日当というのは「旅行中の昼食費及びこれに伴う諸雑費並びに目的地である地域内を巡回する場合の交通費をまかなう旅費」とされています。つまり、実費相当分ということなので、所得税も社会保険料もかからないという理屈になっています。いわゆる賃金ではないのです。でも、労務の現場では「法的な理屈」と「企業の実態」は異なっています。ですから、給与コンサルのときに日当の議論になることは少なくありません。
(法的な理屈)日当は出張に伴う実費相当分である
(企業の実態)日当は出張の労苦に対する賃金見合いである?
(法的な理屈)日当は実費相当分で時間外手当の意味は一切ない
(企業の実態)日当を払うことで時間外手当については払っていない?
(法的な理屈)日当は実費なので理由があれば下げることができる
(企業の実態)実費なのに日当を一部カットすると猛反発される?
多くの中小企業において社員さんたちにとっては、奥さんに内緒の「貴重なお小遣い」です。なぜ、内緒かというと経費精算項目なので、給与明細・源泉徴収票にものらないからです。
実費相当分なので、実費をどうみるかが次に問題になります。たとえば、1泊2日の出張なら、何が実費相当になるかといえば、新幹線等でお茶やコーヒーを飲む(内勤ならタダ)、夕食と朝食をとる(自宅で食事をしたらタダ)程度の費用となります。最近、朝食付きのビジネスホテルも多いので微妙ではありますが、1回の宿泊出張において2,000円あればなんとかなるでしょう。出張中は時間外手当を算定して支給することも少ないので、それに1,000円加算して3,000円という「気持ち」が添えられる場合もあります。
日帰り出張は、原則として日当は必要なしと思われますが、これは会社ごとに詳細なルールが必要な部分になります。なぜかというと、「通常の出勤より早く家を出て、直行出張にいって日帰りで帰社する」や「普通に出勤して、午後から遠方に出張に出て日帰りで終電で自宅に直帰する」などがありえるからです。
このような場合、特に営業職は、実際の労働時間は算定し難く、残業代を支給することがままならないことが多いです。そのような現場の知恵から、理屈として矛盾はありますが実費というより、「社員の労苦」に対して日当を支給するという会社が少なくありません。日帰り出張の支給の有無のルールは、出張先と会社の「距離」によるものと、「移動時間」によるものの2種類あります。日当の額については、もし、「労苦に報いる」ということであれば、宿泊日当と同様の額でもいいのではないかという気がしますね。
さまざまな大人の事情でその姿が変化する「日当」。なかなか奥深いものです。これに経営者の日当の話を加えれば、90分は話せます。
[PR]中小企業のメンタル問題を見抜く不適性検査スカウター
1名500円~ 今なら3,000円分のお試しクーポンプレゼント
不適性検査スカウターを使ってみる(無料)