平成29年介護サービス施設・事業所調査からみる現状【介護保険施設編】

厚生労働省は9月20日に、平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況を公表しました。各データとともに、トピックスを紹介します。

 

1 施設・事業所の状況

介護保険施設では、介護老人福祉施設が 7,705 施設、介護老人保健施設が 4,241 施設、介護療養 型医療施設が 1,324 施設となっています。

 

2 介護保険施設

≪トピックス≫

今後も高齢者は増えていきますが、介護職員の確保が難しいことが問題視されています。特に農村や漁村部では人口流入が少なく、労働力の確保が困難な状態です。そうした状況に対応するため、宮崎県諸塚村は村内唯一の特別養護老人ホームで働く介護職員を好条件で採用する独自事業を村議会で決定。2018年10月1日から募集を開始しました。

2018年10月~2020年度末に同ホームに就職した55歳以下の介護福祉士や看護師、それらを志す人を対象としていますが、無資格でも介護職員初任者研修を受けるなど勤続意欲があれば対象とされます。在住先は村外でも構いません。初年度は就職時の一時金と1年目終了後に計20万円を支給。その後は就職から2~5年終了後に20万円ずつ支給されます。

 

3 室定員別室数の構成割合

 

4 介護老人福祉施設におけるユニットケア(ユニット型及び一部ユニット型)の状況

介護老人福祉施設におけるユニットケアの状況をみると、ユニットケアを実施している施設は36.7%で、そのうち「ユニット型」が 36.0%、「一部ユニット型」が0.7%となっており、平均ユニット数は、それぞれ 7.1 ユニット、4.5 ユニットとなっています。

 

5 介護老人保健施設におけるユニットケア(ユニット型及び一部ユニット型)の状況

介護老人保健施設におけるユニットケアの状況をみると、ユニットケアを実施している施設は10.5%で、そのうち「ユニット型」が 8.6%、「一部ユニット型」が 1.8%となっており、平 均ユニット数は、それぞれ 5.8 ユニット、3.7 ユニットとなっています。


≪トピックス≫

ユニットケアは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設でいずれも微増です。ユニットケアは、「専用の個室がありプライバシーが守られる」「同じユニットの入居者やスタッフと交流できる」「個人の状態や状況に適したサポートを受けることができる」などのメリットがありますが、「建築コストが高い」「従来型より多く職員を配置しなければならない」「居住費や光熱費がかさむ」などにより、利用費負担が大きくなるデメリットもあります。国はユニットケアを推進していますが、そうしたデメリットを踏まえ、利用者がどちらかを選択できる自由が必要と思われます。

 

6 要介護度別在所者数の構成割合

介護保険施設の種類ごとに平成28 年の要介護度別在所者数の構成割合をみると、介護老人福祉施設及び介護老人保健施設では「要介護4」が 35.7%、26.8%とそれぞれ最も多くなっています。介護療養型医療施設では「要介護5」が 53.6%と最も多くなっています。

 

介護老人福祉施設

 

介護老人保健施設

介護療養型医療施設

≪トピックス≫

2015年に特別養護老人ホームの入所要件が厳格化され、介護度1・2が減少する半面、介護度4・5の合計人数が微増、今後も重度化が進むことが予想されます。介護度が軽ければ、手間がかからないと言うものではなく、認知症の方が歩き回ることで事故やケガなどに繋がるケースも見られます。

サービス利用時における自己負担率の上昇や、利用回数の制限など、居宅サービスも利用しづらい状況が続いています。厚生労働省は「介護と仕事の両立」を掲げ、介護休業法の改正を行いましたが、年間数日の休暇では介護が困難であり、今後も介護離職が増加することが予想されます。

 

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