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介護事業所の優良認証制度で人材流出は解消する?

厚生労働省は、介護業界の人手不足の改善を目的に、2019年度から介護事業所の優良認証制度を開始しました。この制度では、県が事業所の申請を受けて、労働時間や対応改善記録などを審査し、基準を満たしていれば職場環境の改善や人材育成などに取り組んでいる介護事業所として認証しています。その目的や基準などを紹介します。

 

介護事業所の優良認証制度の目的

優良認証制度は、2013年度に京都府が開始した「きょうと福祉人材育成認証制度」がモデルとなり、「キャリアパス制度・人材育成の推進」、「サービスの質の向上」、「労働環境の改善(ワークライフバランス)」など、介護職員の定着と新規就業の促進を進めています。2016年10月に青森県(介護サービス事業所認証評価制度)、2018年2月に高知県(介護事業所認証評価制度)が全国に先駆けて開始しました。

<ポイント>

「重労働」「低賃金」「低待遇」が定着している介護業界に、厚生労働省が投入した「ブラック企業化」を抑制するための起爆剤です。労働環境などを可視化することで、自治体が優良な事業所のお墨付きを与えています。

 

優良認証制度の対象事業所は?

介護事業所認証制度は、各都道府県が認証しています。ここでは静岡県の「働きやすい介護事業所」を例に詳細を説明します。

1 対象サービス種別

 

2 申請の要件

<ポイント>

ほとんどの介護事業所が対象となっています。申請の要件はそれほど高いものではなく、「該当しない施設に問題がある」と思えるほど、緩やかなものとなっています。

 

3 認証基準

次の3区分14 項目で構成されています。

出典:静岡県働きやすい介護職場認証制度 認証取得申請のご案内

 

<ポイント>

県は認証により「要介護者や家族が優良な施設を選ぶ基準になる」「介護の仕事を探している人が働きやすい職場を選ぶポイントとなる」「認証を受けることで職員のモチベーションが上がる」などメリットを強調しています。しかし認証基準はいずれも事業所として、あたり前にすべきことです。自己申告による認証だけでなく、むしろ基準を満たしていない事業所にペナルティを設けるなど、ある程度の強制力がなければ、すべての事業所が改善されることはないでしょう。

 

働きやすい職場とは何か?

職場に対するギャップは「それぞれが感じる職場環境の違い」にあります。同じ仕事をしていても、それが苦痛に感じる人もいれば、適職に感じる人もいます。また、人には簡単な仕事でも、その人には難しく感じることもあります。本来の力を発揮してもらうためには、能力を見極めて適材適所に配置することが不可欠です。

認証基準を厳守するのはもちろんですが、仕事のミスマッチは本人のモチベーションと生産性を低下させるだけです。それは職場の人間関係にも大きな影響を与えます。職員一人一人の能力に目を向け、生き生きと仕事ができる環境を整備してください。人材流出を解消する方法は、意外と身近にあるかも知れませんよ。

 


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