平成28年 注目雇用関係助成金はこれだ!

1億総活躍社会というスローガンにより、雇用の助成金の分野では「教育」「女性」「若者」「介護離職」「正社員化」「育児」がキーワードとなっています。

しかし、予算全体は増えるわけではなく、多くの助成金は薄く広くという傾向です。言い換えれば、1億総活躍なので、老若男女、多様なニーズに対応するため種類は多いが、個々の助成額はそれほどでもないということです。

 

1・福田事務所がおすすめする雇用助成金

(1)キャリアアップ助成金

・パートタイマー、契約社員の昇格、処遇改善

・有期労働契約者やパートタイマーの正社員転換

・有期労働契約者に、一定の訓練

などを実施した場合に支給されます。

特に有能なパートタイマー、契約社員、派遣社員を正社員や無期労働契約者に転換することはよくあることです。計画書を事前に提出し、就業規則に一定の文言を付け加えておいた後に、上記を実施すれば受給できる助成金です。弊社の申請実績でも最も受給件数が多い助成金となっています。助成金として成熟期に入りましたが、まだ雇用助成金のトップランナーであることは変わりありません。

 

(2)キャリア形成助成金

教育訓練の助成金の代表格です。正社員向けの教育に活用します。キャリア形成を効果的に促進するため、職業訓練など段階的かつ体系的に実施する場合に支給されます。OFF‐JT(座学)だけでなく、OJT(仕事をしながら訓練)でも要件を満たす場合があります。

 

(3)キャリア形成助成金(制度導入コース)

継続して人材育成に取り組むために、人材育成制度を新たに導入し、その制度に基づき人材育成を実施した場合に支給されます。(2)との違いは、当該助成金は制度導入の時だけ国が後押ししますが、後は自社でやってくださいね、という感じです。

 

(4)職場定着支援助成金

一般企業、介護事業者の雇用管理制度の導入に対して支給されます。雇用管理制度とは具体的には、評価・処遇制度、研修制度、健康づくりの福利厚生制度、メンター制度です。これに加えて、「目標達成助成」というものがなされ、企業規模別に定められた離職率逓減目標を達成すると支給されます。

 

(5)中小企業両立支援助成金(育児復帰支援プランコース)

妊娠して、育児休業を取得する人がいて、一定の要件を満たせば支給されます。ただし、育休明けの職場復帰者は現職復帰が要件になります。

 

(6)介護取組支援助成金

今年度の助成金の目玉(でした)。企業側にはコスト負担なく、あくまで簡単な措置だけで受給できるものでした。しかし、あまりにも企業にとって魅力的すぎたようで、申請が殺到、直ちに平成28年6月24日より支給要件が厳格化されました。現段階ではまだ一部の情報しか出されていません。改正後は法定以上の措置と取り組み後の実績も求められる見通しです。

 

(7)職場意識改善助成金(時間外労働上限設定コース)

限度基準を超える36協定(時間外労働協定)の特別条項を見直して、時間短縮を現実的に行うことで、経費を使った場合、時短の成果が出れば、その経費の一部(4分の3)が受給できます。

 

(8)三年以内既卒者等採用定着奨励金

既卒者・中退者(卒業後おおむね3年以内)が応募可能な新卒求人の申込み又は募集を新たに行い、新卒扱いで採用し、その後一定期間定着させた会社に対して支給されます。(平成31年までに募集、平成31年4月30日までの対象者の雇用が必要)

現在(平成28年6月)、平成29年卒の新卒の採用活動が進んでいますが、弊社のクライアント企業で大企業・中堅企業であっても大変苦労されています。中小企業に至っては内定者・内定承諾者あわせて全滅した、という話もよく聞きます。

したがって、中小企業は新卒にこだわらず、第二新卒等をターゲットに採用活動をすすめないと予定人員はまず確保困難でしょう。第二新卒を新卒と考えて人材確保をする時代です。

 

2.助成金受給にあたっての留意点

発表されて久しい助成金は、役所が不正受給に遭遇するパターン・数も増えてくるので、支給要件・支給審査を厳格になっていきます。審査時につつかれるのは、以下のような事です。

① 労働契約書・賃金台帳・出退勤記録の整合性

② 残業代の正確な計算、離職率、計画にある措置通り実行したか

③ 計画の変更届は事前に提出していたか

中小企業で抜かりなくやりおおせるには、マンパワーが足りません。マンパワーが足りないだけではなく、そもそも「コンプラのレベル」が追い付いておらず、目先のお金欲しさに、厳格になりつつある支給要件に無理にあわせるべく、”でっち上げてしまう”ケースが後を絶たないとう話も聞きます。

社労士さんや研修会社さんは営業トークで安易に宣伝してきますが、雇用関係の助成金は政策の呼び水であること認識しておく必要があります。つまり、コストを伴うため放置しておいたら進まない政策に沿った行動をさせようとする誘因です。したがって、その金額の割に意外とテマや有形無形のコストがかかるとお考え戴くほうがよいでしょう。


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