平成30年度介護報酬改定 訪問介護、デイサービス、ショートステイ、グループホーム、特養の報酬・基準はこのように変わる
政府は介護報酬を平成30年度から微増ながらも引き上げ方向で調整に入ったようです。
不足している介護スタッフの問題や、悪化する一方の収支状況を考えると、介護事業者の経営改善につながる報酬引き上げが必要と判断したようです。
しかし少子高齢化の進展、特に団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて介護サービスを必要とする人が増大する中、制度を持続する上では介護報酬の引き下げは避けて通れないでしょうし、国がかかげるビジョン(地域包括ケアシステムの推進、自立支援・重度化防止の取り組み)に沿う事が出来ない事業所は、結果的に引き下げられる事となるでしょう。(この間、財務省からの引き下げ要求は、強硬なものがありました。収支は悪化しているものの、他業種の中小企業と変わらないレベルという認識です)
その全貌が明らかになりつつある平成30年度の介護報酬改定について、サービスごとに報酬や基準の変更点をまとめます
1.訪問介護
- ①生活機能向上連携加算の見直し
- ②身体介護として行われる「自立生活支援のための見守り的援助」を明確化する
- ③身体介護と生活援助の報酬にメリハリをつけ、身体介護に重点を置く
- ④生活援助中心型については、要件を緩和して人材の裾野を広げる
- ⑤同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬の見直し
- ⑥訪問回数の多いケアプランについては市町村が確認・是正を促す
- ⑦サービス提供責任者について、初任者研修課程修了者及び旧2級課程修了者を任用要件から廃止
- ⑧利用者の口腔に関する問題や服薬状況等に係る気付きを、サービス提供責任者から居宅 介護支援事業者等へ情報共有
- ⑨介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止
2.通所介護・地域密着型通所介護(デイサービス)
- ①生活機能向上連携加算を創設し、通所介護事業所の職員と外部のリハビリテーション専門職が連携して、機能訓練のマネジメントをすることを評価する
- ②心身機能の維持に係るアウトカム評価を創設し、期間内にADL(日常生活動作)の維持又は改善の度合いが一定の水準を超えた場合に評価する
- ③機能訓練指導員の対象資格(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師)に一定の実務経験を有するはり師、きゅう師を追加する。(個別機能訓練加算における機能訓練指導員の要件も同様)
- ④栄養改善加算について、管理栄養士1名以上の配置が要件とされている現行の取扱いを改め、外部の管理栄養士の実施も算定を認める
- ⑤栄養スクリーニングに関する加算を創設し、管理栄養士以外の介護職員等が栄養スクリーニングを行い、介護支援専門員に栄養状態に係る情報を文書で共有した場合に評価する。
- ⑥基本報酬のサービス提供時間区分を1時間ごとに見直す
- ⑦規模ごとの基本報酬の見直し、メリハリをつける
- ⑧地域密着型通所介護の運営推進会議の開催方法について、複数の事業所の合同開催を認める
- ⑨通所介護と訪問介護が併設されている場合、利用者へのサービス提供に支障がない時は、設備の共用を可能とする
- ⑩介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止
3.短期入所生活介護(ショートステイ)
- ①看護体制加算 (Ⅰ)・(Ⅱ)の算定要件である体制要件に加え、要介護3以上の利用者を70%以上受け入れる事業所を新たに評価する
- ②夜勤職員配置加算の現行要件に加え、夜勤時間帯を通じた看護職員の配置を新たに評価する
- ③生活機能向上連携加算を創設し、短期入所生活介護の職員と外部リハビリテーション専門職が連携して、機能訓練のマネジメントをすることを評価する
- ④機能訓練指導員の対象資格(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師)に一定の実務経験を有するはり師、きゅう師を追加する。(個別機能訓練加算、機能訓練体制加算における機能訓練指導員の要件も同様)
- ⑤現在、介護老人福祉施設や介護老人保健施設に設けられている認知症専門ケア加算を短期入所生活介護にも創設する
- ⑥短期入所生活介護事業所(ユニット型以外と特養(ユニット型)が併設している場合、夜勤職員の兼務を認める
- ⑦見守り機器導入により効果的に介護が提供できる場合、夜勤職員配置加算の見直しを行う
- ⑧短期入所生活介護の基本報酬について、従来型個室と多床室との間の報酬の差を適正化する
- ⑨療養食加算は1日単位で評価を行っている現行の取扱いを改め、1日3食を限度として、1食単位の評価とする
- ⑩介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止
- ⑪ユニット型準個室について、実態を踏まえ名称を変更する
4.認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- ①現行の医療連携体制加算は、協力医療機関との連携を確保しつつ、手厚い看護体制の事業所を評価する区分を創設する
- ②入居者の早期退院や退院後の安定した生活に向けた取り組みを評価する
- ③口腔衛生管理体制加算について、(介護予防)認知症対応型共同生活介護も対象とする
- ④管理栄養士以外の介護職員等でも実施可能な栄養スクリーニングを行い、介護支援専門員に栄養状態に係る情報を文書で共有した場合の評価を創設する
- ⑤利用者の状況や家族等の事情により、緊急に短期利用認知症対応型共同生活介護の利用が必要と認めた場合、定員を超えた受け入れを認める
- ⑥生活機能向上連携加算を創設する
- ⑦身体的拘束等の更なる適正化を図り、運営基準に違反した場合の減算を創設する
- ⑧運営推進会議の開催方法について、複数の事業所の合同開催を認める
- ⑨代表者(社長・理事長等)交代時の認知症対応型サービス事業開設者研修は、半年後又は次回研修日程のいずれか早い日までに修了すれば良い
- ⑩介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止
5.介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- ①配置医師や他の医療機関との連携、夜間の職員配置や施設内での看取りに関する評価を充実させる
- ②個別機能訓練加算は、外部のリハビリテーション専門職と連携する場合の評価を創設する
- ③機能訓練指導員の対象資格(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師)に一定の実務経験を有するはり師、きゅう師を追加する
- ④排泄に介護を要する入所者に対し、多職種が協働して支援計画 を作成し、その計画に基づき支援した場合の新たな評価を設ける
- ⑤褥瘡の発生と関連の強い項目について、定期的な評価を実施し、その結果に基づき計画的に管理することに対し新たな評価を設ける
- ⑥入所者に対して外泊時に在宅サービスを利用した場合、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき一定の単位数を算定する
- ⑦障害者を多く受け入れている地域密着型施設等の小規模な施設を評価する
- ⑧口腔衛生管理加算について、歯科衛生士が行う口腔ケアの回数を緩和をする
- ⑨栄養マネジメント加算の要件を緩和し、同一敷地内の他の介護保険施設との兼務の場合も算定を認める
- ⑩低栄養リスクの改善に関する新たな評価を創設する
- ⑪施設の管理栄養士が保険医療機関の管理栄養士と連携して、再入所後の栄養管理に関する調整を行った場合の評価を創設する
- ⑫見守り機器の導入により効果的に介護が提供できる場合、夜勤職員配置加算の見直しを行う
- ⑬身体拘束廃止未実施減算について、運営基準と減算幅を見直す
- ⑭地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の運営推進会議について、複数の事業所の合同開催を認める
- ⑯療養食加算について、1日単位で評価を行っている現行の取扱いを改め、1日3食を限度として、1食単位の評価とする
- ⑰介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止
- ⑱居室とケアユニット型準個室について名称を変更する
厚生労働省:平成 30 年度介護報酬改定に関する審議報告(案)より抜粋(29.12.6)