在宅主婦が活躍するクラウド型コールセンターが秘めた成長性とは
クラウドソーシング型事業が注目される背景
少子高齢化の進行で我が国の労働力人口が減少していくことが深刻な社会問題となっています。
政府や企業も高齢労働者の“雇用継続制度”や“育児休業制度”、“外国人労働者の就労”を充実させることでこの危機を回避しようとしていますが、まだまだ抜本的な問題解決にはほど遠い状況ではないでしょうか。
厚生労働省が発表した「平成24年版 働く女性の実情」によると35歳~39歳の男女の就業率は男性が92.7%・女性は63.9%と、28.8%も女性が低くなっています。
結婚や出産を経験する30代女性の社会復帰にはまだまだ課題が多いことが浮き彫りになった結果といえます。
労働力不足が深刻化する中、国も企業も“眠れる労働力”を活用しなくてはということで、近年、クラウドソーシング企業が注目を集めており、参入業者も増加しており、昨年は在宅ワーカーと企業を結ぶネット企業で初めての上場という成功事例も出てきています。
今回は多くの企業が悩んでいる人手不足の解決策として注目されているクラウドソーシングの事例企業として、“相場の半額という低料金でアウトソーシングが可能なコールセンターを運営”するMamasan&Company株式会社(本社:東京都新宿区)の田中茂樹社長にお話をうかがいました。
Q:Mamasan&Companyの創業の経緯や強みを教えてください
もともとMamasan&Companyは2008年にSPRING株式会社のコスト削減プロジェクトとしてスタートしたものが、事業化されたことがきっかけです。
私自身が過去に上場企業のCFOを担当しており、財務会計を中心とした切り口で業務分析からコストダウンを専門的に取り組んでいた経験からプロジェクトリーダーを任せられることになりました。
また、プロジェクトを起業していく過程で、「社会を離れてしまった有能な主婦の方に能力発揮の場を提供し、社会への貢献意欲を満たすこと」と「企業がBPOを積極的に活用することでコストダウンを実現すること」で、双方がWin-Winの関係になれる可能性に取り組みたいと考えるようになりました。
創業当初からクラウド型だから実現できる低料金を武器に、給与計算代行や経理業務のBPOを受託に取り組んできました。
当社の強みとしては、クラウドで実現される低コストを実現する料金プランに加え、アウトソーシングを検討されるクライアントが最も心配される業務品質を一定水準以上に保っている点にあると思います。
具体的には在宅主婦の募集する仕組みや面接の際の選考基準、また主婦を複数のチームに分けることで、双方の帰属意識を醸成しあったり、能力開発を自然と行える体制を構築しているという独自ノウハウを持っている点にあると考えています。
Q:在宅主婦を活用したコールセンターの強みを教えてください
まず“一般的なテレアポ代行業者”や“テレマーケティング業界のコールセンター運営業者”はコールセンターの設置のイニシャルコストをかけすぎる傾向があります。
これは新規にテレホンアポインターを採用することで雇用開発系の補助金がもらえることなども影響しているのでしょう。
コールセンターの主要設備であるPBX(構内通信交換機システム)の投資額でいえば、100台の通信機を設置して1億円を超える投資をしているケースも多くあります。
当社の場合は在宅の主婦に業務をお願いしており、PBXについても独自に低コストでネットワークを構築する技術を持っており、同業他社の1割に満たない投資額で事業を拡大することができています。当然、事業における初期投資が少ないため、投資回収にかかる時間も短くできますので、結果的に低料金を実現することができています。
Q:超低料金のコールセンター事業の活用事例・成功事例を教えてください
コールセンターというとテレアポに代表されるアウトバウンド型のイメージが強いかと思いますが、当社ではそのようなお客様だけでなく、化粧品などの美容商材や健康食品などの通販ビジネスのインバウンド型センターとして外注していただく事案が多くなっています。
また、最近では損害保険会社の事故対応に関するコールセンター業務も受託しています。
この事例では損害保険会社のご担当者様からは「事故はいつ起こるか分からないので、勤務時間外だと社員で対応することは難しいし、大変助かっている」とのお声をいただいています。
その他のケースとしては、売上や利益に直接結びつかないような業務内容でも外注先として選んでいただくケースが出てきました。
守秘義務の関係上あまりお話はできませんが、大手企業のグループ会社で新卒採用・中途採用の応募者へのアウトバウンド業務(面接日時の連絡やエントリー意志の確認)も受託しています。
売上・利益に結びつかない仕事でもアウトソーシングしていただけるという結果は低料金を実現できたことの成果ではないかと考えています。
Q:今後の事業展開や株式公開に関するお考えについて教えてください
今後は税理士や会計士を中心とした士業向けのBPOサービスも展開していこうと準備を進めています。
現在でも一部の税理士や会計士の先生には独自にグループを作り、お互いの業務量の多少を平準化したり、専門領域をカバーしあう事例があります。
ただ、まだまだ一部の先生だけが取り組まれている状況です。
当社が得意とするインターネットでのネットワーク構築力を活用すれば、もっともっと多くの先生たちと一緒に業務に取り組める可能性があり、営業活動や広報にかかる負担を軽減でき、貢献ができるのではないかと考えています。
また当社が持つ主婦ネットワークによる業務消化能力と組み合わせることで、より多くのクライアント企業の多種多様な課題解決する仕組みを構築できると踏んでいます。
現時点ではWEBサイトで登録していただける士業の方を募集するところから着手していますが、近い将来には数百名の士業の方と関係構築を実現していきたいと考えています。
2012年の法人化からクライアント企業の皆さまに支えられ、順調に売上も伸びてきており、在宅主婦の登録者数も200名体制となりました。
さらにペースアップをはかり、3年後を目途に株式公開を果たすべくIPOの準備を進めています。
クライアント企業様のビジネスの競争力向上のお役に立ちながら、高い能力を持つ主婦の皆さまが社会貢献できる環境づくり、さらにはそのことが自己実現による生きがいの創造につながればという想いで、今後も事業に邁進し続けていく決意です。
クラウドソーシング(英語: en:crowdsourcing)
不特定多数の人の寄与を募り、必要とするサービス、アイデア、またはコンテンツを取得するプロセスである。
このプロセスは多くの場合細分化された面倒な作業の遂行や、スタートアップ企業・チャリティの資金調達のために使われる。
クラウドソーシングは群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた造語で、特定の人々に作業を委託するアウトソーシングと対比される。 クラウドソーシングは狭義では不特定多数の人に業務を委託するという新しい雇用形態を指す。- Wikipedia=