厚生労働省はこの程、有料老人ホームを対象とした指導状況等のフォローアップ調査結果を発表しました。本調査においては、未届の有料老人ホームについて、都道府県、指定都市及び中核市に対して、届出や指導状況等の調査が行われるほか、前払金の保全措置の実施状況の 調査も行われました。
有料老人ホームに対する指導の考え方
1 届出の有無は関係ない
届出がなくても、要件(入居サービスと介護等サービス)を満たしている施設は、老人福祉法上の有料老人ホームとして扱われます。事業者が希望するかどうかに関わらないことから、いわゆる「未届有料老人ホーム」も老人福祉法の規定に則り、有料老人ホームの指導監督の対象になります。
2 入居者の人数は関係ない
有料老人ホームの定義においては、入居人数の多寡による判断基準は置かれていないため、1人を相手に入居サービスと介護等サービスを提供している場合であっても、有料老人ホームに該当します。
3 サービス提供の一体性に留意
有料老人ホームの要件は、入居サービスと介護等サービスの「一体的な提供」が行われていることにあるので、それぞれの事業者が別々であっても両者に委託関係があったり、経営上の一体性が認められる施設については、有料老人ホームとして取り扱われます。
有料老人ホームの届出状況について
本調査では、有料老人ホームの届出先の都道府県等だけでなく、市区町村の地域包括支援センターや生活保護部局等の関係部局と連携して情報を収集するとともに、報告時点では有料老人ホームに該当するか判断できる段階に至っていない施設も報告対象とされました。
- 届出された有料老人ホームの数 13,354 件(前年度 12,608 件)
- 未届の有料老人ホームの数は 899 件(前年度 1,049 件)
直近の比較
未届の問題点
届出を行っていない事業者は、老人福祉法第29条第1項の規定違反となります。 また、 届出がなければ、その有料老人ホームは行政との連携体制が不十分となる恐れがあるため、都道府県等は未届施設に対する実態把握や指導監督を強化しています。
未届の有料老人ホームに対する指導状況及び入居者の処遇等に係る指導状況について
(平成 30 年6 月30 日時点)
(※1) 「未届の有料老人ホーム数」には、現在施設に対して実態調査を行っている施設又は今後実態調査を行う たに、報告時点では有料老人ホームに該当するか判断できる段階に至っていない施設を含む。
(※2) フォローアップ調査で報告した後に実態調査を行った結果、有料老人ホーム事業を廃止したものや食事等 のサービスを提供していなかったことが明らかとなったもの、など。
入居者の処遇等に関する主な指導内容およびその指導が行われた自治体
前払金の保全措置を講じていない有料老人ホーム
(平成 30年6月30日時点)
平成18年4月1日以降に設置された有料老人ホームのうち前払金の保全措置を講じていない事業者は、老人福祉法第29条第7項の規定違反となります。保全措置がない場合、事業者が有料老人ホーム事業を継続できなくなったときに、入居者が最初に支払った前払金の残余分を返済することができなくなる恐れがあるため、入居者保護の観点から厳正な指導を受けることになります。
出典:厚生労働省
「平成30年度 有料老人ホームを対象とした指導状況等の フォローアップ調査(第10 回)」結果