介護報酬改定対策セミナー要約(1) 介護施設を学校機能化する分校プロジェクト
平成28年8月、経営会議ドットコム主催で行いました「介護報酬・診療報酬ダブル改定対策セミナー」にて、株式会社ガネット(本社:東京都渋谷区)の代表藤田達也氏にお話しいただいたセミナーの要約資料です。
ガネットは介護施設の中に資格学校を作るユニークなコンセプトで事業スタート、わずか3年半で全国に40を超える学校を展開するまでに成長しました。
セミナーの中では、現在の介護業界が抱える人材確保の問題と、介護報酬改定問題や地域包括ケアはじめ業界を取り巻く環境と、その対策について提示しています。
介護業界を取り巻く環境①-介護報酬の縮小
今回の介護報酬で打撃を受けられた介護施設は多く、サービス単価の引き下げが-4.48%、介護職員の処遇改善にプラス1.65%。中重度の介護者へのサービスに対する加算がプラス0.56%。いわゆる、利益確保の戦略上、この処遇改善とサービス加算は今後必要不可欠なポイントです。
今後もサービス単価の引き下げの流れは止められず、処遇改善加算とサービス提供体制強化加算を直視して事業運営を行うことが必須です。
介護業界を取り巻く環境②-人材不足と採用難
昨今の採用マーケット、非常に人が取りにくいという状況になっています。
これは単に介護業界のみならず、あらゆる業界での問題です。
平成25年の有効求人倍率が1.82、これはリーマンショック直前とほぼ同等数まで伸びています。
加えて介護分野の有効求人倍率、平成26年11月が2.68倍、これは3人の応募に対して1人しか取れないということです。
こうなると、どうしても費用をかけて、求人媒体誌に掲載して人を取ろうと考える会社が多くなりますが、それだけでは改善策にはならないというところが、全国の介護施設の経営者の方から話を伺っていて感じる部分です。
介護業界を取り巻く環境③-専門性が高い介護ニーズへの対応
専門性とは、医療的ケアや認知症の理解というところです。これまで病院が手がけていた領域をいかに介護施設が手がけるようになれるかということです。
10年後の平成37年、厚労省が描く介護機能の将来像は、在宅サービスを裾野に、介護施設や長期療養と呼ばれるものがあり、一般急性があって高度の急性期があるとしています。
病院と介護施設が地域で連携しながら、それぞれの役割を明確にして取り組むこと。
一定期間は病院で、その後は自宅に戻して看護や介護のインフラをしっかりと作り上げていこうというビジョンです。
ここで介護施設さんが直視しないといけない点は、時代のニーズに対応した人材育成。
より重要度の高い方々の受け入れであったり、在宅に対する取り組みであったり、これらは介護施設が生き残る上で非常に重要になってくるのは、政府の指針から見ても分かる通りです。医療行為について背景的なところを話します。
喀たん吸引の医療的ケアの一部を介護の現場に移譲するということで、まず平成22年4月に特養における痰吸引と取り扱いについての指針が厚労省から出ました。
その後、平成22年7月から平成23年7月にかけ、介護職員等による喀痰吸引の在り方について、有識者による検討会が進められました。在宅に戻る高齢者が増えていく上で、自宅にいながら介護職から医療行為を受ける、この規制緩和がどんどん進むと予想しています。
環境を見据えた今後の施設運営
ここまで話したように、人材不足の対応策、医療行為のできる専門性の高い介護職員の教育育成、さらには医療行為のどういう部分をやれば良いのかの検討や、行政への届け出、この3つの側面は、ほとんど大規模施設で進めていますが、中小介護事業者や地方の介護事業者はなかなか手がつけられていないのが実情です。
しかし、こうした処遇改善加算は今後非常に多くなっていきますし、さらに重要視されていくので、政府の方針を理解して、会社運営を考慮することは非常に重要だと思います。
ここまでがセミナー内容の冒頭40%部分の要約です。
この後のセミナーでは、厚生労働省の方針を受けて「施設運営のためにすべきこと」「加算確保に向けて人材育成策」、その具体的な解決策となる株式会社ガネットの「介護施設を学校機能化する分校プロジェクト」の事例紹介がされています。