警察が出動するほど暴れた本人が安定した生活を送るまで

認知症や精神疾患など、様々な症状というのはある日突然やってくることも十分に考えられます。

その際に一番驚かれ、そして動揺されるのはご本人様はもちろんのこと、ご家族様もご本人様以上にお困りになられるというケースも多々あります。

そんな時にケアマネージャーは、様々な知恵や経験をもとに、ご家族様に最適な社会福祉の制度を利用した方法をお教えし、そして導いて差し上げるわけです。

今回はMSW回顧録シリーズということで、私が過去ケアマネージャーとして活動していた頃のエピソードについて一つ、事実をもとに個別の事例が特定できない様再構成したフィクションという形でお送りしていきます。

今回のケースでは警察が介入し、緊急の医療保護入院という制度で精神科へ強制入院となったご本人様と、そのご家族様が安定して生活が送れるようになるまで寄り添ったケース、ということでご紹介していきます。

この中から、新米のケアマネージャーさんについては活動のヒントを見出して頂ければ幸いです。

今回も、ご家族様から見た手記のような形でお送りしていきます。

 

深夜、包丁、自宅にて。

父の様子が変だなと思ってきたのは、目が吊り上がってきたことと、些細なことで大きな声で怒りだし、物を投げつけるようになったことです。

しかし、常にそういう状態ではなかったので、家業が農家で農繁期なこともあり、そのまま過ごしていました。

そうしたある日の夜に突然、包丁を持ち出して「殺してやる」と大声で叫びながら包丁をふりまわし出したのです。

これは大変だと思い、救急車を呼ぼうと思い電話しましたが、救急搬送の対象にはならないので警察に相談してくださいと言われ、すぐに警察を呼びました。

警察が着いた後も、包丁を振り回すのは治まらず、私と警察の人とで毛布に簀巻き状態にしてパトカーに半ば強引に乗り込ませ●●病院に搬送し、精神科の医療保護入院という制度を利用し強制入院させてもらいました。

病院についても興奮していたのですが、鎮静剤を注射してもらい、ようやく落ち着きました。

自宅に戻ってからは今後どうするかを相談し、在宅での対応は難しいとの判断に至りました。

病院から連絡があり、精神的に落ち着き今後は薬を飲むことで安定すると思われるので退院はいつでもできますと言われました。

まだ、これからどうするか検討中であったので入院の延長はできないのか?と相談しましたが、「落ち着けば退院になるので難しいです」と言われてしまいました。

そこで知人に相談したところ、高齢者専用のアパートなような所があり、ヘルパーも常に24時間いるので安心できるのでは?とアドバイスをもらい、早速電話したところ空きがあるとのことだったのですぐに入居希望しました。

いつでも入居可能と言われたので父をすぐに退院させて、入居させました。

「ここは、アパートなので介護保険のサービスも利用可能です」と言われたので急いで介護保険を申請しました。結果は要介護2で認定されました。

次にケアマネを決めなければならないことは母のことで知っていたので、どこにするか考えていたところ、アパートの管理人から「ケアマネを紹介できるよ」と言われたので紹介してもらいました。

すると偶然に母を担当してくれたケアマネが担当してくれることになったのです。

以前から知っていることもあり、安心して任せられると思い、そのケアマネに依頼しました。

サービス内容としてはヘルパーと週2回デイサービス利用することで、様子をみることになりました。

アパートに入居してからは、特別大きな問題はないとケアマネからも報告があり、胸をなで下ろしました。

ただ入れ歯調整のため訪問歯科を利用していたのですが、その歯科医とは相性が合わないのか「なんで1回で入れ歯ができないんだ」と興奮することがあったようです。

しかし、訪問歯科の診察には必ずケアマネが付き添ってくれていたので、父に説明をしたり、怒るのをいさめたりしてくれていたので安心していました。

現在リハビリ目的で入院中の母に母を担当していたケアマネが父を担当してくれていると話したところ「あの人なら安心だよ。信用していいよ」と言われました。

そのことをケアマネに伝えたところ「懐かしいですね。お元気そうでなによりです。覚えてくれていたんですね。嬉しいです」と照れ臭そうにしていました。

 

ある日突然のヘリ搬送の連絡

そうして月日が過ぎ安心して生活したのですが、父がベッドより転落したとの連絡が私の携帯に何度も着信が入っていました。

内容は●●さんがベッドから転落し、●●病院に搬送されたので伝言を聞いたらすぐに連絡がほしいとのことでした。

伝言に気づき急いでケアマネに連絡したところ、●●病院の整形外科に入院し、頸椎損傷との診断であると話を聞きました。

●●病院では手術できる医者がいないので、明日ヘリコプターで●●市の△△病院に搬送し手術することになる。と。

突然の知らせに動揺しましたが、とりあえず病院に任せるしかないと思いました。私も付き添いしてほしいと病院側から話があったので一緒にヘリコプターで△△病院に同乗しました。

着いて早々すぐに手術となり、待合室で待っていました。手術が終わり、医者に呼ばれて病状の説明を受けました。「手術は成功しましたが、後遺症は残る可能性があります。後はリハビリ次第です。ここには長期間入院できないので他の病院を探してください」とのことでした。

 

再度、ケアマネのお世話に

そのことをケアマネに相談したところ、母の入院しているリハビリ専門の病棟がよいのではとのことでした。そのため主治医に紹介状とレントゲンのフィルムを用意してもらいました。

ケアマネからは「先方には私の方からすでに連絡し、医師からも入院の了解は得ているのでまずは診察を受けてください。すぐに入院させてくれるように手配してるので大丈夫ですよ」と言われました。

問題は父をどうやって搬送するかも相談したところ、救急車などは利用できないので民間の寝台車に依頼するしかないので紹介しますね」と電話番号を教えてもらいました。

すぐに電話したところケアマネから話がいっていたようでスムーズに話が進み、退院日も設定することができました。

料金は決して安くはなかったのですが、ケアマネからできるだけ値引きしてもらうように頼んでくれていたらしく、格安の料金で対応してくれたことを後で知りました。

そして母の入院する病院に入院しリハビリを開始しました。当初は寝たきりになる可能性もあると説明を受けていましたが、リハビリの成果もあり、歩行器まで回復しました。

しかし、母の入院する病院も長期入院は難しいのでこれからのことをケアマネに相談しました。すると「入居していたアパートでの生活は正直厳しいと思います。なので、私が知っている老人保険施設の相談員にすでに話を通してますので、相談に行ってください」と言われすぐに相談に行きました。

ここでもすでにケアマネから話は行っているようでスムーズに話が進み、退院後の入所を調整してもらえることになりました。」私もそこそこ介護保険のことは知っていましたが、ここまで段取りをしてくれたケアマネには一銭も報酬がないこと知っていたので、本当に感謝しています。

お礼の電話をしたところ「入所できましたか。よかったですね」と逆に喜んでくれました。ここまでしてくれるケアマネはそうはいないと思うことで、重ね重ね感謝の気持ちでいっぱいです。

 

家族にとってのスーパーお助けマン、ケアマネージャー

このようにケアマネは、社会福祉の観点からその行動が直接報酬に結びつかずとも、ここまでケアを行うという精神を持った人が多いのも特徴です。

そしてこういった信頼関係の構築の上に、様々な施設への紹介や要介護者の方の救済という所に繋がっていくのです。

そして今回の回顧録の中にも出てきましたが、ケアマネは絶えず様々な施設の状況をよく知っており、そして時にはご家族様に代行して速やかに連絡を入れてくれるなど、インバウンド営業という観点から見ればケアマネージャーが施設の最強の営業マンということもできるわけです。

しかしケアマネージャーさんに施設のことを覚えておいていただかなくては、全く意味がありません。

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