介護施設の開業後に欠かせない事務作業について【会計】

施設を準備し、仕入れ先を確保し、従業員を採用し、指定を受ける、、などなど、介護施設の開業までの準備作業はとても大変です。しかし、開業してからも日々行わなければならない事務作業があるのです。
ここでは開業中にしなくていけない、もしくは出来る限りしておいた方が良い事務作業についての解説をしていきます。

 

会計管理

・売上、経費等の帳簿付け

家賃や食材費、人件費等の経費と売り上げ、つまりお金の管理を行わなければいけません。これは確定申告等の税務処理に必要になりますし、また、正確に経営状態を把握する為でも重要です。また、会社法上、会計帳簿の作成は必須となっており、作成していないと罰則が科される場合もあります。

 

・単式簿記?それとも複式簿記にするべき?

帳簿の付け方には2通りの方法があります。それが「単式簿記」と「複式簿記」です。

 

・単式簿記の特徴

単式簿記とは。それぞれの取引を一つの科目として記載する方法です。出費や収入の度に、「食材購入 出費○○円」などといった記載をしていき、最終的に収入から出費を差し引いて、その月の会計状況を把握するものです。

単式簿記の特徴としては、一般的な家計簿のイメージですので、簿記の知識がない方にも分かりやすく、作成が容易である、ということが言えます。

デメリットとしては、借金した場合など、現金はあるが負債もある、という場合などに正確に会計状況を把握しにくいということがあります。

また、以前は白色申告を行う場合には単式簿記での記帳でも良かったのですが、2014年からは事業の記帳は複式簿記での記帳が義務付けられましたので、事業の記帳を行う場合には、結局のところ後述の複式簿記での記帳を行わなければいけなくなりました。

 

・複式簿記の特徴

複式簿記とは、その名の通り一つの取引を複数の科目として記帳する方法です。「食材○○円 現金○○円」といった様に記帳していくことで、プラスの資産、マイナスの資産、事業の利益、損益を正確に把握することが出来ます。

複式簿記は、借方、貸方といった記帳のルールや、資産、負債等の項目に分けて記入していきますので、簿記のルールを知らないと作成することは少々難しいです。

しかし、この記帳方式を使うことにより、事業の現在の資産や負債が一目で分かる「貸借対照表」と、事業の利益が一目で分かる「損益計算書」の作成が可能になります。事業の規模が大きくなればなるほど、正確な会計状況は把握しにくくなりますので、複式簿記での記帳が非常に大きな意味を持ちます。また、青色申告の際や、融資の申し込みを行う際には上記の書類の提出が必須です。

 

・何を作成すれば良いの?

最低限必要なのは「仕訳帳」と「総勘定元帳」です。仕訳帳で、日々の取引内容を記録し、仕訳帳を基に総勘定元帳を作成し、取引の全体像を把握する、という訳です。

 

・作成はどうするの?

これらの作成には簿記などの一定の知識が要ります。帳簿の付け方の研修のようなものを行っている税務署もありますが、基本的には、ご自身で調べながら作成をすることになります。しかし会計管理は、売上、仕入れや給与、家賃など経費の支出の管理が主ですので、そこまで複雑ではないことが多いでしょう。月ごとの取引内容の変動も少ないので、慣れれば割りと出来ます。また、毎日帳簿を付けなくても、領収書をしっかりと保管して、月に一回程度まとめて記入する、という方法を採れば、記帳の手間も多少削減できます。もちろん正確な管理は必須ですが。

 

・煩わしい作業はしたくない!という場合には

上記の様に、介護事業の帳簿作成はそこまで複雑ではない、と言ってもある程度の手間はかかります。経営者の中には、月一の記帳作業が癒される(楽しい?)という方も稀にいらっしゃるのですが、煩わしくてほったらかしになってしまうという方が断然多いですね。さて、そういった場合には一般的には、

・経理担当の事務職員の雇用
・税理士への会計記帳依頼(顧問契約)

といった方法で解決出来ます。事業規模が大きい場合は専門の職員に任せる、また、わざわざ経理担当を雇う様な規模ではない場合は税理士に任せることが多いですね。

 

・税理士へお願いする場合には

税理士の報酬は事務所によってピンキリなのですが、基本的に月2,3万円程度から顧問契約で処理を依頼することが可能です。またご自身である程度の準備や、日々の記帳は行う、という様な場合には1万円程度の格安な費用で引き受けてくれる税理士さんもいます。顧問料については、自分である程度作業を負担するなら報酬は低めになり、丸投げの様な方法で手間を大きく減らすのであれば、その分報酬も増える、というイメージですね。

 

・事業の規模による使い分けが大切

開業直後や経営がなかなか軌道にのらず、「とにかく出費を抑えたい。」という場合・・・最低限必要な作業を依頼(報酬は低め。)
ある程度経営が安定してきたので、節税対策などの相談を含めきっちり対策を行いたい・・・税務のコンサルまで依頼(報酬がある程度高くなってくる。)
という様な使い分けを行うのが良いと思います。

 

・会計ソフトの導入

手書きで帳簿記入はかなりの専門知識がいりますが、会計ソフトを導入すると、かなりの部分がカバー出来ます。「いつ何にいくら使ったか」を入力するだけで、自動的に仕分けをしてくれます。クラウド上ですと月1,000円程度から利用できますし、確定申告の際の貸借対照表なども簡単に作成できます。ただ、結局自分で会計管理を行う訳ですから、正確に作成されているのか判断が出来ない、という難点は残ります。それでも「多少手間がかかっても良いから自分で行いたい。」という方にはおススメ出来る方法です。

 

・マネーフォワードクラウド

クラウド型会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計・確定申告」は、確定申告や会計業務を、人工知能(AI)が勘定科目を提案。使うほど賢くなって、自動入力・自動仕訳がどんどんラクになり、可能な限り自動化し効率化するためのソフトです。また銀行やクレジットカードを連携すれば明細情報を自動で取得します。ビジネス版なら1ヶ月無料で試用が出来ますので、一度、試用してみる他はないです。

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