M&Aを成立させるには、自社にあった良い仲介会社と組むことが最善の方法です。
最近は個人のコンサルタントも含め、仲介会社の看板を掲げる会社が乱立してきましたが、付き合う相手を間違うと、いたずらに時間を浪費したり、余計な費用がかかったりするだけでなく、情報漏洩、信頼失墜のリスクも高くなります。
いったんある会社に仲介を依頼したものの、一向に事が前に進まないため、改めて別の会社へ依頼するなんて話も聞きます。
また、ある会社からは1000万円なら売却できると言われていたのに、別の会社では3000万円でといわれたケースもあり、こうなると何を信じて良いのか疑心暗鬼になることでしょう。
ここでは、売り手の立場から見た、仲介会社の特徴と見分け方を紹介してまいります。
扱うM&Aの規模により仲介会社は存在する
仲介会社により、取り扱うM&Aの規模が異なります。
大事なことは有名、無名に関係なく、自社の規模を得意とする仲介会社に頼むことです。
日経新聞を読めば、上場企業間の合併に外資系銀行や証券会社が仲介を行っている話が書かれているため、M&A仲介といえば、そのような会社を想像する方もいるかもしれません。しかし中小介護事業所のM&Aにそのような会社が動くことはなく、大型の合併専門です。
中小企業の中でも、比較的規模の大きなM&Aの場合、大手のM&A仲介会社やメガバンクがかかわるケースが多いです。M&Aの仲介会社にも上場する企業が登場、経営者の方ならその名を一度は耳にされたこともあるでしょう。
このような有名仲介会社も、売買金額が数億を超えるような案件を主に扱います。
売買金額が億に満たない案件の場合、難色を示すケースが多いでしょう。明確に、自社が取り扱うのは売買金額が2億円以上とか、決めてしまっている会社も存在します。
売買金額が億に満たない案件、実は大半の案件がそうではありますが、これら案件は、中小M&A仲介会社や、業界特化型M&A仲介会社、会計士や税理士のM&A仲介会社、地方銀行等のM&A部門が関与することとなります。
これら仲介会社の場合、規模にこだわることはありませんが、債務超過会社は扱わない、赤字企業は扱わないなど、今度は財務状況により企業を選別しているようです。
では、1000万円を下回るような小規模案件や、債務超過会社は、どうすればよいか、ここはインターネットで売買を成立させるモデルを構築している会社の出番になるでしょう。
あくまで仲介会社は場の提供に徹して、当事者間で自己責任により話し合いをして下さいね、というモデルです。最近は、このようなモデルも増えてきました。
全ての仲介会社から断られ、やむを得ずインターネットでというケースも今後は増えてくるでしょう。
いずれにせよ自社の規模にあった仲介会社と付き合うことが重要です。
有名な仲介会社も、得意とする規模が違えば、なかなか良い相手を見つけてくれないといった事も考えられます。
M&Aの規模別に最適な仲介会社をお薦め
M&Aは、通常、総資産額で、その規模を表します。
総資産額とは、バランスシート(貸借対照表)の左半分(資産の部)の合計です。
ここでは、売却を検討する企業が、どのM&A仲介会社に相談すれば良いか、まとめてみました。
◆総資産額が5億円以上の規模
M&A仲介会社の大手と呼ばれる、日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズ(いずれも東証一部上場)が主に扱っている規模が5億円以上です。M&Aの仲介実績も豊富で、様々な案件への対応力や、買い手を見つけるネットワークも充分です。
一方で、仲介手数料は高額で、仮に5億円規模のM&Aが成約すれば、手数料は3000万円前後となります。
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◆総資産額が1億円~5億円の規模
この規模になりますと、業種や財務状況によっては、大手のM&A仲介会社が難色を示す場合が出て来るでしょう。特に過去3年間の決算が良くない場合など、取扱がNGとなるか、積極的に動かないケースも。
このようなケースの場合なら、2番手グループに属するM&A会社や、会計士や税理士を中心に地域密着で活動しているM&A会社がおすすめです。
下で紹介しているM&A企業なら最低仲介手数料が500万円から。総資産額1億円の企業を想定しています。
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◆総資産額が1億円以下の規模
この規模になりますと、仲介会社が1から10まで段取りをするのでなく、基本はインターネットに匿名掲載して募集し、M&Aのいちばん重要で難しい部分だけ、プロに依頼する方法が一般的になります。
介護専門のM&A仲介会社が、規模や赤字企業を問わず取り扱っていますが、本音の部分では、やはり1億円以上の規模の案件を中心に考えています。積極的に小規模企業のM&Aには動いていないようです。だからインターネットをお薦めします。
またインターネット仲介の場合、売り手企業には手数料がかからないケースが多いのも特徴です。
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◆総資産規模が1000万円以下の規模
本来なら、このような規模のM&Aなら、知り合いや個人的なツテを辿って、仲介会社を通さず、当事者間でM&Aを進めるのが賢明なやり方かもしれません。
しかし、それではなかなか買い手が見つからないのも事実、代替案としては、インターネットでプロを介さず、当事者間で話をまとめてしまう方法です。上でおすすめした2社とあわせ、こちらはプロを間に介在させないサービスです。
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仲介会社の強みや担当コンサルタントの資質
M&A仲介会社の主な機能は、最適な相手を見つけるマッチング機能、もう1つはマッチング後に円滑に話をまとめてくれるコンサルティング機能です。
マッチング機能も、ある業種には強いが、ある業種には弱いというように、実績に偏りがあったりもしますので、自社の業界に強みを持っているのか見極めることも重要です。
そのような意味では、業界特化型でかつ、豊富な仲介実績を持っている会社なら安心することが出来るでしょう。
いくらマッチングが出来ても、その後の進め方に問題があり、自社にとって良いM&Aにならなかったというケースも出てきます。
通常、仲介にあたっては、専任のコンサルタントがあたるため、本人の資質や専門能力、姿勢について判断することが必要です。
M&Aについては、財務や会計、法務など幅広い専門知識が求められ、誠意さえあれば何とかなるといった簡単な事ではありません。
逆に専門知識が豊富でも、売り手と買い手の間に入って仲介を進める上では、それぞれの思いをくみ取って、最適な落としどころを模索する高度なコミュニケーション能力がないと、当事者の気分を害したり、信頼感をなくしたりして、破談になるケースもあるはずです。
高いプロ意識と、高度な専門能力が求められる職業であり、いま目の前にいる、「その人」に自社の将来を託してよいのか、経営者に判断が求められます。
どのような報酬体系の会社か
M&A仲介会社の報酬体系は、大きく2つに分かれます。
仲介を依頼した時点でかかる着手金や、基本合意が成立した時点でかかる中間金が必要な料金体系か、それらが不要で、成約時に初めてフィーが発生する完全成功報酬の料金体系かです。
着手金は、仲介依頼の契約を行った際に必要になるお金で、相場では100万円程度です。これらフィーは、仮に仲介が成立しなくとも戻ることはありません。
着手金を求める仲介会社の言い分としては、実際にお金を払うことで、M&Aをする腹を決めてもらうためで、それが何よりM&Aを良好に進めていく上で大切なことと言います。
中間金の方は、基本合意成立後ですので、その後の破談になる確率が低く、ほぼ成功報酬と同じ意味合いです。通常、想定される手数料の1割から2割程度、支払うこととなります。
完全成功報酬は、まさに成約して初めてフィーが発生するものです。
着手金がある場合と比べ、売り手側からすると取り組みやすい利点があります。
成功報酬は通常リーマン方式と呼ばれ、売買金額に一定の比率をかけたものを仲介料として算出します。比率は仲介会社によりマチマチなので、依頼する予定の仲介会社の比率を他社と比較して確認してみましょう。
特に中小企業向けのM&Aの場合、完全成功報酬型を取る所が多いように思います。
どのように仲介を進めていくのか
方法としては、大きく2つに分かれます。
買い手の候補となる企業を、1社ずつ紹介していく、言わばお見合いのような形か、複数の候補先と同時進行で話を進めていくタイプのいずれかです。
こちらも中小企業の場合、同時進行型の方が多いように思いますが、同時進行の利点として、それぞれの条件を比較する中で、最適な相手先を選べることや、一斉に進めるため短期間で完了することがあげられます。
売り手にとっては、同時進行型がおすすめですが、一方で買い手にとっては、他社を排除して独占的に交渉が進められるお見合いタイプを好むでしょう。
見落としがちになりますが、M&A仲介会社を選ぶにあたっては、M&Aの進め方を確認する必要があります。
中小零細企業のM&Aの具体的な進め方
中小零細企業がM&Aを進める最初の一歩は、とにもかくにも情報収集です。
記事中に書いているよう、M&Aの成約率は20~40%。
売却表明したからと言え、すぐ成立するものでありません。
また売却当初は仲介会社も一生懸命に営業活動しますが、買い手がつかなければ、段々と尻すぼみになります。
したがって、売却を検討する方も、複数の仲介会社と契約される事をおすすめします。
実は仲介会社は、これを嫌がります(本当は独占したい)。しかし成約率20~40%では、こちらも安心できず、打てる手は打っておきたいものです。
特に初期費用無料の仲介会社なら、なおさら相談してみてリスクはありません。