マッチングで介護者不足に一石を投じる! 官民協働の潜在的介護職員等活用推進事業

北海道が実施主体である「潜在的介護職員等活用推進事業」に100人近い人が登録しています。同事業では、人材派遣会社が介護事業所等と就業希望者を繋ぐことにより、登録者の9割が雇用に結びつくなど効果を得ています。2017年度から受託業者の指定を受けている「株式会社シグマスタッフ北海道支社」に、マッチングのポイントや就労までのプロセスなどを伺いました。

 

潜在的介護職員とアプローチ方法

―潜在的介護職員としてどのような方が登録されていますか。

結婚や出産で介護の仕事を離れた方や、ハローワーク等で資格を取得したものの就労経験がない方などが登録しています。これまでの職場が自身にそぐわずに退職し、新しい職場を求める方なども多いです。

 

―経験者と未経験者の割合を教えてください。

例年は経験者6割に対し未経験者4割、2019年度は7対3の割合です。

 

―経験者の比率が高いですが、一度介護の仕事に見切りをつけた人に就労を勧めるのは難しいと思います。どのようなアプローチをされているのでしょうか。

実施主体が北海道であることが就業希望者の信頼度を高めていると思います。登録後は各地域で実施する事業者の説明会に参加いただき、ご自身の希望に合った介護事業所を選択いただいています。

 

人材定着のためには介護事業所のメンターが必要

―人材定着のポイントを教えてください。

介護事業所等に対しては「当事業は無償の人材派遣ではなく、人材を定着させるための事業である」と呼び掛けたうえで、公費が投じられる3か月間の派遣は「定着における教育に目を向けて寄与してほしい」とお願いしています。紹介予定派遣は事前面接が可能なので、弊社を含む三者で細かな内容や事業所での雇用に移行したときの条件など時間をかけて話し合っています。

 

―離職の理由の多くは人間関係によるものが多いと思いますが、その点はどのように配慮されていますか。

介護事業所等には、必ずメンター(新入社員などの精神的なサポートをするための専任者)を用意してもらっています。業務の指導よりも業務上の悩みを聞いたり、相談に乗るなどのメンタルサポートを行ってもらうよう、トップだけでなくメンター自身にも直接お伝えしています。

 

―介護福祉士取得者や、実務経験者が新しい現場に入ると「出来て当たり前」というように扱われることがありますし、逆に既存の職員の中には「未経験者に教えることで負担が増える」と、冷たく当たられることもありますね。

細かな指摘が続くと、モチベーションが低下して離職につながることがあります。その事業所には、もっと魅力的な部分があるかも知れないのに、そこに着目されないうちに辞められてしまっては勿体ありません。同じ視点で話を聞いてくれるメンター先を置くことで心理的フォローが得られると考えています。

 

―すべての事業所にメンターを求めているのですか。

メンターを用意出来ないという事業所には「人を紹介できかねます」とお伝えしています。またトップだけメンター制度を理解していても、現場に周知されていなければ問題が発生します。初期段階はメンターが誰で、就労希望者は指示を受けて動いていることを現場に理解してもらうことが重要になります。

 

―御社でも就業希望者のフォローを行っているそうですね。

就業希望者にお会いさせていただき、現状の把握に努めています。些細な悩みでも蓄積されると大きなストレスに膨張していきますが、時々私たちに話すことで気持ちがフラットに戻っていきます。弊社のスタッフにもストレスを上手に吐き出してもらえるような対応を求めています。

 

潜在的介護職員等活用推進事業における事業所の資質

―就業希望者によっては施設の評判を気にする方もいるのではないですか。

トップの交代などにより雰囲気は変わるものです。就業希望者の情報が古い場合もありますので、「現在は状況が改善されていますよ」と、正しい情報を伝えています。

 

―「人材は欲しいが、変革には消極的」という事業所もあるのではないでしょうか。

私どもは本事業が介護事業所にも就業希望者にも有意義であってほしいと思っています。職員定着に向けた改善のために、事業所に様々なお願いをさせていただく事もあります。

 

潜在的介護職員掘り起こしにはマッチングが不可欠

―なぜ100人近い登録があるのでしょうか。

「介護の仕事が好き」という方は結構いらっしゃいますが、人間関係や職場環境、報酬などに不満を抱いて離れて行くようです。つまり、それらを解消することで介護業界に戻って来る人も少なくないのです。本事業では弊社を介して全道100以上の介護事業所から就業希望者にマッチした求人を紹介させていただいております。

 

―本来は適材適所であることが望ましいですが、必ずしもそうならないことがありますね。しかし苦手なことでは実力が発揮できません。

ひとつの事業所の求人では、そこに適した人を当てはめなくてはなりませんが、複数の事業所が参加することで、マッチングの可能性が広がります。

 

―中にはマッチングしない方もいるのではないですか。

出来るだけ希望に合った介護事業所をご紹介していますが、介護の仕事を「ただの作業」「報酬を得る仕事」と考える方へのマッチングは困難です。また、どの事業所も不満な点は存在します。ご自身で問題を解決するために、弊社に対して依存的にならないようにサポートする配慮も行っています。

 

―もう一度介護分野で働きたいと考える人や、新たに挑戦したい人には最適な事業ですね。

就業内容や労働条件等は三者の合意で取り決めますし、メンター制度や弊社のフォローなど人間関係や職場環境を改善するための方策もあるほか、直接雇用後も雇用条件の変化など、何かあれば連絡をいただく体制を整えています。「決して一人で働いているのではなく、弊社がサポートしている」という姿勢が評価され、以前に登録された方から新しい就業希望者を紹介いただく状況も生まれています。

 

株式会社シグマスタッフ

東京都品川区に本社を置き、全国に支店を展開。人材派遣事業、人材紹介事業、アウトソーシング事業、再就職支援事業、教育・研修事業などを手掛けている。北海道支社では、北海道の潜在的介護職員等活用推進事業のほか、外国人介護人材受入研修事業、苫小牧市の介護人材確保支援事業を受託している。

 

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堅調に人材を確保 北海道発「潜在的介護職員等活用推進事業」の概要

 

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吉田匡和

介護ライター 福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。 https://buleorca.webnode.jp/

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