デイサービスと脳トレと宿題と

あれほど楽しみにしていたデイサービスに、なぜか突然行きたくないと言い出した利用者さん。
理由は、「脳トレのプリントをしたくない」からということでしたが、そこには根深い問題がありました。

ケアマネージャーが、ご家族から伺った話を、本人が特定できぬよう手記風に再現してみました。

 

祖母がデイサービスを嫌がるようになった

なんとなく体調が悪いというので、最初は無理をさせないように、当日の朝お休みの連絡を入れていました。しかし家では具合が悪いどころか、しゃんとしている。このようなことが何度かありました。
仮病をつかっているのは明らかですが、行きたくない理由は誰もわからなかったのです。

デイサービスの方は最近調子が悪いようだという認識はしていたと思います。
仮病を使っている事をお伝えしてもいいのか、そもそも誰に言えばいいのかわからなかったので、とりあえず様子を見ることしかできませんでした。

そんなある日、祖母が雑談の中でぽろりと「デイには宿題があるから大変なの」と言い出しました。

デイサービスには宿題はありません。家に何かを持ち帰るとすれば、行事イベントの景品やレクリエーションで作った作品ぐらいです。

「宿題ってなあに?」と尋ねると、簡単な計算プリントや漢字の書き取りプリントを指さしました。
プリントはみなさん持ち帰っていましたが、後日再提出するようなものではありません。
しかし生真面目な性格の祖母は、自宅に帰っても終わらなかったプリントの続きを解いていたのです。

祖母は10人兄妹の長女として、長年家族の手本となるよう、気丈に生きてきた人です。
何か任されたり、やらなければいけないものは、必ず最後までやり遂げる、真面目な性格です。

また、デイサービスでのプリントは入浴後に解くようですが、祖母は身体が不自由なことと、他の利用者さんよりも遅く入浴を終えるので、人より遅くプリントを解き始めます。
そのため、他の利用者さんがプリントを終えていても、祖母は解き終わらず、置いてきぼりをくっているような、「やらなければいけないもの」を終わらせることができなかった挫折感が祖母を苦しめているようでした。

プリントは全部やらなければいけないものではありません。
しかし、祖母は生真面目な性格から、ちょっとしたプリントも全て時間内に終わらなければストレスとなり、他人が出来て自分が出来ないことに、この上ない劣等感を抱きました。

それが重なり、ついに仮病まで使ってデイサービスを拒否し始めたのです。

 

脳トレプリントはパスしよう

もともと身体が不自由で外に連れ出すのも一苦労な中、家の前まで送迎してくれて、ちょっとした運動や脳トレ、入浴、レクリエーションまでしてくれるデイサービスは、祖母の健康を維持し続ける上で必要不可欠なもの、家族にとっては有り難い存在です。

家でほとんど動かない祖母は、デイサービスに行かなくなるとすぐに、自力で足を動かしづらくなる状況となりました。家族としてはなんとかして祖母をデイサービスにつれて行きたかったのです。

そこで担当のケアマネージャーさんに電話で、状況をお伝えし、月に1度の面談もそろそろあると思うので、プリントは気楽にやるもので、できる範囲で十分、もし体調が悪い日はパスしていいという旨のことを、さりげなく伝えてくれないかとお願いしました。

すると電話して2日後にはケアマネージャーさんが来てくださり、話術で祖母の気持ちをほぐし、プリントをやらなければいけない強迫観念を取り除いてくれました。

祖母は気分が晴れたように明るくなり、デイサービスにも休むことなくまた通い始めました。
デイサービスでは、プリントを実直にやる日もあれば、パスする日もあり、祖母なりに上手に棲み分けているようです。プリントをしない日は、趣味のカラオケを気分良く歌っているようです。

なぜケアマネージャーさんにこのようなことをお願いしたかと言えば、祖母は気丈な性格ゆえ人に弱みを見せたくないはずなので、デイサービス仲間に知られるのは逆効果だろうということ。
祖母はケアマネージャーさんを慕っており、この人は介護関係の専門家という認識はあるので、そのような立場の人からプリントは気楽にやるものだという話をしてもらえれば納得すると思ったからです。

家族から同じ話をしても、その場にいない、私の気持ちのなにがわかる、とかえって反発することが目に見えていました。

ケアマネージャーさんから、このことはすぐにデイサービスのスタッフさんに伝わったようで、声掛けが増えたり、プリントをしない時はカラオケをすすめてくれるなど居心地が良いようにケアをしてくださったようです。

 

脳トレやマシン盛りだくさんのその影で

ご家族でも表面上は分かりづらい理由でデイサービスに行きたがらないという事例でした。

デイサービスのスタッフさんも、人一倍真面目にプリントを問いている印象はあったようですが、まさかそこまで思い詰めているとは考えてもいなかったと言います。

今回は利用者さんが、ご家族にぽろっと本音を漏らしたことから理由がわかりました。
機能訓練やADLの維持向上に力を入れるデイサービスでは、脳トレやマシン、運動など盛りだくさんです。
しかし利用者さんが何かを嫌がっているような時は、表面的な理由以外で声に出せないこともあると、ご本人の性格なども考慮し理由を探ると共に、無理をさせないことも必要になるでしょう。

 

 

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太田 文弘

医療ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ひきこもり支援相談士。 北星大社会福祉学科を卒業後、医療機関でソーシャルワーカーとして、居宅介護支援事業所にてケアマネジャーとして勤務。 主な論文「開業医と介護支援専門員との連携の乖離による弊害 (勇美記念財団)」「24時間対応の在宅人工呼吸療法のすべて-在宅療養に向けてのチーム医療-(難病と在宅ケア11巻 3号  共著)」

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