通常、売り手企業が仲介会社に売却を依頼する時、最初に作成するのが「ノンネームシート」と呼ばれるA4用紙1枚程度の企業概要書です。
ノンネームシートは、社名を伏せた上で、その企業の本社所在地や売上、従業員数等、書かれる情報はすごく簡単なものです。
というのも買い手企業がまだ検討するかどうかわからないため、秘密保持の観点からこのような形式になっています。
ノンネームシートを見て、買い手側企業がもっと詳しい情報を知りたい場合、仲介会社との間で秘密保持契約を結んで、詳細情報を知り得ることができます。
ノンネームシートでどこまで開示するか
ノンネームシートで、どこまでの情報を開示するかは、仲介会社によって差が出ます。例えば、エリアを「四国」とするのか、「香川県」なのか、「高松市」なのかで、ずいぶんと情報が変わってきます。
このノンネームシートの書き方次第で、時におよその検討がついてしまうので要注意です。特に上記の高松市のような地方都市の場合、以前から噂が出回っていたりして、業界に詳しい人ならピンとくるようです。
一方で逆にざっくりし過ぎると、買い手にとって判断のしようがありません。
ノンネームシートの扱い方
次にノンネームシートの取り扱いですが、仲介会社によっては、先の例でいえば、高松市の事業者にダイレクトメールでノンネームシートを送ってしまう例もあります。そうすると、地域の会合などで話題となり、まことしやかに噂話が出回ることになります。
通常、M&A仲介会社は、税理士やコンサルタントなど、外部の協力者から買い手の情報を集めたりします。いくら仲介会社が秘密厳守をうたっても、提携会社がノンネームシート以上の情報を知っていれば、その筋から情報が洩れてしまうケースもあるでしょう。
このような情報の扱われ方をされてしまえば、情報漏洩のリスクが極めて高くなってしまいます。その仲介会社が、どれくらい厳密に情報管理をしているか、外から分かりにくいかもしれませんが、1つの方法として、仲介を依頼する前に、その会社のメール会員として、売却案件の情報提供を依頼すれば、情報がどのように扱われるか、およその目星を立てることが出来るでしょう。
このような仲介会社の内実を知った上で、信頼できる会社と付き合う事が重要です。
M&Aの話を社長が従業員にするのは、最終合意後、つまり売却が決定した後です。
ノンネームシートの段階では、まだ経営者も本当に売却するかどうか分からない事もあり、どこからか情報が洩れてしまっては非常にまずいです。
事前に従業員が知ってしまうようなことは絶対に避けなければなりません。
中小零細企業のM&Aの具体的な進め方
中小零細企業がM&Aを進める最初の一歩は、とにもかくにも情報収集です。
【買収を検討されている方】
理想の先が、いますぐに見つかるものでありません。
買収を検討される企業・個人は、できるだけ多くのM&A仲介サイトに登録をおすすめします。
登録無料、登録しても営業電話がかかってくるもでのもなく、要は新着情報がメールで届きます。
【売却を検討されている方】
記事中に書いているよう、M&Aの成約率は20~40%。
売却表明したからと言え、すぐ成立するものでありません。
また売却当初は仲介会社も一生懸命に営業活動しますが、買い手がつかなければ、段々と尻すぼみになります。
したがって、売却を検討する方も、複数の仲介会社と契約される事をおすすめします。
実は仲介会社は、これを嫌がります(本当は独占したい)。しかし成約率20~40%では、こちらも安心できず、打てる手は打っておきたいものです。
特に初期費用無料の仲介会社なら、なおさら相談してみてリスクはありません。
おすすめのM&A仲介会社を3社、ピックアップ
おすすめの理由は、①登録数が多い、②完全成功報酬、以上の2点です。
国内最大級の事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】
トランビの特徴は、法人・個人関係なく利用できる点です。
登録者数は20,000人以上、掲載案件2,000超で、国内最大級です。(2019年1月現在)
数億円以上の会社のM&Aから、数百万円程度の営業権やウェブサイトの売買まで、多岐にわたります。
売り手は手数料完全無料、買い手は、成約時にかかる3%の成功報酬のみです。
譲渡オーナー様は完全無料|事業承継M&Aプラットフォーム【ビズリーチ・サクシード】
登録社数は5,000社、掲載案件は2,000件以上です。
こちらは法人のみが利用可能です。
売り手は手数料完全無料、買い手は、成約時にかかる2%(最低200万円)の成功報酬です。
先のトランビよりは、やや規模が大きくなりますが、それでも中小零細企業中心のM&Aです。
介護福祉の業界専門の仲介会社です。
登録者数は5,000人、掲載案件は介護系で100件超です。
こちら誰でも利用可能ですが、個人への売却は積極的でないようです。
こちらは逆に売り手・買い手の双方に手数料(最大10%)がかかります。