児童発達支援事業を開設するには、都道府県に事業者指定申請を行い許可を受ける必要があります。ここでは、運営基準について説明します。
運営基準
運営基準には、利用定員や協力医療機関の決定、苦情を受け付けるための窓口などを定めることなどが求められています。 それらに基づいて運営規定を作成しましょう。
1.児童発達支援において、運営規定に最低限規定する項目
・事業の目的及び運営の方針
・従業者の職種、員数及び職務の内容
・営業日及び営業時間
・利用定員
・指定児童発達支援の内容並びに通所給付決定
・保護者から受領する費用の種類及びその額
・通常の事業の実施地域
・サービス利用に当たっての留意事項
・緊急時等における対応方法
・非常災害対策
・主たる対象とする障害の種類(※ 定める場合のみ)
・虐待の防止のための措置
・その他運営に関する重要事項
2.利用定員
児童発達支援・医療型児童発達支援、放課後等デイサービスにおいては、最低10人以上、重度心身障害児を対象とする場合は、最低5人以上となります。
3.定員設定の注意
指定申請時に1日に設置される単位ごとの利用定員の合計の記載が必要です。
事業開始後、「1日の利用者数が定員の150%を超える場合」や、「過去3ヶ月間の利用者数が定員の125%を超える場合」等、一定の条件により報酬が減算されます。よく検討のうえ、定員設定してください。
4.多機能型事業所について
多機能型事業所とは、障害児通所支援(児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援)及び障害福祉サービス事業のうち、2つ以上の事業を一体的に行う事業所を指します。
児童発達支援は、児童福祉法に基づく事業として行われ、複数の事業を合わせた合計の定員が20人以上であれば、前述した利用定員の取扱いに関わらず、各事業の定員を5名以下とすることができます。
同一の敷地内において、複数の事業所若しくは複数のサービスを実施する場合、指定障害福祉サービス事業所及び多機能型事業所として取り扱われます。また、児童福祉法に基づく複数のサービスを実施する多機能型事業所において、実施する複数のサービスごとに定員を設定することが困難な場合は、複数のサービスの合計の利用定員で設定することができます。その場合の利用定員は、複数の通所支援サービスを通じて、「10人以上」となります。
勤務について
[常勤の考え方]
常勤の従業者の勤務時間が、事業所において定められている勤務すべき時間数(一週間の勤務時間が32時間を下回る場合は、32時間を基準とする)に達していることをいいます。
[専属について]
常勤・非常勤を問わず、サービス提供時間帯に、当該サービス以外の職務に従事しないことをいいます。
事業開始後の運営(運営基準)等
[利用者との契約]
通所給付決定保護者(以下保護者)と事業者の間で、サービスの利用に係る契約を締結します。おもな流れは下記の通りです。
・受給資格を確認(通所受給者証」を確認します。
・事業者の目的、運営方針、事業者の概要、職員の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の重要事項について説明したうえで、保護者にサービスの提供を受けることに同意を得ます。
・契約締結後、「通所受給者証」のサービス事業者記入欄に契約内容を記入します。なお、利用者が既に別の事業所と契約を締結している場合、利用者の総支給量を超えない範囲で契約を行う注意が必要です。
[契約内容報告書]
保護者と契約を締結した場合、契約を終了した場合及び契約量を変更した場合は、「契約内容報告書」に受給者証の契約欄(通所支援事業者記入欄)をコピーしたものを添付し、市町村の担当窓口へ退出します。
[児童発達支援等計画]
児童発達支援管理責任者は、障害児の児童発達支援計画を作成します。
計画書の作成せずにサービスを開始すると報酬が減算されるので注意が必要です。
計画書には障害児や保護者の意向、支援の方針、生活の質を向上させるための課題、サービスの目標や達成時期等を記載します。保護者に同意を貰い、定期的に見直して計画内容を変更します。
[サービス提供の記録]
サービス提供ごとに、サービス提供日や支援の具体的内容等を記録して、保護者の確認を受けます。この記録は最低5年間保管します。
その他、運営に関すること
[変更届]
指定申請時に提出した申請書の内容に変更があった場合は、変更があった日から10日以内に変更届出書及び添付書類を自治体の担当窓口に提出します。
[廃止・休止・再開の届出]
1ヶ月前までに「廃止・休止・再開届出書」を提出します。
その場合、他事業所の利用を案内する等、利用者の継続的なサービス提供のための便宜提供を行うことが義務付けられています。事業を再開したときは、再開後10日以内に「廃止・休止・再開届出書」を提出します。
また、法人の合併等により、別法人に事業が移行する場合は、指定を受けていた法人の事業所は「廃止」となり、別法人が新たに指定申請の手続きを行わなくてはなりません。
[加算の届出(体制届の提出)]
新規指定申請時には、「障害児(通所・入所)給付費算定に係る体制等に関する届出書」を自治体の担当窓口へ提出します。
≪年度途中に算定できる加算が増える場合≫
・毎月15日以前に提出された場合には翌月から加算を算定。
・16日以降に提出された場合には翌々月から加算を算定。
≪年度途中に加算が算定できなくなる場合≫
速やかに体制届を提出。「加算が算定されなくなった事実が発生した日」から加算の算定をすることができません。
出典:さいたま市「事業所の指定申請及び運営などに関する手引き」
【PR】児童発達支援コペルプラスの事業説明資料はこちらからダウンロード(無料)できます。カートにそってご注文下さい。更に詳細が知りたいという方は、説明資料に記載の担当者連絡先へご連絡をお願いします。
*現在、新型コロナウイルスの自粛要請にもとづき、個別対応によるリモートセミナーを開催しています。ご希望の方は、こちらよりお申し込みください。
コペルプラスを主宰する大坪信之氏の著作「発達障害」という個性、コペルプラス療育の理念やメソッドが分かります。
関連記事
・児童発達支援事業―増加する発達障害児
・障害の種類について
・児童発達支援事業とは
・児童発達支援事業の開設準備
・児童発達支援事業の開設に必要な人員基準
・児童発達支援事業の開設に必要な設備基準
・障害児通所給付費と通所受給者証
・児童発達支援事業の報酬単価
・請求・返戻などについて