2018年度(平成30年度)介護報酬改定事項【認知症対応型共同生活介護編】
平成30年1月26日、社会保障審議会介護給付費分科会にて、2018年度介護報酬改定におけるサービス毎の改定事項が示されました。
今回は認知症対応型共同生活介護サービスの改定事項を紹介します。
1.【見直し】入居者の医療ニーズへの対応
入居者の状態に応じた医療ニーズへの対応のため、手厚い看護体制の事業所を評価するための区分を創設する。現行の医療連携体制加算は維持し、協力機関との連携は引き続き確保してゆく。
[単位数]
現行 | 改定後 |
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医療連携体制加算 39単位/日 | 医療連携体制加算(Ⅰ)39単位/日 医療連携体制加算(Ⅱ)49単位/日(新設) 医療連携体制加算(Ⅲ)59単位/日(新設) |
[算定要件等]
●医療連携体制加算(Ⅰ)の算定要件は、現行の医療連携体制加算と同様。
●医療連携体制加算(Ⅱ)(新設)
・事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること。
・事業所の職員として配置している看護職員が准看護師のみある場合には、病院、若しくは訪問看護ステーションの看護師と連携体制を確保すること
医療連携体制加算(Ⅲ)(新設)
・事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること。
医療連携体制加算(Ⅱ)(Ⅲ)共通(新設)
・算定日が属する月の前12月間において、次のいずれかに該当する状態の入居者が一人以上であること。
(1) 喀痰吸引を実施している状態
(2) 経鼻胃管や胃ろう等の経腸栄養が行われている状態
*医療連携体制加算は別区分同士の併算定はできません。
2.【新設】入居者の入退院支援の取組
入居者の早期退院や退院後の安定した生活に向けた取組を評価することとします。
ア 入院後3カ月以内に退院が見込まれる入居者について、退院後の再入居の受け入れ態勢を整えている場合には、1月に6日を限度として一定単位の基本報酬の算定を認めることとします。
イ 医療機関に1ヶ月以上入院したのち、退院して再入居する場合も初期加算の算定を認めることとします。
[単位数]
現行 | 改定後 |
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(アについて)なし (イについて)初期加算30単位/日 |
246単位/日(新設) 変更なし |
[算定要件等]
●アについて
入居者が、病院又は診療所に入院する必要が生じた場合であって、入院後3月以内に退院することが明らかに見込まれるときは、その者及びその家族の希望等を勘案し、必要に応じて適切な便宜を供与するとともに、やむをえない事情がある場合を除き、退院後再び当該指定認知症対応型共同生活介護事業所に円滑に入居することができる体制を確保していること。
・上記の体制を確保している場合には、入居者が病院又は診療所への入院を要した場合に、1月に6日を限度として算定を認めます。
●イについて
・初期加算の算定要件としては以下の要件を加える。
「30日を超える病院又は診療所への入院ののちに指定認知症対応型共同生活介護事業所に再び入居した場合も、同様とする。」
3.【新設】口腔衛生管理の充実
歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士による介護職員に対する口腔ケアに係る技術的助言及び指導を評価した口腔衛生管理体制加算について、現行の施設サービスに加え、認知症対応型共同生活介護も対象とします。
[単位数]
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 口腔衛生管理体制加算 30単位/月(新設) |
[算定要件等]
●歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に口腔ケアに係る技術的助言及び指導を月1回以上行っていること。
4.栄養改善の取組の推進
・管理栄養士以外の介護職員等でも実施可能な栄養スクリーニングを行い、計画作成担当者に栄養状態に係る情報を共有した場合を評価します。
5.短期利用認知症対応型共同生活の算定要件の見直し
短期利用認知症対応型共同生活介護について、利用者の状況や家族の事情により介護支援専門員が緊急に利用が必要と認めた場合などの一定の条件下において、定員を超えて受け入れを認めることとします。
6.【新設】生活機能向上連携加算の創設
自立支援・重度化防止の介護を推進するため、新たに生活機能向上連携加算が創設されました。
[単位数]
現行 | 改定後 |
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なし | 生活機能向上連携加算 200単位/月(新設) *個別機能訓練加算を算定している場合は100単位/月 |
[算定要件等]
●生活機能向上連携加算 (新設)
・リハビリテーションを実施している訪問リハ・通所リハ事業所又は医療提供施設の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、医師が認知症対応型共同生活介護事業所を訪問し、計画作成担当者と身体状況等の評価(生活アセスメント)を共同して行います。・計画作成担当者は生活機能の向上を目的とした認知症対応型共同生活介護計画を作成すること。
7.身体的拘束等の適正化
身体的拘束のさらなる適正化を図る観点から、身体拘束廃止未実施減算を創設します。
[単位数]
現行 | 改定後 |
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なし | 身体拘束廃止未実施減算 10%/日減算(新設) |
[算定要件等]
●身体的拘束の適正化を図るため、以下の措置を講じなければならないこととします。
・身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること。
・身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他従業者に周知徹底を図ること
・身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
・介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
8.運営推進会議の開催方法の緩和
・以下の要件を満たす場合、運営推進会議について複数の事業所の合同開催を認めます。運営推進会議の効率化や事業所間のネットワーク形成の促進等を図ります。
ⅰ 利用者及び利用者家族については匿名とするなど、個人情報・プライバシーを保護すること
ⅱ 同一の日常生活圏内に所在する事業所であること
ⅲ 合同して開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこと
9.代表者交代時の開催者研修の取扱い
・認知症対応型共同生活介護の代表者(社長・理事長)の交代時には、半年後または次回研修日程のいずれか早い日までに認知症対応型サービス事業者開設者研修を修了しておくこと。
新規に事業を開始する場合には、従来通り新規指定時において研修をしていること。
10.【見直し】介護職員処遇改善加算の見直し
・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)は、厚生労働大臣が定める日以降に廃止されます。
[算定要件等]