平成24年4月に改正された障害者自立支援法、児童福祉法により、民間企業や一般社団法人が児童発達支援へ参入しやすくなりました。
発達障害児が増加する昨今において、児童発達支援事業所の開設は、地域に貢献できる事業といえます。ここでは開設準備について、詳細をお伝えします。
児童発達支援事業の現状
障害者福祉の分野では「児童放課後等デイサービス」にいち早く事業者が参入、2013年度は3,107事業所だった事業所数が、2016年度には6,971事業所まで増加。実に前年比32.4%の伸び率を見せています。
また、保育所等訪問支援事業においても2012年度に240事業所だったものが、2015年度には714事業所となり、29.8%も増加しています。「児童放課後等デイサービス」については、業者が殺到したことにより飽和状態であり、品質面も問題視した厚労省が総量規制を実施、今は参入が難しくなっています。
児童発達支援事業については、2012年度は2,,804事業所だった事業所数は、2015年度には3,942事業所に増加。増減率21.0%と増えてはいるものの、まだまだ地域によっては需要があり、伸びしろが期待できます。
2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 対前年 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
増減数 | 増減率 | |||||
児童発達支援事業 | 2,804 | 2,802 | 3,258 | 3,942 | 684 | 21.0% |
放課後等デイサービス事業 | 3,107 | 3,909 | 5,267 | 6,971 | 1,704 | 32.4% |
保育所等訪問支援事業 | 240 | 415 | 550 | 714 | 164 | 29.8% |
障害児相談支援事業 | 1,914 | 2,989 | 4,048 | 5,128 | 1,080 | 26.7% |
出典:厚生労働省「平成27 年社会福祉施設等調査の概況」より
児童発達支援事業のメリット・デメリット
新しく事業を立ち上げるためには、どのようなメリット・デメリットがあるのかをあらかじめ知っておく必要があります。
メリットとしては、未経験者でも事業に参入できることや、ビジネスを通じて社会貢献できることなどが挙げられます。
ただし自由競争とはいっても、報酬は法によって定められていますし、障害児への対応は個別性が必要であり、小売業や飲食店を開業するのとは大きく異なります。そういったデメリットを考慮の上、開設準備を進めてください。
児童発達支援事業の開設準備
1.障害児通所支援事業を行う者の指定の要件
児童発達支援事業には、児童発達支援センター(児童福祉法第7条1項)と、センター以外の事業(児童福祉法第6条の2の2第2項)があります。
内容はいずれも、日常生活における基本的動作及び知識技能を習得し、集団生活に適応することができるよう、未就学の障害児に対して適切かつ効果的な指導及び訓練を行うことと定められています。
児童福祉法第21条の5の15等の規定に基づき、障害児通所支援事業を提供する事業者及び障害児入所支援を提供する施設は、事業所が所在する都道府県知事(指定都市及び中核市においては当該市長)の指定を受けなければなりません。また、指定を受けるためには、自治体の条例で定められた基準を満たすことが必要です。
[指定基準の視点]
人員基準:従業者の知識、技能、人員配置等に関する基準
設備基準:事業所に必要な設備等に関する基準
運営基準:サービス提供にあたって事業所が行なわなければならない事項や留意すべき事項など事業を実施する上で求められる運営上の基準
[申請のための注意事項]
・申請者は株式会社・NPO法人等の法人に限られています。法人格を持たない団体また個人は、法人格を取得する必要があります。
・事業所の従業者の知識及び技能並びに人員が条例で定める基準を満たしていなければなりません。
・申請者が設備及び運営等に関する基準に従って適正な運営ができることを証明しなくてはなりません。
・申請者が、指定を取り消されてから5年を経過していなくてはなりません。
2.定款について
法人の定款には、「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」の記載が必要です。記載がなければ、定款変更の必要があります。
また、指定申請の際には、「定款の写し(原本証明)」と「履歴事項全部証明書等(原本)」
の二つの提出が必要です。なお、特定非営利活動法人(NPO法人)については、定款変更及び登記には4~6ヵ月程度かかりますので、早めの変更をお勧めいたします。
3.指定申請の流れ
[事前相談]
申請書類の提出前に「事前相談」が行われます。
遅くとも指定(事業開始)の2ヶ月前までに自治体の担当課までに連絡し、あらかじめ訪問日や時間を設定して来庁してください。また、賃貸物件の場合は、必ず契約を締結する前に相談します。従業員の配置状況や事業所の平面図等を忘れずにご持参ください。
[申請書類準備]
自治体のホームページなどからダウンロードして、申請するサービスの種類に応じて、必要な書類を準備します。
[受理及び審査]
申請書類等は正副2部作成し、正本は自治体に提出、副本は事業所で保管します。申請書が受理された後に、サービスの種類ごとに定められた人員、設備及び運営の基準を満たしているかどうか具体的な審査が行われます。不備があった場合は、再提出になります。
[現地確認]
指定をする前に、現地確認が行われます。その時点で、申請書の平面図と実態が異なっている、改修工事が完了していない、建築基準法や都市計画法、消防法等他法令を遵守していない等の不備がある場合は、指定予定日に指定をすることはできませんので、ご注意ください。
4.指定(指定通知書の発送)
審査及び現地確認の結果、基準を満たす事業者について指定を受けます。
指定にあたっては、指定年月日の前月末を目途に、指定日や事業所番号を記載した『指定通知書』を送付します。
事業所の見やすい場所に重要事項等と共に掲示してください。原則として指定通知書は再発行されませんので、紛失しないように保管してください。
出典:さいたま市 事業所の指定申請及び運営等に関する手引き
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