老計10号(訪問介護のサービス指針)見直しポイント

2018年度介護保険報酬改定で、訪問介護における「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化に伴い、訪問介護としてできることを示した「老計10号」が見直されました。これには、利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りしながら行う掃除・整理整頓、調理・配膳・後片付けをはじめ、訪問介護事業所のサービス提供責任者およびホームヘルパーが、サービスを提供するための指針が明記されています。なお、老計10号の全容については、厚生労働省資料をご参照ください。
http://www.kaigoseido.net/kaigohoken/k_document/rokei10.htm

 

訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等についての改正内容

改正部分を赤字で表記しました。厚生労働省は一連の流れについて「あくまで事例であり、利用者にサービスする際は、各利用者の身体状況や生活実態等に即した取り扱いが求められる」としています。

 

身体介護

身体介護とは、①利用者の身体に直接接触して行う介助サービス (そのために必要となる準備、後片付け等の一連の行為を含む ②利用者のADL・IADL・QOLや意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援・重度化防止のためのサービス③その他専門的知識・技術(介護を要する状態となった要因である心身の障害や疾病等に伴って必要となる特段の専門的配慮)をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービスをいう(仮に介護等を要する状態が解消されたならば不要※となるということができる)

※例えば入浴や整容などの行為そのものは、たとえ介護を要する状態等が解消されても日常生活上必要な行為であるが、要介護状態が解消された場合、これらを「介助」する行為は不要となる。同様に、「特段の専門的配慮をもって行う調理」についても、調理そのものは必要な行為であるが、この場合も要介護状態が解消されたならば、流動食等の「特段の専門的配慮」は不要になる。

1―6 自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助 (自立支援、ADL・IADL・QOL向上の観点から安全を確保しつつ常時介護できる状態で行う見守り等)

● ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のための付き添い、必要に応じて介助を行う。
● 認知症等の高齢者がリハビリパンツやパット交換を見守り、声かけを行うことにより、一人で出来るだけ交換し後始末ができるよう支援する。
● 認知症等の高齢者に対して、ヘルパーが声かけと誘導で食事・水分摂取を支援する。
● 入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)
● ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)
● 移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)
● 本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。
● 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う掃除、整理整頓(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
● ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう又は思い出してもらうよう援助。
● 洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う。
● 認知症の高齢者の方と一緒に冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。
● 利用者と一緒に手助けや声かけ、及び見守りをしながら行うベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等。
● 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りをしながら行う衣類の整理整頓・被服の補修。
● 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う調理、配膳、後片付け(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
● 車イス等での移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助。
● 上記のほか、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うもの等であって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが、ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの。

 

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