介護の世界から独立開業! 「愛され介護プロデューサー」としてマインド育成事業を実践

「法人・事業所の理念や経営の在り方に対する不満」、「職場の人間関係の問題」を介護の離職理由として挙げる人が約半数にも及ぶなど、職場に対して不満を抱えている人は少なくありません。国は経営者に対してメンタルヘルス対策を求めていますが、狙い通りに機能していると言い切れないのが現状です。過労でメンタル不全となった自らの経験を活かして、過酷な労働環境で働く介護関係者を救う「マインド育成事業」に取り組む女性が札幌市にいます。“愛され介護プロデューサー“を名乗って活動する谷本あゆみさんに話を伺いました。

 

休職後の利用者との運命的出会いがターニングポイントに!

北海道・網走管内出身の谷本あゆみさんは、札幌の短大を卒業後、市内の企業を経て出身地の高齢者介護施設に入職しました。人事労務管理と生活相談員を兼務し、よりよい施設を目指して同僚たちと業務改革に力を注ぐものの、職員間の意思統一は思った以上に難しく、徐々に軋轢が生じていきます。共に改革を進めていた同僚たちが病気やうつ病で次々と離脱。谷本さんも孤独心や過労でメンタル不全となり、休職せざるを得ない状況に陥りました。

メンタルの回復が十分ではないものの、なんとか復職を果たした谷本さんに、運命的な出会いが訪れます。「盲目の利用者様にとても慕っていただき、看取りや遺言まで託してくれたことで、もう一度頑張ろうという気持ちになりました」。しがらみの多い故郷を離れ、再出発するために札幌へと向かったと言います。

 

自己啓発のために学んだコーチングが独立を後押し

谷本さんは札幌でケアマネジャーとして勤務する傍ら、自己啓発のためにコーチングやカウンセリングを学び始めます。最初は独学でしたが、知人からの紹介を受けてマツダミヒロ氏が開発した「魔法の質問」のコーチング技術を修得。その後、SNSを通して介護関係者から依頼を受け、コーチングやカウンセリングの実績を積んだのちに独立しました。

2014年からは「愛され介護プロデューサー」を名乗り、ケアに携わる全ての人に向けたマインド育成事業も実施しています。独立に伴う経済的不安を訪ねると「介護施設などの年収は300万円程度なので、独立しても達成できる金額だと思った」と笑います。

 

コミュニケーションツールの制作資金をクラウドファンディングで調達

現在、谷本さんは企業や個人を対象にした講座を開催しています。

 

介護の現場の組織風土が変わる研修

「風通しの良い職場づくりコミュニケーション研修」、「感情コントロール研修」、「愛される介護リーダー養成講座」など、次世代型介護スタッフの育成研修及び勉強会ファシリテーター養成を実施。部下をマネジメントができるリーダー向けの育成研修やコンサルティングを行っています。

魔法の質問

魔法のように人生を変える良質な質問で問いかけにより、自分では気づきにくい考え方や潜在能力を引き出します。子どもの成長を促す「魔法の質問キッズインストラクター養成講座」と、子どもの心を自然に開く「魔法の質問カードマスター養成講座」があり、マツダミヒロ氏から直伝の魔法の質問を、谷本さんの持ち味である「未来思考」と「勇気づけ」のマインドで楽しく学べます。

伝筆(つてふで)講座

くせ字を魅力に変える「伝筆」を活用して描くことで、個性あふれる文字を誰でも描けるようになります。「あなたが一番」、「泣いてもいいよ」など、口では恥ずかしくて言えない言葉も作品にしてしまえば渡すことが楽しくなります。

愛のといかけⓇカード使い手養成講座

谷本さんが考案した「愛のといかけカード」を使った対話コミュニケーションを行っています。制作資金などはクラウドファンディングで出資金を募りました。48枚(しあわせの48)を一組とし、それぞれに谷本さんが筆で書いた問いが記されています。同じ問いかけでも仲間たちと答え合うことで参加者のエピソードを簡単に楽しく引き出すことができます。

これまで実施したセッションは1000時間以上、全国主要都市で養成講座も開催しました。2017年12月には「愛される介護リーダーの教科書」を出版。2018年秋からは個人セッションやセミナーはもちろん、「愛のといかけⓇカード」のトレーナー育成、及び「愛される介護リーダー」の育成も展開しています。

 

華やかさの裏にある地道な活動

実際に事業を続けるのは簡単ではありません。「北海道の事業所は職員研修に予算を計上する意識が低く、関心を持ってもらえることは少ない」と言います。SNSで募集をかけて自宅で個人を対象にセミナーや講座を開催するほか、本州の事業所などにプロモーションを仕掛けるなど地道な活動も行っています。

経済的にはカツカツと言いながらも、「自分に投資をしているので、安い価格での講座は行わない」と言い切ります。高額でも受講してくれる人はマインドが高く、全力でエネルギーを放出できることに喜びがあるそうです。近年では出会いを大切にして積み上げた実績が評価されており、介護・看護職向けに問いかけを使ったコミュニケーション講座の受講者はのべ1,000人以上、講座のリピート率も95%にのぼるなど、目に見える効果が表れてきています。

 

北海道から世界を見据える

今後は事業を全国に展開し、魔法の質問カードマスターや、愛のといかけカードの使い手を養成するほか、愛のといかけカードの海外輸出も目標に掲げています。すでに道外から講座の依頼を受けているほか、アプリを使ったオンラインサロンでLIVEセッション(柔らかなカウンセリング)も実施するなど、足掛かりを固めています。介護福祉関係職員経験者の希少な独立開業事例として、各方面から注目されています。

 

谷本あゆみオフィシャルサイト

ayumi-tanimoto.com/

 

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吉田匡和

介護ライター 福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。 https://buleorca.webnode.jp/

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