自宅で看取る時、ケアマネができることは?

93歳の父はアルツハイマー型認知症で、家の中を理由なく徘徊するなど認知症の症状が出ていました。そんな祖父が年始に少し体調を崩して総合病院に入院することになりました。 ケアマネージャーが、ご家族から伺った話を、本人が特定できぬよう手記風に再現し、自宅で看取る時にケアマネージャーができることを書いてみました。

 

病院に馴染まない父に癌が

自宅では他の家族が食べるものと全く同じ食事でしたが、病院の食事は、父が入れ歯だということを考慮してお粥と小さく刻んだおかずが出されました。 しかし、父は大のお粥嫌い。

お粥どころか、他のおかずにも手を付けず、入院初日から一切食べなくなってしまいました。普通のものが食べられるからと看護師さんに頼んでお粥や刻み食をやめてもらいましたが、それでも何も食べてくれません。

ある日、先生が検査をしてくださったら、進行したがんが見付かりました。 何も食べなくなったのはがんのせいか、食事が気に入らなかったからなのは、今でも分かりませんが、とにかくその時は「93歳ではがんの治療はできません。このままお看取りになります。がんの看取り専門の病院を紹介します」と病院から言われたのでした。

人工呼吸器を付けたり、胃に穴を開けたり、点滴をしてまで延命したいとは思っていなかったので、口から食べられないのならどうしようもないと、治療をしないことそのものには異論はありませんでした。

 

どこで父を看取るか

やはり病院が安心できるだろうか、と考えていました。
そのことを、以前からお世話になっていたケアマネさんに相談してみたところ、「がんの痛みがひどいなら病院が安心ですが、痛みがあっても訪問看護と往診をお願いすれば家で看れます。
今は痛みはないようですし、家でのお看取りも考えてみてはどうでしょう?
紹介された病院は良い病院ですけど、30分以上かかるので、何かあった時に間に合わないこともありますよ。そもそも、病院にいても看取りとなったら蘇生はしないので、その部分は家も病院も変わりません。病院でも自宅でも、どちらもメリットとデメリットはあります」と言われました。

 

自宅で看取る時にケアマネージャーができること

ケアマネさんは、痛みのコントロールのために訪問看護師さんに来てもらえるとか、何かあった時はここに連絡すればいいとか、血中酸素濃度が下がってくるかもしれないけど在宅酸素療法ができますよとか、やはり自宅での看取りが無理だと思ったらこの病院へ入院できますよとか、看取りのために必要な準備を細かくアドバイスしてくれたので、頑張って家で看取ろうと思うことができました。

総合病院を退院してから1ヶ月間、父を家で看病しました。 点滴は最低限の水分補給だけなので便は出ず、オムツ交換も想像したほど大変ではありませんでした。

おまけに、ずっとウトウトしている状態だったので、入院前のように昼夜問わずどこかへ行こうとしたりということもなく、家族も皆が交代で付き添ってくれていたので、最初に覚悟したほど大変だとは思いませんでした。 最期までがんの痛みが出ることもなく、穏やかに眠ったまま息を引き取りました。 亡くなった時は、しっかり看病できた、という思いを家族全員が持つことができました。

あの時、ケアマネさんが背中を押してくれなかったら家で看取ろうとは思わなかっただろうと思います。

 

要介護者と事業者を結ぶケアマネージャー。

ケアマネは絶えず様々な事業者の状況をよく知っており、時にご家族に代行して速やかに連絡するなど、事業者から見れば信頼関係が構築できたケアマネージャーは、最強の営業パーソンとも言える訳です。

 

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