給料明細を見せ合う若手社員への対処法

最近は20代だけではなく、30代の人も給与明細を見せ合うような状況です。

 

会社の意図に反して、多くの社員が自分の給与と他人の給与を比較するようになったのです。そんなことはおやめなさいという上司もいますが、この流れはとどまることはありません。遠隔地でも便利になりましたね。グループLINEで、写メした給与明細が飛び交っています。

 

そうすると、社員はおそらくこんな疑問を持ちます。

 

「なぜ、彼の昇給は5000円なのに、私は3000円なのか」

「彼の基本給は22万円なのに、なぜ私は21万円なのか」

「彼女の賞与は30万円なのに、なぜ私は29万円なのか」

 

みんな自分の評価は3割増し、98%の人は「自分は真ん中より上」と思っています。だから、超合理的な給与制度をつくって、透明性を高めて、説明をして、社員の納得性を得る、そんなことは妄想です。

 

では、上記の質問にどのように答えたらいいでしょうか。

 

私はシンプルに「それがアナタの評価です」でいいと思います。つまり、給与額や年収額は評価そのものです。それ以上でもそれ以下でもありません。昇給額でもなく賞与額でもなく、「月給と年収の絶対額が評価」なのです。そう思いませんか?

 

ただし、自社の「給与決定ポリシー」はしっかりと持っておき、社員に伝えておくことは必要です。

 

例をあげます。

 

X社は小売店です。同一の規模・売上・部下人数の店長の給与について、「Aさん 年齢28歳・勤続5年」の人と「Bさん 年齢52歳・勤続20年」の人がいたとします。

 

X社では、若手のAさんよりベテランのBさんのほうに高い給与を出していました。若手のAさんは社長に文句を言いました。「なぜ、同じ仕事をしているのにBさんのほうが私より給与が高いのか?」

 

これについては一定の説明が必要です。たとえば「我が社の給与決定基準として、基本給は年齢・勤続・能力(毎年の査定で決定)決まっている。そして従事する職務・職責に応じて役職手当が決まっている。Bさんのほうがあなたより基本給が高いので、給与が違うのです」などです。

 

また、給与ポリシーをしっかりと持っておけば、どうすれば給与が上がるかを説明することができます。X社では「勤続そのもの」と「勤続による成長」を重視しているのです。

 

そのように説明して、Aさんが「同じ店長なのに給与が違うのはおかしい」といって、文句を言うのなら、辞めてもらうしかありません。同じ仕事で同じ給与がもらえる会社に行けばいいだけだからです。

 

社長は、給与について疑問がある、説明してほしいなら、いつでも直接に相談しなさい、と言いきる迫力がほしいです。

 

もちろん、若手の給与相場があがっていますので、20代から30代前半の給与相場水準は常に意識しておく必要はあります。自社基準による社内公平感より、外部競争性(相場)が優先するからです。

 

まずは会社として「やることはやっておく」、それでも辞めるなら仕方がありません。中小企業は単純におかしい手当のつけ方や不合理な金額ものもありますので、できるだけ”一応の説明がつく”程度にはしておくことが求められます。

 


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