新電力より部分供給を受けて電気代を削減する手法
食品スーパーやドラッグストアなどの流通小売業の場合、夏の電気の1日の使用状況は、来店客の多い昼間(10時~17時)にピークを迎え、夜間の消費電力は昼間に比べ30%程度です。(24時間営業のスーパーの場合なら、昼夜の差は小さくなります)
一年でみれば、使用電力の35%を占める冷凍冷蔵(冷蔵庫、ショーケース、ショーケース用照明等)、25%を占める空調設備、これらがフル稼働する夏場の電力消費が、春秋と比べ高くなります。
そうすると電力使用量のグラフは、下図のような曲線を描きます。
一方、電力会社の料金計算方法は、基本料金と電力量料金で決まります。
◆電気料金=基本料金(契約電力?基本料金単価?力率割引)+電力量料金(電力量料金単価×使用電力量)
ポイントとなる契約電力は、各月の最大需要電力のうちで最も大きい値により決まります。
「当社はこれくらい電気を使うよ」と、予め使用量を定め電力会社と契約する訳です。 この契約電力は、同時に使う設備(空調や冷凍冷蔵設備等)が多いほど、大きくなります。そして不思議な感じはしますが、契約電力が大きくなるほど基本料金は高くなります。(世間の常識で考えれば、ボリュームディスカウントされると思いますが、電気に限り逆の発想です)
スーパーやドラッグストアの契約電力は、値が大きい夏場の使用電力で決まります。空調に冷蔵冷凍など使用電力量が他の季節に比べ、際立って高くなります。
つまり電気代削減ポイントは、ひとつは山の部分をそぎ落とし、契約電力と基本料金を下げます。
では、そぎおとされた山の部分をどうするのか?
1年を通して固定的なベース部分を従来の電力会社から契約電力を下げて調達、変動部分は電力会社より安い単価で電力を供給する特定規模電気事業者(PPS)から調達する。
これを「部分供給を受ける」と言います。
2つの電力会社から電気を買うことにより、スーパーマーケットなら最大3~6.5%の電気料金削減、夏冬と中間期の差が大きく負荷率の低い、カーディーラーや学校、スキー場などでは10%以上の削減が可能と言います。
電気代削減のポイントは、上の図で見るベース部分と変動部分の最適なバランスです。
ベース部分のウェイトが大きすぎれば、電力会社に払う基本料金が高くなり、料金削減メリットは限定的です。逆に変動部分が大きすぎても、PPS業者の電力調達コストが高くなり、新電力から電気を買うメリットがあまり生まれません。
ベース部分と変動部分の構成を決めるカーブの形や設備負荷率(表に占めるグラフの比率)は、100事業所あれば100通りです。スーパーマーケットだからこう、ドラッグストアだからこうという事でなく、個々の店舗で変わるので、電気料金を削減する最適な解を求めることのできる新電力会社より提案を受けるのは正解です。