2018年度(平成30年度)介護報酬改定事項【介護老人福祉施設編】
平成30年1月26日、社会保障審議会介護給付費分科会にて、2018年度介護報酬改定におけるサービス毎の改定事項が示されました。
今回は介護老人福祉施設サービスの改定事項を紹介します。
1.【見直し】基本報酬
[単位数]
介護福祉施設サービス費(従来型個室)
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
要介護1 | 547単位 | 557単位 |
要介護2 | 614単位 | 625単位 |
要介護3 | 682単位 | 695単位 |
要介護4 | 749単位 | 763単位 |
要介護5 | 814単位 | 829単位 |
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費(従来型個室)
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
要介護1 | 547単位 | 565単位 |
要介護2 | 614単位 | 634単位 |
要介護3 | 682単位 | 704単位 |
要介護4 | 749単位 | 774単位 |
要介護5 | 814単位 | 841単位 |
ユニット型介護福祉施設サービス費
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
要介護1 | 625単位 | 636単位 |
要介護2 | 691単位 | 703単位 |
要介護3 | 762単位 | 776単位 |
要介護4 | 828単位 | 843単位 |
要介護5 | 894単位 | 910単位 |
ユニット型地域密着型介護老人福祉施設入所生活介護費(ユニット型個室)
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
要介護1 | 625単位 | 644単位 |
要介護2 | 691単位 | 712単位 |
要介護3 | 762単位 | 785単位 |
要介護4 | 828単位 | 854単位 |
要介護5 | 894単位 | 922単位 |
2.【新設】入所者の医療ニーズへの対応(配置医師緊急時対応加算の創設)
ア 配置医師が施設の求めに応じ、早朝・夜間又は深夜に施設を訪問し入所者の診療を行ったことを新たに評価します。
イ 常勤医師配置加算の加算要件を緩和し、同一建物内でユニット型施設と従来型施設が併設され、一体的に運営されている場合であって、1名の医師により双方の施設で適切な健康管理及び療養上の指導が実施されている場合には、双方の施設で加算を算定できることとします。
ウ 入所者の病状の急変等に備えるため、施設に対して、あらかじめ配置医師による対応その他の方法による対応方針を定めなければならないことを義務付けます。
[単位数]
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 配置医師緊急時対応加算 早朝・夜間の場合 650単位/回(新設) 深夜の場合 1300単位/回(新設) |
[算定要件等]
●ア 配置医師緊急時対応加算(新設)
1 入所者に対する緊急時の対応や連絡方法などについて、配置医師と施設の間で、具体的な取り決めがなされていること。
2 複数名の配置医師を置いていること、若しくは配置医師と協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること。
3 上記につき届け出をしていること。
4 看護体制加算(Ⅱ)を算定していること。
5 早朝・夜間又は深夜に施設を訪問し、診療を行う必要があった理由を記録すること。
3.【見直し】入所者の医療ニーズへの対応(夜勤職員配置加算の見直し)
エ 現行の要件に加えて夜勤時間帯を通じて、看護職員を配置していること又は喀痰吸引等の実施ができる介護職員を配置していること(登録喀痰吸引等事業者として都道府県の登録が必要)について、これをより評価します。
[単位数]
夜勤職員配置加算
現行 | 改定後 |
---|---|
地域密着型 従来型の場合 (Ⅰ)イ: 41単位/(日) 経過的の場合 (Ⅰ)ロ: 13単位/(日) ユニット型の場合 (Ⅱ)イ: 46単位/(日) ユニット型経過的の場合 (Ⅱ)ロ: 18単位/(日)広域型 従来型(30人以上50人以下)の場合 (Ⅰ)イ: 22単位/(日) 従来型(51人以上又は経過的小規模)の場合 (Ⅰ)ロ: 13単位/(日) ユニット型(30人以上50人以下)の場合 (Ⅱ)イ: 27単位/(日) ユニット型(51人以上又は経過的小規模)の場合 (Ⅱ)ロ: 18単位/(日) |
変更なし イ: 41単位/(日)(新設) ロ: 13単位/(日)(新設) イ: 46単位/(日)(新設) ロ: 18単位/(日)(新設)変更なし イ: 41単位/(日)(新設) ロ: 13単位/(日)(新設) イ: 46単位/(日)(新設) ロ: 18単位/(日)(新設) |
4.【見直し】入所者の医療ニーズへの対応(夜勤職員配置加算の見直し)
オ 看取り介護加算の算定に当たって、医療提供体制を整備し、さらに施設内で実際に看取った場合、より手厚く評価することとします。
現行の要件に加えて夜勤時間帯を通じて、看護職員を配置していること又は喀痰吸引等の実施ができる介護職員を配置していること(登録喀痰吸引等事業者として都道府県の登録が必要)について、これをより評価します。
[単位数]
看取り介護加算の見直し
現行 | 改定後 |
---|---|
看取り介護加算 死亡30日前~4日前 144単位/日 死亡日前々日、前日 680単位/日 死亡日前々日、前日 1280単位/日 |
看取り介護加算(Ⅰ) 変更なし看取り介護加算(Ⅱ) 死亡30日前~4日前 144単位/日(新設) 死亡日前々日、前日 680単位/日(新設) 死亡日前々日、前日 1280単位/日(新設) |
[算定要件等]
●看取り介護加算(見直し)
・アにおける要件のうち、1~4に示した医療提供体制を整備し、さらに施設内で実際看取った場合に算定する。
5.【新設】生活機能向上連携加算
外部のリハビリテーション専門職と連携する場合を評価するものです。
自立支援・重度化防止の介護を推進するため、新設されました。
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 生活機能向上連携加算 200単位/月(新設) *個別機能訓練加算を算定している場合は100単位/月 |
[算定要件等]
●生活機能向上連携加算 (新設)
・リハビリテーションを実施している訪問リハ・通所リハ事業所又は医療提供施設の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、医師が介護老人福祉施設等を訪問し、介護老人福祉施設等の職員と共同で、アセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成すること。 ・機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他職種の者が共同して、当該計画に基づき、計画的に機能訓練を実施すること。
6. 機能訓練指導員の確保の促進
・機能訓練指導員の対象資格について、一定の実務経験を有するはり師、きゅう師を追加します(従来は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師)。機能訓練指導員の確保の促進を図ります。
7. 【新設】排泄に介護を要する利用者への支援に対する評価の創設
排泄障害等のため、排泄に介護を要する特別養護老人ホーム等の入所者に対し、多職種が協働して支援計画を作成し、その計画に基づき支援した場合の新たな評価を設けます。
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 排せつ支援加算100単位/月(新設) |
[算定要件等]
●排せつ支援加算 (新設)
・排泄に介護を要する利用者のうち、身体機能の向上や環境の調整等によって排せつにかかる要介護状態を軽減できると医師又は適宜医師と連携した看護師が判断し、利用者もそれを希望する場合、多職種が排泄にかかる各種ガイドライン等を参考として、
・排泄に介護を要する原因等についての分析
・分析結果を踏まえた支援計画の作成及びそれに基づく支援を実施することについて、一定期間、高い評価を行います。
8. 【新設】褥瘡の発生予防のための管理に対する評価
入所者の褥瘡発生を予防するため、褥瘡の発生と関連の強い項目について、定期的な評価を実施し、その結果に基づき計画的に管理することに対し新たな評価を設けます。
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 褥瘡マネジメント加算 10単位/月(新設) *3月に1回を限度とする |
[算定要件等]
●褥瘡マネジメント加算 (新設)
① 入所者全員に対する要件
モニタリング指標を用いて、施設入所時に評価するとともに、少なくとも3月に1回、評価を行い、その評価結果を提出すること。
② ①の評価の結果、褥瘡の発生にかかるリスクがあるとされた入所者に対する要件
・関連職種の者が協働して、入所者ごとに褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成すること。
・褥瘡ケア計画に基づき、入所者ごとに褥瘡管理を実施すること。
・①の評価に基づき、少なくとも3月に1回、褥瘡化計画を見直すこと。
9.【新設】外泊時に在宅サービスを利用したときの費用の取扱い
入所者に対して居宅における外泊を認め、当該入所者が、介護老人福祉施設により提供される在宅サービスを利用した場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき一定の単位数を算定する。
[単位数]
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 在宅サービスを利用したときの費用 560単位/月(新設) |
[算定要件等]
・外泊の初日及び最終日は算定できません。
・外泊時費用を算定している際には、併算定できません。
10.【見直し】障害者の生活支援について
ア 障害者を多く受け入れている小規模な施設を評価するため。、現行の障害者生活支援体制加算の要件を緩和します。
イ 同加算について、一定の要件を満たす場合、より手厚い評価を行います。
[単位数]
現行 | 改定後 |
---|---|
障害者生活支援体制加算 26単位/日 | 障害者生活支援体制加算(Ⅰ) 26単位/日 障害者生活支援体制加算(Ⅱ) 41単位/日(新設) |
[算定要件等]
●障害者生活支援体制加算(見直し)
<アについて>
・視覚、聴覚若しくは言語機能に重度の障害がある者又は重度の知的障害者若しくは精神障害者の数(以下「入所障害者数」)が、15人以上の施設に加え、入所障害者数が入所者総数の30%以上の施設も対象とする。
<イについて>
・入所障害者数が入所者総数の50%以上、かつ、専ら障害者支援専門員としての職務に従事する常勤の職員である者を2名以上配置すること。
11.【見直し】口腔衛生管理の充実
口腔衛生管理加算について、対象者の拡大を図るため、以下の見直しを行います。
ⅰ 歯科衛生士が行う口腔ケアの実施回数は、現行の月4回以上を月2回以上に見直します。
ⅱ 歯科衛生士が、当該入所者に係る口腔ケアについて介護職員へ具体的な技術的助言及び指導を行い、当該入所者に関する相談等に応じ対応することを新たに要件に加えます。
[単位数]
現行 | 改定後 |
---|---|
口腔衛生管理加算 110単位/月 | 90単位/月(見直し) |
12.【見直し】栄養マネジメント加算の要件緩和
栄養マネジメント加算の要件を緩和し、常勤の管理栄養士1名以上の配置に関する要件について、同一敷地内の他の介護保険施設との兼務の場合にも算定を認めることとします。
13.【新設】栄養改善の取組の推進
低栄養リスクの改善に関する新たな評価を創設します。
低栄養リスクの高い入所者に対し、多職種が協働して低栄養状態を改善するための計画を作成し、この計画に基づき、定期的に食事の観察を行い、当該入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた栄養・食事調整等を行います。
[単位数]
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 低栄養リスク改善加算 300単位/月(新設) |
[算定要件等]
●低栄養リスク改善加算(新設)
・栄養マネジメント加算を算定している施設であること。
・経口移行加算・経口維持加算を算定していない入所者であること。
・低栄養リスクが「高」であること。
・新規入所時又は再入所時のみ算定可能とすること。
・月1回以上、多職種が協働して入所者の栄養管理をするための会議を行い、栄養ケア計画を作成すること。
・作成した栄養ケア計画に基づき、管理栄養士等は対象となる入所者に対し食事の観察を週5回以上行い、当該入所者ごとの栄養状態、嗜好を踏まえた食事・栄養調整等を行うこと。
・当該入所者又はその家族の求めに応じ、栄養管理の進捗の説明や栄養食事相談等を適宜行うこと。
・入所者又はその家族の同意を得られた日の属する月から起算して6ヵ月以内の期間に限るものとし、それを超えた場合においては、原則として算定しないこと。
14.【新設】入院先医療機関との間の栄養管理に関する連携
介護保険施設の入所者が医療機関に入院し、栄冠栄養又は嚥下調整食の新規導入など、施設入所時とは大きく異なる栄養管理が必要となった場合について、介護保険施設の管理栄養士が当該医療機関の管理栄養士と連携して、再入所後の栄養管理に関する調整を行った場合の評価を創設します。
[単位数]
現行 | 改定後 |
---|---|
なし | 再入所時栄養連携加算 400単位/月(新設) |
[算定要件等]
●再入所時栄養連携加算(新設)
・介護保険施設の入所者が医療機関に入院し、施設入所時とは大きく異なる栄養管理が必要となった場合、介護保険施設の管理栄養士が当該医療機関での栄養食事指導に同席し、再入所後の栄養管理について当該医療機関の管理栄養士と相談の上、栄養ケアの原案を作成し、当該介護保険施設へ再入所した場合に、1回に限り算定できること
・栄養マネジメント加算を算定している施設であること
15.介護ロボットの活用の促進
見守り機器の導入により効果的に介護が提供できる場合について、新たに評価します。
[単位数]
変更なし 地域密着型 従来型の場合 (Ⅰ)イ: 41単位/(日) 経過的の場合 (Ⅰ)ロ: 13単位/(日) ユニット型の場合 (Ⅱ)イ: 46単位/(日) ユニット型経過的の場合 (Ⅱ)ロ: 18単位/(日)広域型 従来型(30人以上50人以下)の場合 (Ⅰ)イ: 22単位/(日) 従来型(51人以上又は経過的小規模)の場合 (Ⅰ)ロ: 13単位/(日) ユニット型(30人以上50人以下)の場合 (Ⅱ)イ: 27単位/(日) ユニット型(51人以上又は経過的小規模)の場合 (Ⅱ)ロ: 18単位/(日) |
[算定要件等]
●現行の夜勤職員配置加算の要件
・夜勤時間帯の夜勤職員数:夜勤職員の最低基準+1名分の人員を多く配置していること
●見守り機器を導入した場合の夜勤職員配置加算の要件>(新設)
・夜勤時間帯の夜勤職員数:夜勤職員の最低基準+0.9名分の人員を多く配置していること
・入所者の動向を検知できる見守り機器を入所者数の15%以上に設置していること
・施設内に見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し、必要な検討等が行われていること。
16.身体的拘束等の適正化
身体的拘束廃止未実施減算について、運営基準と減産幅を見直します。
[単位数]
現行 | 改定後 |
---|---|
身体拘束廃止未実施減算 5単位/日減算 |
身体拘束廃止未実施減算 10%/日減算(新設) |
[算定要件等]
●身体的拘束の適正化を図るため、以下の措置を講じなければならないこととする。
・身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに金融やむを得ない理由を記録すること
・身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他従業者に周知徹底を図ること
・身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
・介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
17.運営推進会議の開催方法の緩和
・以下の要件を満たす場合、運営推進会議について複数の事業所の合同開催を認めます。運営推進会議の効率化や事業所間のネットワーク形成の促進等を図ります。
ⅰ 利用者及び利用者家族については匿名とするなど、個人情報・プライバシーを保護すること
ⅱ 同一の日常生活圏内に所在する事業所であること
ⅲ 合同して開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこと
18.小規模介護福祉施設等の基本報酬の見直し
小規模介護福祉施設、経過的地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護及び旧措置入所者の基本報酬について、報酬体系の簡素化や均衡を図る観点から見直しを行います。
経過的小規模介護福祉施設サービス費(従来型個室)
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
要介護1 | 700単位 | 659単位 |
要介護2 | 763単位 | 724単位 |
要介護3 | 830単位 | 794単位 |
要介護4 | 893単位 | 859単位 |
要介護5 | 955単位 | 923単位 |
旧措置入所者介護福祉施設サービス費(従来型個室)
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
要介護1 | 547単位 | 557単位 |
要介護2 | 653単位 | 625単位 |
要介護3 | 653単位 | 695単位 |
要介護4 | 781単位 | 763単位 |
要介護5 | 781単位 | 829単位 |
19.療養食加算の見直し
1日単位で評価を行っている現行の取扱いを改め、1日3食を限度とし、1食を1回として、1回単位の評価とする。
20.【見直し】介護職員処遇改善加算の見直し
・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)は、厚生労働大臣が定める日以降に廃止されます。
[算定要件等]
21.居室とケア
・ユニット型準個室について、実態を踏まえ、その名称を「ユニット型個室的多床室」に変更します。
22.介護経営オススメ
夜勤職員配置加算の要件に、見守り機器の導入が新たに加わりました。
介護経営では、スタッフの作業負担を軽減させて、働く人に優しい企業イメージの向上と採用力の強化、離職率の低下が期待できる機器の導入をお薦めしています。