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いま求められる!「リセット賃金」シミュレーション

リセットボタンが目の前にあり、そのボタンを押せばすべてリセットされる。

ゲームなどはありえるが、人生や企業経営では難しい。特に社員の賃金は既得権・生活があるのでリセットしてまた決めなおすなどは不可能だ。

 

しかし、実際に支給されている賃金を急に変更することができないにしても、「もしリセットして賃金を決めなおすことができるなら、どのように決めるのか?」という「あるべき姿」を描くことはとても大切なのではないかと思う。

 

これから会社が労働生産性の総和を最大にするための

 

あるべき基本給

あるべき諸手当

あるべき賞与

あるべき退職金

 

まず「描くこと」だと思う。

 

ところが、この「あるべき姿」を描くことがまた難しい。政府は「同一労働同一賃金」を推進しているが、私たちの企業経営において職務をポイント化し、そのポイントに応じて賃金を決める。つまり、人に賃金をつけるのではなく、仕事に賃金を張り付ける手法を推奨している。これがあるべき姿だろうか。私は違うと思う。

 

企業経営にとって、あるべき基本給は、たとえば、伝統的だが、年齢・勤続・能力で決まるほうがまだしっくりくる。そして、このあるべき基本給カーブをすべての会社で見直す時期にきている。なぜなら、新卒初任給や若手の中途採用初任給が高騰しており、かつ、すべての人が65歳~70歳まで現役感をもって働く時代だからである。非正規社員の賃金高騰問題も見逃せない。

 

あるべき諸手当は職務給的な役職手当は必要だ。専門的職種は資格や技能によっての手当もありうる。それ以外の手当は不要かもしれない。家族手当については、配偶者手当は限りなく廃止の方向へ向かうだろう。定額残業代も原則廃止の方向だろう。

 

賞与の変更幅や格差は、退職金は・・?

 

古い家の建て替えを繰り返していると立ちいかなくなる、いま多くの中小企業がこの問題に直面している。建て替えによってしのぐ、場当たり的対応も限界だ。もう小手先の賃金表をこねくり回しているだけでは、やっていけない。現在の賃金の考え方・決め方は最も日本が良かったバブル期のその発想の原点をおいていることが多い。なぜなら、一度上げた賃金等の処遇ルールはまず不利益に変更することができないからだ。

 

大手企業はよくわかっていて、賃金リセットを、45歳以上の社員を希望退職させ、若手や市場価値の高い人に賃金原資をまわすことで実現しているといえる。

 

賃金のリセットボタンをおして、まずあるべき姿を描いてみる。特に大切なのは時流に即した「基本給のカーブ(定期昇給ルール・評価方法)」を描く。これがないとはじまらない。実際の移行の実務は、上がる人、下げる人をふまえ、法的な問題をクリアしながら、時間を味方につけて実行することだ。「あるべき姿」「デザイン」がなければ、時間を味方にすることができないのである。

 


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