国内初 初期費用ゼロの住宅用太陽光発電を展開

日本エコシステムはこのほど、低圧部門の電力自由化に伴い、新電力最大手のエネット、エネルギーの見える化サービスを提供するNTTスマイルエナジーと連携し、住宅用太陽光発電システムを初期費用ゼロで設置する国内初のソーラービジネスを展開することになりました。このビジネスは、太陽光発電システムを設置したいが、設置費用が高く、導入を見送っている一般家庭向けに日本エコシステムが無償でシステムを設置し、顧客から支払われる毎月の電気代を設置費用の回収に充てるという仕組みです。

 

5年間で10万件の設置を目指す

太陽光発電の計測や自家消費分の電力料金の精算、システムの遠隔操作などには、NTTスマイルエナジーが提供する「エコめがね」(太陽光発電遠隔モニタリングシステム)をカスタマイズして使用します。また、夜間などの太陽光発電を利用できない時間帯の電力は、エネットの電力を供給し、電力使用に支障のない体制を整えます。自由化の進んだ米国などでは、こうしたビジネスモデルが普及していますが、日本エコシステムでは、無償で設置する太陽光発電システムの電力を「じぶん電力」の愛称で各地に展開し、今後5年間で10万件の設置を目指していきたいとしています。

日本エコシステムは、大手情報通信建設会社の日本コムシスのグループ会社で、1997年の創業以来一貫して太陽光発電システムの販売・施工などを手掛けています。太陽光発電システムの販売・施工以外では、蓄電池やオール電化製品の販売なども行っています。住宅用システムでは、業界トップクラスの累計3万6000件の販売実績があり、全国の大型ショッピングセンターの常設店やイベントなどでエンドユーザー向けのシステムや省エネ機器のPRなどを展開しています。ユーザーとしては、個人住宅のほか、公共・産業施設や賃貸アパート、遊休地などへのシステム設置も視野に入れています。

 

新電力会社トップのエネットと連携

一方、今回事業パートナーとして連携するエネットは、NTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスの3社により設立された新電力会社で、IT(情報通信技術)とエネルギー技術の融合によって、経済的でしかも多様な電力サービスの提供を目指しています。販売電力量のシェアでは、新電力会社のトップであり、全国200ヵ所以上の電源を活用し、需要家に電力を供給しています。発電所としては、NTTファシリティーズのメガソーラーのほか、東京ガス、大阪ガスなどの保有するLNG(液化天然ガス)火力などがあります。

太陽光発電の場合、夜間や曇天などの日照・気象条件によって、発電量が大きく変動するため、電力を安定的に供給するためには、変動を緩和する調整電源が必要となります。調整電源としては、火力発電、水力発電などがありますが、エネットの場合、環境負荷の比較的小さいLNG火力からの調達が可能となっています。

 

NTTスマイルエナジーは「エコメガネ」を提供

もう1社の事業パートナーであるNTTスマイルエナジーは、エネルギーの見える化サービスのほか、見える化サービスに関連した機器の販売、省エネに関するコンテンツの提供などを手掛けています。2011年にNTT西日本とオムロンとの共同出資により設立されました。同社の提供する「エコめがね」は、インターネットを活用したモニタリングシステムです。再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度導入以来、設置が急増した太陽光発電用途として、需要が増加しています。固定価格買取制度によって、住宅用のほか、遠隔地に設置される事業用太陽光発電が増えたことがその要因となっています。事業用太陽光発電システムは、さまざまな場所に設置されるため、システムのメンテナンス、トラブルの早期発見などの用途として、「エコめがね」の重要性が増しています。また、太陽光発電システムの販売会社に対して、ユーザーの発電データーや電力消費状況の分析結果を提供することにより、保守・点検の円滑な実施にも役立ちます。

 

使用量の多い家庭では地域電力会社より割安

「じぶん電力」の料金は、エネットからの供給分と太陽光発電電力の使用分との比率により、また、月によっても違いがありますが、日本エコシステムでは、電力使用量の多い家庭では、既存の地域電力会社より平均で数%安くなるとみています。

「じぶん電力」のユーザーにとっては、太陽光発電システムの設置費用の負担が不要のうえ、月々の電力料金も割安になるため、メリットが大きいと予想されます。契約期間は20年で、その間の発電システムの定期メンテナンスなどはすべて日本エコシステムが担当します。ユーザー側には費用は発生しません。しかし、契約期間中の太陽光発電システムや発電電力の所有権は日本エコシステムにあり、契約期間終了後にユーザーに譲渡されます。

住宅用の太陽光発電システムの価格は、近年、大幅に低下してきました。国が、太陽光発電を再生可能エネルギーの中核と位置付け、導入を積極的に後押ししてきたからです。とくに余剰電力の買い取り制度を実施したことが、原動力となりました。2012年7月からは固定価格買取制度が実施され、太陽光発電の導入が急拡大しました。量産効果による太陽光発電パネルの価格低下も、システム全体の価格引き下げに寄与しました。住宅用の太陽光発電システム価格は、20年前まではkW300万円といわれていました。一般消費者にとっては、高根の花でしたが、2000年代に入って100万円を切る水準にまでに低下し、現在では1kWシステムで40万円程度となっています。一般家庭の場合、システム容量は4~5kWが標準とされているので、システム価格は160万~200万円見当です。

 

システムの普及率は戸建て住宅のわずか5%

とはいえ、住宅用を含め、太陽光発電全体で見ると、その普及はまだまだの状況です。住宅用の場合、全国で戸建住宅は約2700万戸といわれますが、そのうち、システムを導入している住宅は約154万戸に過ぎません。わずか5%です。太陽光発電システムはすべての住宅に設置できるわけではありません。最大の課題は、システムを設置した場合の耐震性です。太陽光発電システムは重量があるため、架台などを含め、地震に耐えられるかどうかが設置の決め手になります。また、傾斜地や日当たりの悪い場所の住宅では、システムの設置が困難となります。そうした、設置条件を考えると、太陽光発電システムを設置できる住宅は、全国の戸建住宅のうち、約1400万戸といわれています。戸建住宅の約半数というわけです。

 

初期費用の大きさで二の足踏む

日本エコシステムによると、今後2年間に自宅に太陽光発電システムを導入したいというユーザーは約53万戸、導入希望はあるものの設置の時期は未定というユーザーは約210万戸と予測しています。その最大の理由は、「初期費用の高さ」です。価格低下が進んだとはいえ、いぜん設置費用が大きいため、導入に二の足を踏んでいるというユーザーが極めて多いというわけです。

 

まとめ

日本エコシステムが今回、新電力会社のエナリス、NTTスマイルエナジーとそれぞれパートナーを組んで、「じぶん電力」というビジネスモデルを立ち上げたのは、ユーザーの初期投資負担をなくし、再エネ電力である太陽光発電の普及を一気に加速させたいとの判断からです。しかし、このモデルによる日本エコシステムの収入源は、毎月のユーザーからの電気料金収入と、余剰電力の売電収入になります。5年後に10万件のユーザーを獲得するためには、初期投資負担だけで2000億円余りに達するとみられます。そうした巨額の資金をどう確保するかが、同社にとっての最大の課題といえそうです。

 

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