外国人技能実習制度最前線! 介護.net事業協同組合の取り組み

技能実習法の改正により各分野で外国人技能実習生への関心が高まっています。介護.net事業協同組合(札幌市北区)は、2019年4月に団体監理団許可を取得。現在、ミャンマーを中心に外国人技能実習生を受け入れる準備を進めています。外国人技能実習生受け入れの現状や課題について話を伺いました。

 

外国人技能実習制度とは

2017年11月1日に外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)が施行されました。新たな制度では、技能実習の適正な実施や技能実習生の保護の観点から、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制等が導入されたほか、優良な監理団体・実習実施者に対して実習期間の延長や受入れ人数枠の拡大など拡充も図られています。

技能実習生受入れ方式

技能実習生受入れは、企業単独型と団体監理型の2つがあります。それぞれの特徴は次の通りです。

【出典】国際研修協力機構(JITCO)

https://www.jitco.or.jp/

 

介護.net事業協同組合の概要

介護.net事業協同組合は、2016年に介護事業者間の相互ネットワークを通じた地域福祉の発展促進を目的に設立されました。北海道を中心に14社(2019年7月現在)が組合員として参加。共同購買事業、職業紹介事業等のほか、2019年4月に外国人技能実習機構から監理団体許可を取得し、外国人技能実習共同受入事業を開始しています。

 

介護.net事業協同組合の取り組み

介護.net事業協同組合は、ミャンマーから実習生を受け入れる準備を進めています。2019年6月11日に介護職種における技能実習生選抜を実施。道内の多くの組合員がミャンマーに出向いて集団面接を行いました。 日本での就労を希望する70名から約25名が選抜され、2019年内には札幌で一期生の実習を開始する予定です。事務担当の半澤圭介氏に話を伺いました。(インタビュアー:吉田匡和)

 

吉田:ミャンマーからの受け入れを決めた理由は何故ですか。

 

半澤:親日的な人が多いことや、人口の9割が仏教徒なため、高齢者を敬う気持ちが強い国民性が介護の仕事に向いていると判断しました。これまでも企業単独型としてグループ企業である「さくらCSホールディングス」で、ミャンマーから3人の実習生を受け入れた実績があります。

 

吉田:現在の進捗状況を教えてください。

 

半澤:ミャンマー政府に認可された送り出し機関と当組合が書類申請支援や入国申請を進めています。また、介護職には高いコミュニケーションスキルが必要となるため、実習生候補者には、日本とミャンマーの合弁会社が運営する職業訓練校で来日前に必要なスキルを学んでいます。訓練校を卒業するとミャンマー初となる国が認めた介護の資格が授与されます。

 

吉田:職業訓練校では、どのようなカリキュラムが実施されていますか。

 

半澤:午前は日本から派遣された介護福祉士によるカリキュラム、午後は日本語を学ぶというスケジュールを6か月間行います。来日後は当組合で1~2か月間講習を受けて組合員の事業所に配属されます。

 

吉田:職業として介護職が存在しないミャンマーにおいて、どのような方が実習生候補に応募されているのですか。

 

半澤:看護師経験者や看護学校卒業生が多いですね。これから介護が必要になるという認識がミャンマー政府にあるため、日本で介護技術を学び、介護の仕事の需要を伸ばしていきたいという政策もあるようです。

 

吉田:技能実習制度は「さまざまな分野の技術を日本で学び、自国の発展に生かす」という趣旨がありますが、介護分野では「人手不足を外国人で補う」と考えている事業所も見られるなど、それぞれの目的に乖離があるのではないでしょうか。

 

半澤:先日ミャンマーで面接しましたが、日本で働き続けたいと回答された方も多くいらっしゃいました。もちろん強制ではありませんので、ご本人がどうしたいのか選んでいただく事が前提です。技能実習終了後に特定技能に切り替えることで、日本で働き続けることが可能ですし、帰国した場合も合資会社が運営する職業訓練校の講師や事務職に就いていただくなど、キャリアパスが形成できるよう検討しています。

 

吉田:日本人が介護職に就かない理由の一つとして、人間関係や労働内容に対する対価の低さが指摘されていますし、日本人と同等の賃金保証とは言っても、実際に日本で暮らすうえでは厳しい金額だと思います。そのようなネガティブな説明も事前に行われているのでしょうか。

 

半澤:ミャンマーの訓練学校で日本のスタッフが講義を行い、現場で実習生が戸惑わないよう介護業界が抱える課題を伝えることにウェートを置いています。組合員の中には住居の斡旋や食事の補助を行うなど、サポート体制を整えている事業所も見られます。また、技能実習生の待遇は国際問題に発展する事案なため、配置先を慎重に選定しています。

 

技能実習生受け入れは異国と自国のために

技能実習生制度は、国際的な社会貢献と事業所を活性化させる二つの効果が期待できます。これまで介護分野に見られなかった「国際的感覚」を事業所に取り入れるとともに、実習を通して他国に向けて日本の質の高い介護を広めてください。

 

取材協力

介護.net事業協同組合

http://kaigonet.or.jp/

 

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吉田匡和

介護ライター 福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。 https://buleorca.webnode.jp/

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