地域に愛される秘訣は人と人のつながり 札幌市青葉のまちの取り組み

 

社会福祉法人ほくろう福祉協会(札幌市)が運営する「特別養護老人ホーム青葉のまち」では、開設以来10年以上に渡り、地域交流スペースの積極利用や、ボランティアによる支援が行われています。地域住民と接点を持つことで施設に対する理解が深まり、事業に対する協力が得られています。具体的な取り組みについて杉田文昭相談支援課長に伺いました。

 

地域に開かれた施設であるための取り組み

特別養護老人ホーム青葉のまちは、2005年8月に札幌市厚別区青葉町に開設されました。「地域との交流の機会が保てることでその人らしい生活が継続できるよう支援する」を目標に掲げ、近隣町内会の方々や年間延700名あまりのボランティアに支援されています。施設と住民との接点が見つけにくい事業所が多い中、青葉のまちでは、次のような地域交流の取り組みが行われています。

 

雑学塾の実施

地域の高齢者の生きがい作りや、新しい趣味の発見を目的として、年間16回ほどの講座を実施しています。年会費5千円を徴収し、30人程度の受講生を募集。落語家を招いたり、消費者被害防止を呼び掛ける講和を行ったり、時にはバスに乗り近隣の工場を見学するなど、多彩な内容が用意されています。

企画・実施は専任の地域支援担当職員が中心となり、それを相談支援職がサポートする形がとられています。また、利用年数が長い受講生には「お世話役」になってもらい一緒に企画を考えていただく「参加型システム」も導入しています。近年では参加者から、「費用はかかってもよいから、講座の内容をもっと充実させたい」と意欲的な意見もあがっており、受講生の方の希望と心身状況に合わせて、できるだけ幅広く地域住民の方が参加していただけるものにしたいと考えているそうです。

 

脳健倶楽部の実施

いわゆる認知症予防のトレーニングで、ドリルを使って計算問題を解いたり、漢字の書き取りを行ったりしています。年間の参加者は延べ10人程度で、こちらも地域支援担当職員が中心となって運営しています。

 

地域交流スペースの活用

地域交流スペースは、地域の町内会・自治会関連には無料開放し、カルチャースクールなどには有料で貸し出されています。交流スペース内には陶芸の設備があり、定期的に教室が開かれ、そこで作られた作品を施設の祭りで販売するなど、良好な関係が築かれています。

 

施設を支援する、人と人とのつながり

前述した事業は、介護保険とは関係のない法人独自の事業であり、収益には直結しません。それでも事業を続ける理由は「住民への恩返し」だと言います。「普段は送迎車の出入りなどで、近隣の方にご迷惑をかけることも多いです。その中でも施設運営にご理解をいただき、協力もいただいている事への感謝を忘れてはいけない」と言い切ります。

そうした気持ちは住民にも伝わっており、たくさんの方々が青葉のまちをサポートしています。雑学塾やカルチャースクールなどで施設を訪れた方が、介護現場の現状を理解し、ボランティアに来てくれる例も少なくありません。また誰かを誘ってくることも多く、次々と住民間で支援の輪が広がっているそうです。有資格者でなくてもできることを、ボランティアにお願いしていると言い、見守り、清掃、食器洗い、入浴後に髪にドライヤーをかけるなどさまざまな分野で活躍してもらっています。

一方で現場には「職員のためのボランティアさんではない」「ボランティアさんの活動する動機や気持ちを理解して」と理解を求めています。「職員が大変そうという裏には利用者が待たされてかわいそうという気持ちが含まれています。地域にある施設をもっとよくしたいという気持ちがボランティアさんの原動力であるので、私たちが頼り切りになってはなりません」と気持ちを引き締めています。

地域と良好な関係を保つためには、介護保険制度を超えた個人的な繋がりが大切です。青葉のまちには、地域の高齢者がパソコンの調子を見てほしいと持って来ることがあるそうです。「施設の業務でないと断るか、お見せくださいと応じるかによって、その後の関係が異なります。つまり業務の垣根を越えた、人と人とのつながりが大切だと思います」と語ってくれました。

 

青葉のまちから学ぶ

地域の方が施設に出入りしやすい環境を整えることで介護の現状を理解してボランティアに来る。ボランティアが来ることで利用者へのサービスが向上する。また業務に透明性が生まれ雇用につながる。青葉のまちで行われているさまざまなことが、すべて連動していることが分かりました。地域交流事業は直接的な利益を生み出しませんが、人という大きな財産を生み出しています。地域交流やボランティア募集でお困りの事業所は、青葉のまちの取り組みを参考にしてみてください。

 

 

特別養護老人ホーム 青葉のまち

住所:札幌市厚別区青葉町15丁目18番1号

TEL:011-891-7700

 

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吉田匡和

介護ライター 福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。 https://buleorca.webnode.jp/

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