MSW(メディカルソーシャルワーカー)として勤務をしていると、様々な事例にあたることがあります。
そしてこの様々な事例というのはやはり、患者様やご家族様の数だけケースバイケースといった格好で存在するわけですから、介護事業者やMSWはこれらの経験値・あるいは事例の共有がなければ成長することはできません。事例の数だけ正解や最適解があり、経験値が物を言う世界、そう、税理士さんなどとも似通う要素はあるでしょう。
そこで今回はMSW回想記ということで、実際に起こった事例をもとに個人を特定出来ない様フィクションとして再構成を行い、その時MSWの筆者がどのような行動をとったかについて紹介します。なお今回は編集の都合上、MSWに助けを求めたご家族様の視点に立って手記風にお送りします。
主治医意見書の遅延でグループホームを強制退去!?
義父はグループホームに入居していました。
要介護1です。
市役所より介護認定の更新の案内が届き市役所に行って申請してきました。
しかし、有効期間を過ぎても介護認定の通知は届かず、結果が出ないのは主治医意見書がまだ市役所に届いておらず、認定が遅れていることが原因だ、との知らせが届いていました。
この時、大して気にも留めなかったのでそのまま放置していました。そしてようやく結果が郵送されてきました。結果は要支援でした。
グループホームに保険証を持参したところ「要支援ではグループホームには入居できません。退去してください。認定が過ぎている分は1割負担が無効なので全額自己負担になります」と言われてしまいました。
この時は本当にどうしようかと頭が真っ白になりました。
これからどうするか。本人の居場所がないわけですから。
本人の居場所を求めて
次に怒りが沸いてきて、主治医である●●病院に電話しました。
医療相談室という部署につながり、
「お金なんか払わないからね。どうしてくれるの?あんたならどうするの?」
と怒鳴り散らしました。
先方は医療相談室のソーシャルワーカーが担当してくたようで、「今のお話では事情がわからないので詳しくお話をきかせてくれませんか?」と物腰の柔らかい口調で話してきたので、少し落ち着いたので事情を説明しました。
「ではグループホームを退去させられて、かつ認定を待っている間の期間が要支援になってしまったので自費請求になるということですね」
と私の話をまとめて話してくれ、状況を理解してくれました。
「それは大変ですね。当院の医師が意見書が遅くなり、このような結果になったのですね。誠にすみませんでした」
とも。
「そうなのよ、そう」と返答しました。
するとソーシャルワーカーは「今、私の一存では物事が決められないので、早急に対応しますので、待ってもらっていいですか」と言われたので了解し電話を切りました。
すると、1時間くらい後に電話がかかってきて、「まずは変更申請をするように調整しましょう。後、その結果がでるまでは当院で入院し待ちましょう」と言ってくれました。
そしてすぐに変更の手続きを私の方で行いました。すると、市役所の介護保険課にはすでにソーシャルワーカーから連絡がきていたようで「お急ぎですね。すぐに調査しましょう。」とその場で私の都合と調整し、認定調査の日程が決まりました。
そのことをソーシャルワーカーにお礼を兼ねて電話したところ、「調査日が決まったのですね。当院も主治医にすぐ書いてもらうよう段取りを取りました。後は結果を待つだけです。あと、これは内緒ですが・・・」と、ちょっとした裏技のような知恵も、いくつかつけてくれました。
そして調査も無事終わり、その件を報告しに相談室に行ったところ、「意見書もできました。明日には市役所に届くと思いますので、早い段階で結果がでると思いますよ。そして要介護1以上になるように祈りましょう。さすがに介護度は調整できませんので。」と。
私からは「次のところが決まっていなくて困っている。前に入居していたグループホームは変更申請するから退去させるのを待ってほしいと言ったけれども、それはできないと言われ、すでに次の入居者が決まっている。なので本人の帰るところがない。同居は本人の認知症がひどいし、共働きなので難しい」と訴えました。
すると「安心してください。次の受け入れ先のグループホームは空きがあり、念のため確保してもらっています。最終的には皆さんで決めてもらうことになりますが、1度見学に行くことを勧めます」と言われ場所と電話番号、担当者の名前を教えてもらい、行動に移しました。
出来立てのグループホームなようで、清潔で職員の接遇もよく、ここなら義父を任せられると思いました。
先方の担当者にはソーシャルワーカーからすでに情報がきているようで「今回は大変でしたね。介護認定の結果次第ですが、部屋を空けて待っていますね」と言われて帰ってきました。
ソーシャルワーカーはすでに介護度を決める会議の日程もすでに確認しており、それを私に連絡してくれました。
ソーシャルワーカーは「結果が自宅に届くのは認定されてから、次の日の発送なので確認が遅れるので、ご家族さえよければ会議の翌日に私から連絡し、介護度を確認しますけれど、どうしますか?」と言われたのでお願いしました。
そして運命の結果をソーシャルワーカーから確認後、すぐに連絡をもらえることになっていたので電話の前で電話が来るのを待ってしました。
待っている時間がとても長く感じたのを覚えています。
それからソーシャルワーカーから電話があり、「要介護1の認定がでました。早速グループホーム入居の手続きをしましょう」と言われ安堵しました。
そして待っていてくれたグループホームに入居することができました。ソーシャルワーカーはすごい仕事をするんだなと感心してしまいました。
その後義父は老人ホームに入居し、穏やかな生活を送っています。
病院から施設への入居の場合はケアマネではなくMSWが橋渡し役に
今回の事例でもそうですが、一般的に医療機関に入院しており、そこから施設への受け入れなどが決まる場合には、原則的にMSWが施設と医療機関の橋渡し役、つまり紹介役となるわけです。
そのためこういった営業ルートも確保しておくという観点からは、MSWについても日頃から医療機関に日参して情報共有を行うことなどで営業活動を行う必要があります。
そしてその営業についてはやはり通常の営利企業のような営業手法ではいけません。
ところで、ここに【ケアマネ営業ハンドブック】というマニュアルがあります。
こちらは介護施設営業の最重要課題であるケアマネージャーへの営業という課題に取り組むための様々なヒントが盛り込まれていますが、これはともすればMSWへの営業にも本質的に威力を発揮します。
まずはケアマネージャーへの営業と同時にMSWの営業、というルートも開拓してみませんか?
系列に介護事業所を持つTasuCare(タスケア)編集グループで、総力を結集して作成したこのケアマネ営業ハンドブック。
こちらのページから受け取りの手続きにお進みいただければ、すぐにダウンロードすることができ、そしてすぐに印刷して明日からでもお使いいただくことが可能です。
まずはこちらのページへお進みください。