施設併設カフェを地域交流・地域支援の拠点に 特別養護老人ホームサポーティもみじ台の取り組み

高齢者施設などを運営する「社会福祉法人ほくろう福祉協会(札幌市)」は、札幌市厚別区もみじ台に開設した「特別養護老人ホームサポーティもみじ台」の1階に、「カフェもみじ」をオープンしています。施設併設カフェ運営の目的や現状について、渡辺浩二施設長に話を伺いました。

 

厚別区もみじ台地区の現状

特別養護老人ホームサポーティもみじ台がある札幌市厚別区もみじ台は、昭和40年代に建設された古い公団が立ち並ぶ地域です。市内でもっとも高齢化率が高く、高齢者夫婦のみの世帯や独居高齢者の増加により、一時は孤立死が問題視されていました。

社会福祉法人ほくろう福祉協会は、同地域に特別養護老人ホームを建設するにあたり、年齢や障がいの有無にかかわらず地域に開かれた横断的な利用が可能な「地域共生型施設」をコンセプトの一つとして打ち出しました。併設されている「カフェもみじ」は、地域交流や地域支援などの拠点として位置づけられています。

 

 

カフェの目的

当初の計画では、障がい者を雇用し、地域住民が気軽に立ち寄ることができる共生施設を展開することを目的としていました。具体的には「障がい者授産施設と提携したカフェとパン食事業」、「パン教室の開催と高齢者・障がい者・地域住民とのふれあい」、「近隣施設への安価なパンの配達」、「安否確認を兼ねた低所得高齢者への定期的なパンの無料配布」などを行うことを予定していました。

運営にあたり、飲食店経営のノウハウがある業者に委託しようと考えて見積もりを取ったところ、予想以上に費用が掛かることが判明。また価格の決定権が委託業者に委ねられるため、法人による自由な価格設定が困難なことも課題にあがりました。そこで障がい者雇用などの計画はいったん保留とし、法人単体の運営でスタートしました。

 

運営について

カフェのメニューは、チキンカレー(サラダ付き)、牛丼(漬物・みそ汁付き)、スパゲティミートソース(サラダ付き)がいずれも400円、牛乳ソフトクリーム(メープルコーン又はカップ)150円、コーヒー、カフェラテ、カプチーノなどが各100円など、いずれも安い価格が設定されています。

「地域住民には、年金暮らしをしている高齢者が多いため、少ない年金でも1か月に1回くらいは食べてもらえるような金額設定にしました。また他のお店では平均350円で提供されているソフトクリームを半額以下で販売することで、地域の子供たちにも喜んでもらうという狙いがある」と言います。

「気軽に立ち寄ってもらうことが目的なため、コーヒー一杯だけ飲みに来てもいいし、ここでお弁当を広げてもらってもいい。とにかく施設に足を運んでくれるきっかけにしたい」と、地域共生型施設として機能するための拠点であることを強調します。一方で赤字の幅を低く抑えなくてはカフェの継続が困難なため、パートタイマーを一人だけ採用することで人件費を抑制し、お客さんが集中する平日12時から15時30分のみの営業としています。

 

カフェもみじでランチをしました

日当たりのいいエントランスの一角がカフェになっています。カウンター 2席、テーブル 3×1席、4×2席の計13席が用意されています。店内は白とブラウンで統一され、ピアノの調べが静かに流れています。ランチメニューは平日12時から15時30分までですが、コーヒーはセルフサービスで9時から16時まで(年末年始をのぞく年中無休)。ソフトクリームは、9時から16時(平日のみ)の販売となっています。

カフェ営業時間外のソフトクリームの提供は、手の空いている事務職員が担当すると言い、施設長自身が作られることもあるそうです。夏は外にソフトクリームの幟が立つため、お子さん連れの地域の方の利用が増えると言います。同施設では、積極的にボランティアを受け入れており、休憩場所としても利用されています。

同施設では、毎月1回、施設長や栄養士が中心となってカフェについての会議が開かれ、売り上げやお客さんの要望を取り入れてメニューを決定しています。訪問した日は野菜カレー、ハンバーグディッシュ、カルボナーラスパゲティの3品が日替わりメニューとして用意されていました。時間が遅かったため、家族や地域の方の姿はなく、職員が遅い昼食を採っていました。

 

今後の展望

食べログに紹介されたことにより、少しずつ一般のお客さんの来店も増えているそうです。同法人では年間予算として地域貢献活動費を計上しており、社会福祉法人として地域への取り組みを積極的に行っています。次年度以降は、最初に計画していた障がい者の雇用や、入居者に対する焼き立てパンの提供、地域へのパンの無料配布など、もう一歩踏み込んだ取り組みを行う計画を予定しています。渡邊施設長は「入居者さんの不利益にならない範囲で、地域福祉のために力を入れていきたい」と結びました。

 

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吉田匡和

介護ライター 福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。 https://buleorca.webnode.jp/

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