大事なことです。

もし、フォローしない場合、管理職だけではなく、スタッフも根こそぎ退職するかもしれませんよ。

 

早期離職を防ぐためには

実はこう言った早期離職というのは、介護職においてはままある話です。

実は入職した際の早期研修ガイダンスや様々な説明の内容に不備があった、ということで実際にやりたかったことと、労働条件に食い違いが発生し、早期離職や早期退職に繋がるといったケースも存在します。

そこでまず早期離職が多い場合は経営側としては、最初のガイダンスや研修などのブラッシュアップを行う必要があります。つまり見直しが必要であるという可能性も考えなくてはならないということです。

弊社ではこういった経営者側からの声をもとにして作成した早期離職を防ぐ『介護士新人研修実施マニュアル』を無料配布しています。

こちらのマニュアルを元に、介護士や様々な介護職の新人について新人研修を実施し、ガイダンスや目標達成シートの活用も含めて、早期離職を最大限に防ぐ一助とすることが可能です。
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