介護施設の大規模化が進む【2040年を展望した社会保障・働き方改革本部の提言より】
少子高齢化が進み、深刻な介護人材不足が発生すると予想されている2040年に向けて、厚生労働省は「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設置しました。同本部の提言には、健康寿命の延長や、高齢者雇用の促進、地域共生の包括的な支援体制の確立などとともに、介護施設の大規模化が盛り込まれています。今後、小規模介護施設はどうなっていくのか。検証しました。
2040年問題とは
日本は1970年代に諸外国に先駆けて高齢化社会に突入、2013年頃には高齢化率25.0%になり、人口の4人に1人が高齢者という時代を迎えました。高齢化はさらに進み、1947~1949年の第1次ベビーブームに生まれた「団塊の世代」と呼ばれる人たちが、75歳に達する2025年には後期高齢者の割合が20%近くにまでに増え、医療費・社会保障費が大きく膨らむことが想定されています。
少子高齢化は、それ以降も歯止めがかからず、1971〜74年の第2次ベビーブームに生まれた世代が75歳を迎える2040年には、社会保障費の捻出が極めて困難になることから、大量な介護難民が出現することが予測されています。そうした時代を迎えるにあたり、厚生労働省は政策課題を取りまとめるために「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設置。次の4つの改革を通じて生産性の向上を図り、必要かつ適切な医療・福祉サービスの実現を目指しています。
- ロボット・AI・ICT等の実用化推進、データヘルス改革
- タスクシフティングを担う人材の育成、シニア人材の活用推進
- 組織マネジメント改革
- 経営の大規模化・協働化
「経営の大規模化・協働化」については、「医療法人・社会福祉法人それぞれの経営統合」、「運営協働化、多角化方策の検討」、「医療法人と社会福祉法人の連携方策の検討」などが盛り込まれています。
介護施設の大規模化が推進される
現在、介護業界で話題となっているのが「介護施設の大規模化」です。財務省も「大規模化により、効率的・安定的に施設運営が期待できる」と後押し。政府が6月に決定する「骨太の方針」に反映したい考えです。法人の再編成や統廃合は珍しいことではありませんが、今回は国がイニシアチブを取っている点が異なります。それにより「小規模施設は強制的に淘汰されるのではないか」という懸念が広がっています。
東京商工リサーチの調査によると、介護施設が年々増加する一方で、倒産件数も多いと報告しています。介護報酬の引き上げなどもあり、2018年度の介護サービス事業者の倒産件数は106件(前年比4.5%減)と7年ぶりに前年比を下回ったものの、倒産件数は過去3番目に多く、依然として高い状況が続いています。
倒産した事業所を見ると、負債1億円未満が82件(前年比10.8%減、構成比77.3%)と、全体の7割を占めるなど、小規模事業者の倒産が多くを占めています。それを裏付けるように、独立行政法人 福祉医療機構経営サポートセンター リサーチグループがデータ分析した「2018年度の特別養護老人ホームの経営状況」では、定員29 人以下の小規模施設の 41.9%が赤字であると報告しています。
介護報酬の基本部分は低く抑えられ、手厚い人員配置などをすることで得られる加算で積み上げをする仕組みであることから、いかに人や設備に投資できるかが安定経営のポイントになります。事前準備や事業計画が甘いことによる倒産が指摘されていますが、小規模施設に不利な介護報酬のシステムが、倒産を招いている要因の一つと言えるでしょう。
大規模化による弊害
介護事業所の大規模化による経済的なメリットが強調される一方で、利用者に対するメリットは、あまり聞こえてきません。そもそも施設の規模でサービスの質の優劣が決められるものではありませんし、小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護、地域密着型通所介護や認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護や地域密着型介護老人福祉施設など、これまで国が推進してきた「地域密着型サービス」の多くは小規模施設であるという実態が、おざなりにされています。
また、大規模施設が合理的な運営を進めるためには、人口の多い都市部を対象とする必要がありますが、日本の大部分は過疎地です。そうした地域の小規模施設が淘汰されることで、介護サービスの利用格差が広がり、多くの介護難民を生み出す危険が懸念されます。
社会保障費の抑制の前に十分な検討を!
高齢者が増加する一方で、働き手が減少していく「少子高齢化」が進む日本において、社会保障費の抑制は不可欠であることは、誰の目にも明らかです。合理化により無駄をなくすことは大切ですが、サービスを利用したい人が利用できなくなるほど切り詰めるのは本末転倒と言えます。事業所間の再編成においては、小規模介護事業所が担っていた役割をどのように維持していくか。また、大規模に比べて待遇などが劣るだろう小規模施設が、どのように人材を確保していくのか。山積している問題を自治体も含めて検討する必要があるでしょう。政府は2019年夏までに具体的プランを提示する予定です。今後の成り行きが注目されます。
【PR】中小零細介護事業をM&A。その具体的な進め方
介護事業を立ち上げる際、既存の事業所をM&Aで譲り受けるのも方法です。後継者がなくバトンタッチする相手がいない、介護以外の事業の集中したい、業績が厳しく介護事業に情熱が持てなくなった等の理由で、多くの中小零細の介護事業者で、毎年M&Aが進められています。思いのほか、安価で譲渡されているので、自分でゼロから立ち上げるより、トータルでコスト安になる場合もあるので、おすすめです。
M&Aを進める最初の一歩は、とにもかくにも情報収集です。理想の先が、いますぐに見つかるものでありません。
買収を検討される企業・個人は、できるだけ多くのM&A仲介サイトに登録をおすすめします。
登録無料、登録しても営業電話がかかってくるもでのもなく、要は新着情報がメールで届きます。
おすすめのM&A仲介会社を3社、ピックアップ
おすすめの理由は、①登録数が多い、②完全成功報酬、以上の2点です。
■国内最大級のM&A・事業承継のマッチングプラットフォーム【バトンズ】
■譲渡オーナー様は完全無料|事業承継M&Aプラットフォーム【ビズリーチ・サクシード】
■介護M&A仲介の専門サイト | 介護M&A支援センター
まずはバトンズの登録はおすすめです。国内最大規模のM&A仲介会社「日本M&Aセンター」が手掛ける小規模企業向けのマッチングサービスです。
バトンズの特徴は、法人・個人関係なく利用できる点です。
登録者数は80,000人以上、累計M&A件数が6500件以上、国内最大級です。(2019年1月現在)
数億円以上の会社のM&Aから、数百万円程度の営業権やウェブサイトの売買まで、多岐にわたります。
売り手は手数料完全無料、買い手は、成約時にかかる2%の成功報酬のみです。
テレビCMでお馴染み、ビズリーチもM&Aサービスを提供していますので、こちらも登録しておきましょう。
登録社数は5,000社、掲載案件は2,000件以上です。
こちらは法人のみが利用可能です。
売り手は手数料完全無料、買い手は、成約時にかかる2%(最低200万円)の成功報酬です。
先のバトンズよりは、やや規模が大きくなりますが、それでも中小零細企業中心のM&Aです。
介護M&A支援センターは、介護福祉の業界専門の仲介会社です。
登録者数は5,000人、掲載案件は介護系で100件超です。
こちら誰でも利用可能ですが、個人への売却は積極的でないようです。
こちらは逆に売り手・買い手の双方に手数料(最大10%)がかかります。