水分補給が進まない夏の脱水症状対策

ケアマネジャーとしてお宅を訪問すると、認知症の高齢者が暑いのに水分を摂ってくれないとよく相談を受けます。

お茶をどうぞと勧めても、「たくさん飲んだからいい」「さっき飲んだから要らない」と飲もうとしてくれなかったり、口までコップを持っていっても2口飲むのでやっとであったり、このままでは熱中症で倒れてしまわないか心配だと言うのです。こういうケース、私はこんなアドバイスをするようにしています。

 

コップを工夫する

腕がどこまで動くのか、握る力はどのくらいか、飲み込む力はどのくらいあるのかなど、人によって相性の良いコップが変わってきます。
筋力や嚥下能力がそれほど低下していなければ、通常のコップで大丈夫ですが、それらが低下していきているのならば、少しの力でも持てる軽いコップや、底が大きくなった置きやすいコップなど、様々なコップが売られているので、普段のコップから変えてみるのも1つの方法です。

 

ドリンクを工夫する

毎日お茶ばかりでは飽きてしまう人もいるので、たまに飲み物を変えて興味を持ってもらう方法もあります。
飽きてしまって、飲むこと事態を拒否してしまうこともあるのです。

お茶にも麦茶、煎茶、ほうじ茶、番茶、抹茶、中国のお茶、紅茶など様々な種類があるので、複数種類入ったお茶のパックなどを試してみるのも良いでしょう。ご家族も一緒に様々なお茶を試せるので一緒に楽しめますし、温かい、冷たいで変化をつけるのもお薦めです。
注意点としては、体質や病状によっては、カフェインが悪影響を及ぼすことがあるのでカフェイン量に注意を配りましょう。

コンビニなどで新商品を見かけたら、試してみましょう。
テレビCMで目にしていれば、より興味をもって飲んでくれるでしょうし、ドリンクを飲んでいる最中にCMが流れてくれば、「ほらこのCMの飲み物だよ!美味しいね!」と話しかけてあげると興味をもって飲んでくれることもあります。

スポーツドリンクや経口補水液、特に夏場はドラッグストアやスーパーでも買える経口補水液を用意してあげると良いでしょう。
経口補水液の中には病院でも入院患者に出しているドリンクもあるので、「これは病院でも使われている身体によい特別な飲み物だよ」など、ご本人の認知レベルにあわせ説明してあげましょう。

すぐ手に入る飲み物として、野菜ジュースやトマトジュース、リンゴやオレンジなどの果汁ジュースもマンネリ脱却にオススメです。食べずに飲むだけで栄養素やミネラルが採れるので日常的に取り入れても良いでしょう。赤ちゃん向けに開発された100%ジュースも良いでしょう。
ただし、野菜ジュース、果汁ジュースを飲む場合は、アレルギーに注意します。原材料にアレルギー原因物質がないか確認しましょう。

それでも筋力や認知症で、それが叶わないこともあります。そんな時は、いっそのことゼリーにしてしましょう。
食べる水、食べるお茶というように、おやつ感覚で食べてもらいます。介護施設でも実際にそのようにしているところもあります。
嚥下能力が落ちてきている場合は、無理に液体を飲ませるより、固体にする方がよいこともあります。口当たりがよく、夏場の暑い日は、身体がひんやりして喜ばれます。

最後に、認知能力が落ちてくると「○○のお茶だよ」と言っても伝わりづらいので、目の前にパッケージやボトルを置き、「今日のドリンクはコレだよ」と視覚的に分かりやすくすると、興味をもって飲んでくれることがあるでしょう。

 

記録をつけて介護施設と共有

飲んでもらえる工夫と同時に、記録をつけると良いです。
毎日使っているコップは何ml入るのか測量し、1日何杯飲んだか記録をつけます。

「健康のため」「お医者さんに言われたから」などとして、お昼までに1本、夕食前までに1本飲んでというふうに、1日の目標をわかりやすくしてあげるとよいでしょう。

入浴前やデイサービスに行く前にも、いつもより多めに飲むようにするとよいでしょう。
活動量が増えると、その分水分も出ていくので、脱水症状が出る前に補給するのです。

この記録は、普段身の回りのサポートをしている家族が、なんらかの事情で介護ができなったときにも役立ちます。アレルギーや好き嫌い、好きなもの、どのようにすれば飲むかのデータは引き継いだ人の介護に役立ちます。

そして、満足な水分補給ができておらず悩んでいる場合は、デイサービスなど利用している介護施設と共有すれば、予防策となり、利用中はお水やお茶などを勧めてくれたり、積極的におかわりを淹れてくれたりと細かなサービスが期待できます。

 

トイレのタイミングなど不安を少なく

自立歩行できるけど、足があまり良くない、トイレもすぐには行けないといった場合、本人が水分をとりたがらないことがあります。
このような時、「トイレが近くなるから飲みたくない」と本人からは言いづらいもの、出かける時は、お手洗いや休憩スペースはたくさんあるから安心だよといったことをさりげなく伝えることが大切です。

リハビリパンツもいいですが、いきなりリハビリパンツはという時は、ナプキンから始めるなどして、トイレの不安を軽減してあげましょう。
また、リハビリパンツを近所のスーパーで家族が買う姿を見られたくないといったこともあるので、通販やネットスーパーを利用し、人目があるところで買ってないとさりげなくアピールするのもよいでしょう。

 

病院へ行く

もし水分不足という理由だけで病院に行くのに気が引けるならば、定期的にお薬を出してもらっている病院やかかりつけ医に相談してみましょう。

1日にどのくらい飲めばいいか、どのような工夫ができるか、もし脱水などで症状が出るとしたらどのような対処をすべきかなど、医療機関で事前に把握しておくのも大事です。
場合によっては点滴を受けることや、何か別の原因が発見されることもあります。

 

まとめ

ご家族にとって、わざわざ病院に行くほどでもないが、どこに相談したらいいかわからないといった悩みを、相談しやすい先の1つがケアマネジャーとなりましょう。
ケアマネジャーは担当数が多く、なかなか細かいところまで目が届きづらい時もあるかと思います。
したがって常日頃より、ご家族と気兼ねなく話せる雰囲気を作っておくのも大切です。

ケアマネジャーは医師免許を持っていないので、医学的なアドバイスは難しいですが、悩みに対し、事例を共有し、よりよい介護ができるようサポートすることはできます。

 

 

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太田 文弘

医療ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、ひきこもり支援相談士。 北星大社会福祉学科を卒業後、医療機関でソーシャルワーカーとして、居宅介護支援事業所にてケアマネジャーとして勤務。 主な論文「開業医と介護支援専門員との連携の乖離による弊害 (勇美記念財団)」「24時間対応の在宅人工呼吸療法のすべて-在宅療養に向けてのチーム医療-(難病と在宅ケア11巻 3号  共著)」

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