貴社でも起こる!中小企業の不正行為と対応策

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貴社でも起こる!中小企業の不正行為と対応策

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セクハラ・パワハラなどはかわいいもので、まともな顔をして、窃盗・横領・強制わいせつ罪など、会社内で「犯罪」を起こす人が後を絶たない。関西電力の経営陣の金品授受に見られるように学歴が高かろうが、偉かろうが関係がない。

 

私が20年近く、中小企業の人事のコンサルタントとして遭遇・処理した中で、類型的に多いのは以下である。

 

1位 在庫・商品を盗み、売りさばいて現金化する(又は現金そのものを盗む)

2位 取引先への饗応接待の強要、取引先からのリベート、取引先との結託

3位 責任者・経理担当者の業務上横領

 

年商50億くらいの中小企業で3億円やられたこともある。そんなバカな、と思うかもしれない。しかし、実にいろいろなパターンがあり、結局、上記の3つに帰着する。

 

1位は在庫管理ができていない会社に起こる確率が極めて高い。その多くは利益の出ている優秀な会社である。権限のないアルバイトなども簡単にできてしまう。社員の3分の1程度がグルになってやらかしていたケースもあった。

 

2位は取引先とグルになって、自分のポケットにお金を入れる手法である。高く仕入れて、リベートをもらう。また、取引先と結託して、別口座に振り込ませる、手口は多彩。権限のある人しかやれないが、権限をフル活用できればやり放題の事例をたくさん見てきた。

 

3位は単純でお金を直接扱う人に対して「任せすぎ」「信頼しすぎ」のパターン。このような人は10年~20年とやっている人も少なくなく、自分でも横領金額はわかっていない。

 

「管理されていない」「チェックされていない」と思われると会社がなめられる。だから、就業規則に具体的に記載し周知することはもちろん、毎年、誓約書などをかわすことも考えられる。監視カメラやGPS、ドライブレコーダーなども必要な時代になった。

 

「窓割れ理論」というものがある。世界一凶悪犯罪が絶えないニューヨーク市で犯罪撲滅に使って理論である。もともと、殺人罪などの凶悪犯罪を直接取り締まるため、ニューヨーク市は警察官、警察犬を倍増させて取り締まった。しかし、効果はみられず、頭を悩ませる。

ニューヨーク市は、凶悪犯罪が起こる地域には軽犯罪が多発している、軽犯罪が多発している地域の特徴に落書きが多いことを突き止めた。そこで、ニューヨーク市は凶悪犯罪を直接取り締まるのではなく、「落書きを消す」という行為を徹底した。そうすると、その地域は「管理されている」という印象を与え、軽犯罪が減ったという。軽犯罪が減ると凶悪犯罪も自然と減っていったのだ。なぜ、窓割れ理論というかというと、「割れた窓はさらに割られる」というある社会学の実験結果からとったものだ。放置自転車が1台止まれば、次から次へと違法に放置自転車が止まっていく現象も説明できる。

 

つまり、不正を防ぐには、不正は絶対に許さないという「会社の強い意志表明」と誰かに「管理されている」「チェックされている」という一定の心理的緊張感が欠かせない。

 

しかし、万一、不正が起こってしまったら、損害額の拡大防止と債権回収の一点にしぼることだ。時々、弁護士に相談すると刑事告訴を勧められたり、クライアントに刑事告訴するか否かを選択させられたりするが、会社経営にとって刑事告訴など何の意味もない。めんどうなだけ。万一、刑事告訴して、有罪になって収監されてしまったら、債権回収ができない。刑事告訴に耐えうる資料集めも大変。ただでさえ人が足らない総務の担当者の仕事がまわらない。

 

だから、まず民事訴訟ではなんとか勝てるだろうレベルの事実と証拠を集め、損害額を確定し、犯罪行為を行った者にそれを認めさせる。そして、非情と言われても、できるだけ自宅等の物的担保、親族等の連帯保証による人的担保をとりにいく。これがセオリーだと思う。

 

たまに、不正を犯した人物に働いて返してもらおうとする会社があるが、私は、これはお勧めしていない。私の経験上、女性問題と同様、金銭問題は常習犯なので、手口を変えて彼(彼女)はまたやってしまうからだ。

 

 

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福田秀樹

株式会社福田式経営研究所代表 特定社会保険労務士 中堅・中小企業300社以上を実戦指導 「儲かる会社づくり」をモットーにした社長の労務顧問。 著書に「監督官がやってくる!小さな会社の労基署調査対策」(日労研)「はじめての就業規則100問100答」(アスカ出版社)など雑誌執筆多数。

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